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ブックマーク / brevis.exblog.jp (14)

  • 下請け型受注生産という日本的形態を考える | タイム・コンサルタントの日誌から

    あなたは、小さなパン屋の社長さんだ。町の商店街に店をかまえ、店の奥には小さいながらパン焼き工場(こうば)に職人も抱えている。店の売り場は、親族が受け持つ。実はあなたは少し前まで、都会でエンジニアをしていたのだが、やむを得ない事情で、郷里のパン屋を引き継ぐことになったのだ。 店を引き継いだ時は、赤字経営だと税理士さんから聞かされた。御多分に洩れず、地方都市の商店街は地盤沈下で客足が遠のき、売上の柱だった小中学校の給パンも、少子化で減っていた。パン作りについては素人で何の知識もないが、ただ、あなたは一応、会社勤めで得たビジネス・センスを、多少は持っている。何とか頑張って、店や雇い人たちを盛り立て、まだ経営は低空飛行ながら、ようやく収支トントンのところまで持ち直した。 そんなあなたのところに、面白そうな商談が舞い込んできた。その地方のチェーンストアの店舗に、サンドイッチを納めないか、というのだ

    下請け型受注生産という日本的形態を考える | タイム・コンサルタントの日誌から
    suginoy
    suginoy 2019/03/25
  • コード体系の設計法を考える : タイム・コンサルタントの日誌から

    (a) 皇帝に属するもの、(b) 香の匂いを放つもの、(c) 飼いならされたもの、(d) 乳呑み豚、(e) 人魚、(f) お話に出てくるもの、(g) 放し飼いの犬、(h) この分類自体に含まれているもの、(i)気違いのように騒ぐもの、(j)算えきれぬもの、(k) 賂蛇の毛のごく細の毛筆で描かれたもの、(l) その他、(m)いましがた壷をこわしたもの、(n)とおくから蝿のように見えるもの。 これは哲学者M・フーコーの『言葉と物』の冒頭に紹介されている話だ。分類体系としては、いささか奇妙である。まず、皇帝に属するもので、かつ、香の匂いを放つものは、どちらに分類するのか。それに、乳飲み子から育ってしまった豚はどうするのか・・ ま、これはもちろん真面目な顔をして書かれた冗談である。調べると、どうやら元ネタは、アルゼンチンの作家ボルヘスのようだ。幻想的な作風で知られる南米の巨匠ボルヘスらしい、奇妙な

    コード体系の設計法を考える : タイム・コンサルタントの日誌から
  • ロボットとして生きないために | タイム・コンサルタントの日誌から

    フィリップ・K・ディックのSF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」(1968年)は、映画「ブレードランナー」の原作にもなった名作だ。小説の舞台は『最終世界大戦』後の、人間以外の生物がすべて稀少となった2020年の地球(あとたった5年だ)。主人公リックは、逃亡したアンドロイドを破壊してお金を稼ぐ、賞金稼ぎである。この時代、人間はアンドロイドを使役しながら、なんとか社会を維持している。アンドロイドは機械製だが、人間そっくりの外観と、知性、そして意思までを持つ。ただ一つ違うのは、アンドロイドには感情が全く無い点だった。主人公リックは、火星から逃亡してきた6人のアンドロイドを見つけて破壊し、賞金を得ようとする。彼はその賞金で、物の生きた羊を買うのが夢なのだ。生物が稀少なこの地球では、ふつうはロボットの動物しか飼うことができないからだった・・。 この小説の妙味は、アンドロイドを識別するのに、

    ロボットとして生きないために | タイム・コンサルタントの日誌から
    suginoy
    suginoy 2015/04/05
  • とれるだけ仕事をとってはいけない : タイム・コンサルタントの日誌から

    最初に、損益分岐点の説明からはじめよう。企業は、製品やサービスを売って売上を得る。しかし、世の中にタダの物はないので、そこには必ず費用(原価)が発生する。その費用が製品の販売数量に単純に比例する場合、企業は売上に比例した利益を得ることになる。この関係を図(a)に示す。横軸は、売上である。工場の視点から言うと、売上向上すなわち稼働率向上を意味するから、横軸は稼働率と見てもよい。縦軸は金額で、実線が売上高を、点線が費用を示す。費用は純粋に、売上高に比例する。これを変動費ともいう。売上に伴って、変動するからである。たとえば製品を作るのに必要な原材料の購入費がそうだ。あるいは、製品を加工するための外注費などもそうだ。 ところが、企業にはこれとは別に、売上高にまったく関係なく、固定的に発生する費用がふつうある。これを固定費という。その典型例は、設備機械の減価償却費である。あるいは、従業員の給料なども

