ある高校の、ありふれた放課後。校内のスター生徒・桐島が、バレー部を辞めるというニュースが校内を駆けめぐる。『桐島、部活やめるってよ』――。大きな事件は何も起こらない。しかし、学校内のあらゆる“ヒエラルキー”に属する生徒たちの間で、人間関係が静かに変化し始める……。 原作は、早稲田大学在学中に第22回小説すばる新人賞を受賞した朝井リョウの同名デビュー小説だ。学校という狭い世界の中で、高校生達の息遣いまで聞こえるようなリアルな青春が描かれる。映画化に当たりメガホンをとったのは、『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』『クヒオ大佐』『パーマネント野ばら』に続き、これが長編映画4本目となる吉田大八監督。原作の世界観を活かしながら、エンターテインメント性を兼ね備えた青春映画として緻密かつ大胆に再構築した吉田監督に、お話をうかがった。 ●小説から映画への置き換え 今回、監督のオファーを受けて原作を手にされた