大阪大の広野哲朗准教授らは、東日本大震災を起こしたプレート境界にある断層の大規模滑りの原因を突き止めた。地震発生前に比べ、発生時は断層内の水の温度が500度以上に上昇し、断層が浮く状態になったことで断層が滑った可能性が大きいという。従来は断層滑りの原因が強度の弱い地質にあるというのが有力な学説だった。断層地震の新たな原因究明につながる成果として注目される。 研究チームは、2012年に地球深部探査船「ちきゅう」が水深約7キロメートル、海底下約850メートルの地点から採取した断層の試料をモデル計算して分析した。地震発生前に25度であった断層内の水の温度が、発生時には500度以上に加熱されていた。加熱されることで水の圧力が上昇して断層にかかる荷重が低下して滑りを起こした可能性があるという。 さらに地震時に海溝付近の断層から発生する地震波の周波数特性を分析したところ、高周波が多かったことも確認した