    とれるだけ仕事をとってはいけない : タイム・コンサルタントの日誌から
    suginoy
    suginoy 2015/03/07
    “たとえ在庫の発生しないサービス業でも、それが受注ビジネスであり、かつ受注前に見積設計作業が必要であったら、受注量を増やしすぎるとかえって赤字になることが、最近の研究で明らかになってきているのだ。”
  • ロージーの返事を、ときどき思い出す | タイム・コンサルタントの日誌から

    机のまわりを整理していたら、偶然、大昔の雑誌が出てきた。共立出版の月刊誌「bit」の1985年4月号だった。 雑誌というのは何号かに一度、良い記事の集まった当たり号が出るものらしい。この号も、当たりの1つだったようで、面白い記事が集まっている。そのために、なんとなく捨てられずにとっておいたようだ。巻頭記事は、宮勲氏の紹介による「物のプログラマはPascalを使わない」だ。次が、ジェラルド・ワインバーグの短いエッセイ「ロージーの返事」。翻訳は、東京工業大学教授・木村泉氏。それから、御大ドナルド・クヌースの論文「文芸的プログラミング」が載っている。翻訳は黒川利明氏である。さらに、湯浅太一氏と萩谷昌巳氏の「Common Lisp入門」の連載第一回目が始まっている。石田晴久氏の「PC-UX」紹介記事もある、という具合だ。 「物のプログラマはPascalを使わない」は、注釈が必要だろう。これは

    ロージーの返事を、ときどき思い出す | タイム・コンサルタントの日誌から
    suginoy
    suginoy 2014/08/23
    "「本物のプログラマはPascalを使わない」は、注釈が必要だろう。これは当時アメリカで流行った「本物の男はキッシュを食わない」という文章の、皮肉の効いたコンピュータ業界版パロディである。"
  • 書評:「受注生産に徹すれば利益はついてくる!」 本間峰一・著 | タイム・コンサルタントの日誌から

    「受注生産に徹すれば利益はついてくる! - 取引先に信頼で応える“おもてなし"経営 -」 (Amazon) 良書である。著者は長年、金融機関系のコンサルティング会社で活躍した後、最近独立された中小企業診断士で、わたしの所属する「生産革新フォーラム」(通称『MIF研究会』)の会長でもある。知人の著書を紹介するときは、ほめるにせよ批判するにせよ中立の立場で書くのが難しいわけだが、書は幸いにも非常に良くできており、安心しておすすめできる。 安心して推薦できる最大の理由は、書が「受注生産」企業を対象に据えて、そのポジティブな面を書いているという、ユニークな視座にある。前から述べているとおり、日の製造業の9割は受注生産の形態にあると想像される。にもかかわらず、世間にあふれるビジネス書の殆どは、自動車メーカーだとか著名電機メーカーなどに範をとって、“企業経営はこうあるべし、あああるべし”を論じる

    書評:「受注生産に徹すれば利益はついてくる!」 本間峰一・著 | タイム・コンサルタントの日誌から
    suginoy
    suginoy 2014/06/22
    "著者の考え方は、じつはゴールドラットのTOC理論(制約理論)にかなり基づいている。"
  • デュルケーム『自殺論』に学ぶ、人間集団に必要な二条件 | タイム・コンサルタントの日誌から

    PMOみたいな仕事をしていると、ときどき現場の実務者から頑強な抵抗に遭うことがある。PMOとはProject Management Officeの略で、組織の中にプロジェクト・マネジメントの仕組みや方法論、そして体制などを導入整備する仕事をする部署だ。いってみれば、プロジェクト遂行に関するカイゼンの専門家集団である。 PMOのメンバーは普通、自分自身ではプロジェクト遂行にタッチしない。あくまでプロマネ達に対して、助言や支援を行うだけだ。社内コンサルタントのようなものである。遂行に直接タッチしないのはなぜかというと、いったん実務作業を分担し始めると、結果に対する責任問題が生じるからである。プロジェクトの成果は、プロジェクト・マネージャーが全責任を負うのが原則だ。それなのに、第三者であるPMOが手を出してしまうと、責任の境界が曖昧になってしまうからだ。 ところがこのPMOという仕事、なかなか難

