修学旅行で同じ班になった女を好きになった。 彼女は控えめな性格で、とても地味な生徒だった。それまで話したこともなかった。 旅行中に彼女と親しくなった。 エレクトリックパレードも一緒に見たし、宿の屋上で東京の夜景を見ながらいろいろな話をしたよ。 彼女は俺に毎朝「おはよう」と言ってくれるようになった。はにかんだ表情が印象に残る。 俺はヘボなので何の進展もなく卒業式を迎えた。 彼女は手紙をくれた。「これからも仲良しでいてね」と書かれていた。 それっきりだ。 大学3年のとき唐突に彼女からの電話を受けた。「会いたい」と言う。 喜んで出かけたら、そこにはノーメークで毛玉だらけのニットを着た女がいた。 「久しぶり」と言った口には前歯が欠けていた。 彼女は宗教にはまっていた。 「自分に自信が持てるようになった」し、前歯が欠けたままなのは「大事なのは心」だそうだ。 彼女は俺を雄弁に勧誘した、体を寄せてきた、