タグ

ブックマーク / note.com/ruiu (7)

  • 「悪い方が良い」原則と僕の体験談|Rui Ueyama

    ソフトウェアの世界には「悪い方が良い」原則という有名なエッセイがある。キレイにレイヤ分けされた一貫性のある良いデザインよりも、一見手抜きの悪いデザインのほうが実は良いときもあるという話だ。この逆説的なデザイン原則を僕は身をもって体験したことがある。それについてちょっと書いてみようと思う。 僕はlldというリンカの現行バージョンのオリジナル作者だ。リンカというのはコンパイラと組み合わせて使うもので、実行ファイルやDLLを作るのに使用される。lldはプロダクトとしてはかなり成功していて、標準のシステムリンカとして採用しているOSがいくつかあったり、GoogleやFacebookなど皆が知っているような大規模サイトの中で広く使われていたりする。 現在のlldは2世代目で、第1世代のlldは僕がプロジェクトに参加する前から存在していたのだけど、数年前にそれを捨てて一から書き直すということになった。

    「悪い方が良い」原則と僕の体験談|Rui Ueyama
    sunin
    sunin 2018/04/06
    関連のない別々のプロジェクトにおいても、似たような機能はあり、「共通化してどちらのプロジェクトでも動くコード」みたいなものを作ろうとして、上手く行った事例は自分の周りではほとんど無い。
  • 乱数生成器とゲームと諜報活動の話|Rui Ueyama

    ゲームなどを作っているとランダムさが必要になることがあるけど、コンピュータは基的に毎回全く同じように動くので、乱数を作り出すのはそう簡単なことではない。Wi-FiやHTTPSなどの暗号は乱数のランダムさに質的に依存しているので、高品質な乱数生成は世の中的にも重要な話題である。ここでは乱数生成について話をしてみよう。 ゲームではイベントがプレイヤーに予測不可能であればよいだけなので、真の乱数列ではなく擬似乱数列というものを使うことが多い。擬似乱数列は人間にはランダムにみえるけど、実際は何らかの数式によって順番に生成されているだけの数の列で、初期値を毎回違うものにしておくと、人間には毎回違う数列が生成されるようにみえる。初期値には現在時刻を使うことが多い。現在時刻は普通の用途では毎回違うからだ。 昔のゲーム機は現在時刻の設定がなかったので、ファミコンなどでは、起動してからの経過時間を疑似乱

    乱数生成器とゲームと諜報活動の話|Rui Ueyama
    sunin
    sunin 2017/11/22
    非常に分かりやすくかつ興味深く読める。変に小難しい文章は、著者が対象をちゃんと理解していないからという説があるが、理解している人が書くと平易になりうるという事例だろうか。
  • メモリのビット反転エラーとセキュリティの話|Rui Ueyama

    ハードウェアのエラーでメモリの内容が化けてしまうことが稀にある。大抵のDRAMエラーはせいぜいプログラムがクラッシュする結果になるだけだが、データ破壊になることもありえるし、悪意のある使い方をすればセキュリティ破りに使うこともできてしまう。ここではメモリエラーとセキュリティの話をしようと思う。 メモリのエラー率は意外なほど高い。データセンターで大規模なマシン群を対象に実際に観測したところ、1年間に1回以上のエラーが発生したDIMMモジュールは全体の8%にのぼったそうだ。DIMM 1枚に数百億個のメモリセルが実装されているといっても、このエラー率はちょっとびっくりするくらい大きな数字ではないだろうか? サーバでは普通はエラー訂正付きのDIMMを使うので1ビットのエラーは問題にならないが、エラー訂正のないコンシューマ機器ではこれは実際的な問題になりえる。 メモリエラーを利用したセキュリティ破り

    メモリのビット反転エラーとセキュリティの話|Rui Ueyama
    sunin
    sunin 2017/11/20
  • Rui Ueyama|note