    デュルケーム『自殺論』に学ぶ、人間集団に必要な二条件 | タイム・コンサルタントの日誌から
    suginoy
    suginoy 2013/06/23
    「ミクロには自由な意思決定に見える問題が、じつはマクロな状況に左右される。そうした見方を、わたし達はもっとよく知る必要がある。」
  • 書評:世界の経営学者はいま何を考えているのか 入山章栄 | タイム・コンサルタントの日誌から

    世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア 「ドラッカーなんて誰も読まない!? ポーターはもう通用しない!?」 --これが書の帯の宣伝文句だ。著者の入山氏はニューヨーク州立大学バッファロー校(ビジネススクール)の助教。2008年にピッツバーグ大学でPhD(博士号)をとったばかりの、新進気鋭の経営学者である。 ドラッカーなんて米国の経営学では完全に過去の人だ、というと、日ではやはり驚く人が多いのだろうか。最近もドラッカーに女子高生をかけあわせたがベストセラーになったばかりだし、彼のは古くから広く読まれ、「ドラッカー学会」まであるくらいだ。(ドラッカー自身も日が好きだった) もちろん、ドラッカーがマネジメント研究の先駆者であることは確かである。しかし、ドラッカーはウィーン出身の人だけに、発想の根が非常に『中欧的』である。たとえば「企業は基的に社

    書評:世界の経営学者はいま何を考えているのか 入山章栄 | タイム・コンサルタントの日誌から
  • イナズマ線と二重線 -- 工程表のアップデーティングとは何か | タイム・コンサルタントの日誌から

    先日、拙著『時間管理術 (日経文庫)』を読みました、とおっしゃる方にお会いした。まことにありがたいことだ。ところで、その方が「一番勉強になったのは、スケジュールの工程表の上にイナズマ線を引くことでした、これで進捗の状況を見える化するというのは知恵ですね」と言われたので、こっちの方がかえってびっくりしてしまった。ほめられたからではない。この方の会社では、工程表を一度作成したら、それをそのまま、何の追記もアップデートもせずにずっと使い続けるのか、と思ったからである。 念のため書くと、先方は日人なら誰もが知る一流企業で、業界ではトップ3に入る会社だし(ただしエンジニアリングや製造業ではなくサービス業だが)、その方だって立派な学歴と経験をお持ちだ。そして、プロジェクト的な、非定型的業務にずっと従事されている。だから意外だったのだ。 工程表は、航海士にとっての海図に似ている。工程表もつくらずにプロ

    イナズマ線と二重線 -- 工程表のアップデーティングとは何か | タイム・コンサルタントの日誌から
    suginoy
    suginoy 2012/03/20
    「ところが、「見込み日」の概念を知らない企業は世の中に多い。そうした会社では、現実を予想するために、計画のベースライン自体をどんどん変更してしまう。」
  • プロジェクトの“見える化”とは、いったい何か | タイム・コンサルタントの日誌から

    5年前に日経文庫から『時間管理術』を上梓したとき、出版社が帯につけた惹句(注目をひくための宣伝のフレーズ)は、「自分のスケジュールを“見える化”せよ!」だった。帯の文句は著者が知らないところで決められる。でも、これを見たとき、正直に言って、やれやれと思った。“見える化”はトヨタの発明した用語で、あまり関係のないわたしが勝手に使いたい言葉ではなかったからだ。当時、たまたま学会の委員会関係で、トヨタ自動車の銀屋技監をはじめ何人かの方ともおつきあいがあった。自分の著書が出たので早速贈呈したのだが、挨拶の中で「この“見える化”という言葉は出版社が勝手に書いた惹句でして・・」と妙な言い訳をしたのを覚えている。 わたしはトヨタ独特の用語や概念を、自分のサイトなどであまり使わないことにしている。第三者が尻馬に乗ってはしゃいでると思われるのは、しゃくにさわるからだ。それにトヨタ系列以外の会社が、(自分との

