造成途中のニュータウンと、成長途中の少女のアンバランスさが息苦しいまでに重なり合う、村田沙耶香の小説『しろいろの街の、その骨の体温の』(朝日新聞出版)が刊行された。思春期の少女が、教室とは違う価値観を獲得するまでの戦いと痛みが丹念に描かれる。 小4の結佳は、習字教室で親しくなった人気者の男の子伊吹と、無理やりキスしてしまう。中学でも、結佳が主導する2人の関係は変わらない。だが、毎学期、転校生が入ってくる学校では、生徒間の力関係が変化し、いじめの対象も移っていく。 おとなしいグループに属する結佳だが、容姿のコンプレックスと伊吹への思いで、自意識を暴走させる。〈予算がなくなった工事現場みたいに、第二次性徴が途中で止まってしまった私の身体〉に〈コントロールできないほどの恋愛が宿っている〉。そして、クラスメートを観察し、見下すことで〈ボロボロの自尊心を慰めている〉のだ。 いつも工事の音がする街を、
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