    オープンソースビジネスの挑戦と現実 いい感じのオープンソース・ソフトウェアを書いて、それを元に起業することを考えてみたことがある人は結構いるようだ。実際に僕はここ1年半ほど、自作のオープンソース・ソフトウェアを元にビジネスを立ち上げようと試行錯誤してきた。その経験についてここでシェアしてみようと思う。 あらすじ 薄々予期していたことではあったけれど、結論から言うと、そんなにはうまくいかなかった話ということになる。要点をまとめると次の通りだ。 「moldリンカ」というオープンソースのツールを開発して、それを

    Rui Ueyama|note
    sunin
    sunin 2017/11/20
  • ソフトウェアの互換性と僕らのUser-Agent文字列問題|Rui Ueyama

    いろいろな環境で動くプログラムでは互換性のためにその場しのぎのことをしないといけないことがよくあるけど、歴史が積み重なってくると、アドホックな技の上にアドホックな技が積み上がる喜劇的な状態になることがある。こういう問題は認識するのは簡単だが直すことは誰にもできない。まさに僕がそのような体験をしたのでちょっと説明したい。 僕は仕事としてオープンソースのlldというリンカを書いている。リンカというのはコンパイラが生成したバイナリファイルをつなぎ合わせて最終的な実行ファイルやDLLを作成するプログラムで、知らない人も多いと思うけど、何をコンパイルしても最後にはリンカが動いている。lldは既存プログラムより何倍も速くてビルドが早くなるというので最近は結構人気が高まっていて、FreeBSDなどのいくつかのOSが全面的にスイッチしようとしたり、あるいは大規模プロジェクトChromeや、どうもFire

    ソフトウェアの互換性と僕らのUser-Agent文字列問題|Rui Ueyama
  • 絵文字がある種のUnicodeバグを世界から一掃しつつある件について|Rui Ueyama

    UnicodeのUTF-16エンコーディングではほとんどの文字(コードポイント)は2バイトで表現されるが、Unicodeに後から追加収録された文字の多くは4バイトで表現される。4バイト文字がうまく扱えないプログラムというのはわりとよくある。しかし世界中で広く使われるようになった絵文字がよりによって4バイト文字であるせいで、そのような文字が扱えない問題がよいペースで解決に向かいつつある。それについて少し説明してみようと思う。 Unicodeが80年代から90年代初頭にかけてデザインされたときの目標の一つは、Unicodeに含まれる文字数を65536個以内に収めることだった。現代の文章を実用的なレベルで表すためには、漢字などを含めてもそれだけの種類の文字があれば十分だと考えられたのだ。当然これは1文字を2バイトで表すことを念頭に置いていた。つまりコンピュータの揺籃期から当時に至るまで単純に英語

    絵文字がある種のUnicodeバグを世界から一掃しつつある件について|Rui Ueyama
  • スタンフォードのコンピュータサイエンスの授業の感想|Rui Ueyama

    いまのところ25単位分(マスター修了に必要な単位数の約半分)の授業を取ったので感想を時系列でちょっとまとめたい。昔のやつは記憶が曖昧になっているけど。 CS243 プログラムの解析と最適化 (2014Q4)要するにコンパイラの最適化の授業。前半はデータフロー解析とかでかなり実用的な感じがしたが、後半は行列計算の命令の依存関係を抽出してベクトル最適化とか、ItaniumみたいにレジスタのたくさんあるCPUでループアンローリングするみたいな話で、実際に役に立つのかはよくわからなかった。 と、そのときは思ったが、巨大な行列の計算はよくあるので、興味を持てなかった僕がダメだっただけかもしれない。 とにかく難易度が高かった。かなりがんばって夜中までやっていたつもりだけどもっと真剣に取り組むべきだったかもしれない。なにせこれが最初の授業だったのでレベル感がよくわかっていなかった。教授がドラゴンブックの

    スタンフォードのコンピュータサイエンスの授業の感想|Rui Ueyama
  • 1