    プロジェクトの“見える化”とは、いったい何か | タイム・コンサルタントの日誌から
  • パンのみに生きるにあらず | タイム・コンサルタントの日誌から

    1996年の夏。私は中東で、ある会社の役員会議室に座っていた。私の隣にはCAP Gemini Americaの上級コンサルタント。そして目の前には米国人とアラブ人の役員たちが、豪華な会議テーブルを囲むように並んでいる。 会議の議題は、「この会社のKPI=Key Performance Indicesとは何か」だった。会議は隣にいる米国人コンサルタントがリードしていく。私と彼は、この会社にERPパッケージSAP R/3を導入するプロジェクトを請け負っており、要求分析をやっていた。すでに日常業務の分析はすんで、今や、役員から見たソフトの必要機能を定義する段階に来ていた。 SAP R/3は財務諸表をリアルタイムに見せることができる能力が売りだ。しかし経営の舵取りには、財務諸表の数字だけでは不十分なことは明らかである。では、いったいどの数字に着目し、どの尺度を用いて、会社の方向や速度を計りたいのか

    パンのみに生きるにあらず | タイム・コンサルタントの日誌から
    suginoy
    suginoy 2009/08/30
    「目的を持たないシステムは、自己の安定化と存続が目的となる。」 「人はお金がなくては生きてはいけないにもかかわらず、お金のためだけでは喜びをもって働けないからだ。」
  • 「良いデザイン」の工数は見積ることができるか | タイム・コンサルタントの日誌から

    目の前に広げられたのは、30数枚に及ぶスケッチの紙だった。我々の顧客が打合せを終えて帰った後で、そのグラフィック・デザイナーの人が見せてくれたのだ。CI(コーポレート・アイデンティティ)の世界では、かなり名前を知られた人である。彼が顧客に見せたのは、3つのデザイン案だけだったはずだ。ダイナミックでポップなもの、端正で清潔なもの、柔らかで明るいものの3つで、ずいぶん違う印象の候補案を用意してくれていたのに感心したばかりだった。でも、その裏側には10倍以上の半製品があったのだ。 その人は、候補の3案に至るまでの案出しとデザイン展開の結果を何枚もめくって見せながら、どのような発想から出発して、どうバリエーションをつくり、それからどう最終成果物に結びつけたのか、素人の私にたいして簡単に説明してくれた。私は完璧に驚いてしまった。ひらめきから生まれるものとばかり思っていたグラフィック・デザインが、じつ

    「良いデザイン」の工数は見積ることができるか | タイム・コンサルタントの日誌から
  • タイム・コンサルタントの日誌から : Excelで工程表を書いてはいけない

    さる8月、翔泳社主催の「PM Conference 2008」に招かれて講演をした。テーマはプロジェクト・コントロールの技法論で、私が長い間、エンジニアリング業界とIT業界の二足のわらじを履いてきた経験から、両者の比較を論じたものだった。最近のIT業界における「プロジェクト・マネジメント」の認識の普及進展はめざましいものがある。これに対して、エンジニアリング業界は過去10年以上、EVMSの徹底化以外とくに主立った進歩はない。にもかかわらず、両者の違いはいまだ歴然としたものがあり、それはとくにプロジェクト・コントロールの基であるWBSやコントロール・リストなどの使い方で明瞭だ、というのが論旨だった。 ところで、この講演の中で、「工程表のガントチャートExcelで書いてはいけない」と強調した点が、どうも多くの聴衆の注意を引いたらしい。終わってからのアンケートでも、そこに関する感想が少なくな

    タイム・コンサルタントの日誌から : Excelで工程表を書いてはいけない
    suginoy
    suginoy 2008/11/27
    「潜在的にクリティカル・パスになりやすい経路を、「サブクリティカル・パス」と呼んで、最初から注意しておく必要がある」
  • 少しずつコントロールのレベルを上げていく | タイム・コンサルタントの日誌から

    「マネジメント」という仕事を問うと、それは“PDCAのサイクルを回すこと”と答えがすぐ返ってくるくらい、近年PDCAによる継続的カイゼン活動の概念は浸透し、広まっている。PDCAはもちろん、Plan - Do - Check - Actionの略だ。 Plan, do, checkと動詞が三つ並んで、そのあといきなりActionという名詞が来るあたり、なんだか和製英語ではないかという疑いが晴れないが、“いやこれはデミング・サイクルと言って、品質管理で有名な米国人デミング博士の提唱によるもので”などと力説する人も多く、世界共通の概念ということになっている(ちなみにWikipedia英語版のW. Edwards Demingの項を見ると、"also known as Plan-Do-Study-Act or PDSA"とも書いてあって、こちらの方が英語らしく感じる)。 しかし今日の話題は、私の

    少しずつコントロールのレベルを上げていく | タイム・コンサルタントの日誌から
    suginoy
    suginoy 2008/09/14
    PDCA
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