ブックマーク / btomotomo.hatenablog.com (86)

  • 小説「YES」③ - Blue あなたとわたしの本

    私は広島市で生まれ、七才からは呉くれ市の親戚の家で育ちました。伯母の家はどちらかと言えば裕福な家庭でした。三年、四年と経ち、友だちもできたのですが、学校が終わってからもいっしょにいたいとは思いませんでした。何と言いますか── 生身の人間との付き合いは、私の神経には刺激が強すぎたのです。 一人でいることを私は好みました。ええ、さみしいとも思いません。を読んだり、絵を描かいたりするのが好きな子どもでした。夏休みになると、家の近くを流れている川の上流へよく一人でいきました。自転車を漕いでいくんです。上流の上流のそのまた上流といったところまで。何をしにいくのかと聞かれますとちょっと困るのですが── 何もしないためにいくんです。を何冊かは持っていきます。だけど目的としては、何にも考えない時間を過ごすためにいくのです。言わば、心のスイッチを切るためにです。 上流のほうへいきますと、川は谷あいを流れ

    小説「YES」③ - Blue あなたとわたしの本
    suzukiyuta3104
    suzukiyuta3104 2017/11/10
    風景や心理の丁寧な描写すごいです!なんだか本当にその世界にいるような気分になりますね。
  • Blue あなたとわたしの本  ベスト第4弾! - Blue あなたとわたしの本

    サイト「Blue あなたとわたしの」のタイトルシリーズである『Blue あなたとわたしの』が、先日200回となりました。 50たまるごとにベストをやってきましたので、また行いたいと思います。 いま調べてみてびっくりしたのですが、今回の50に1年と2ヶ月かかっているんですね。そのあいだに他のシリーズである『エッセイ Blue』や『もうひとつの Blue』も書いてはいるんですけど、それにしてもかかりました。 151〜200のあいだで15を厳選します。今回は完全に僕の自選です。よくご来訪いただいていた方には「あぁ、あれか」というのが何も入っているのではないでしょうか。 それでは投稿日の古い順から並べていきますね。 これはねぇ、当に言いたいことです。僕はご夫婦やカップルがどうしてだかすごく好きなんです。大切な人の〝大切なこと〟を大切にしてあげてください。それだけで世界全体が明るくなる

    Blue あなたとわたしの本  ベスト第4弾! - Blue あなたとわたしの本
    suzukiyuta3104
    suzukiyuta3104 2017/10/23
    時間を作って初期の頃の作品も読ませてもらいます!きっかけや力をもらって継続に感謝です!!
  • すべての人があなたを憎んでいるなんて思わないで - Blue あなたとわたしの本

    Blue あなたとわたしの 200 すべての人があなたを憎んでいるなんて思わないで。 そんな馬鹿げたことを。 つらくなったら行ってごらんよ。 だれかが誠実に、 思いを積みかさねて 作った世界へ。 いつだって あなたを待ってるから。 そこはそのためにあるんだぜ。 感受性が豊かで、 傷つきやすく、 ひとりが好きで、 優しすぎる、 そして 激しいものも抱えた、 そんなあなたのために、さ。 もちろんここに来たっていいんだよ。 ちょっと町はずれになるけどね。 グチだっていくらだって聞いてあげるさ。 だってここは、 あなたとわたしの 屋根裏部屋じゃない。 最初っから、 これからもずっと。 だれに遠慮がいるものですか。 あなたはどんな思いを積みかさねる? あなたの思考が、 言葉が、 行動が、 すべてに影響を与え、 この世界を形作っていくんだ。 ずいぶんと陽ざしが、 あたたかそうに延びてきたよ。 もう少

    すべての人があなたを憎んでいるなんて思わないで - Blue あなたとわたしの本
    suzukiyuta3104
    suzukiyuta3104 2017/10/16
    陽ざしがのびてきて、あなたの所に届く。良い言葉だなと思いました! 光差す、それは誰にでも同じですね。
  • 青い浴場 - Blue あなたとわたしの本

    Blue あなたとわたしの 199 その浴場はひろく、高い建物のなかにあるようだった。天井の照明は青っぽい。大勢の裸のひとがいる。男も女も、子どもも老人もいる。みな青いひかりに染まっているからどこかしら哀しげに見える。湯につかる裸の人間、低い椅子に腰かけ自らの身体をあらう人間というのは、なにかしらやるせない。 街に面したがわは壁一面がガラス窓だった。空の大半は紫色だが、部分的に黄色が渦を巻くかたちで混じりこんでいる。夜明けのようにも見えるし、これから夜が深まるようにも見えた。紺色の山並みが街を取り囲んでいる。左のすみのあたりに、ドーム状の屋根を持った建物の影絵があった。モスクを連想させる。地表は闇に沈んでいる。だいだい色の明かりがぽつんぽつんと見える。山よりも高いビルのシルエットが右の遠方にあった。最上階ふきんの部屋が、うっすらと青い。 視線を浴場に戻してみると、もう誰もいなかった。湯船

    青い浴場 - Blue あなたとわたしの本
    suzukiyuta3104
    suzukiyuta3104 2017/10/05
    自己の不在や消失、重い内容のはずなのに、透明感があって読んでいて人間の優しさのようなものも感じました。
  • あなたやわたしが手を下すまでもなく - Blue あなたとわたしの本

    Blue あなたとわたしの 198 あなたが プライベートで 誰かに一言、 ガツン、と 言ってやりたくなったとします。 その相手が あなたにとって、 とても大切な人であり、 どうしても知らせてあげたい、 伝えてあげるべきだ、と、 直感が、 心が、 ささやくときにのみ、 そうしてください。 人は かげひなた、 その両方の言動により、 落ち着くべきところに 落ち着くようです。 誰かが手を下すまでもなく。 あなたがわざわざ 階下へ下りていく必要もなく。 あなたやわたしが集中するべきことは、 あなたやわたしが集中するべき そのことそのもののはず。 あなたが誰かに一言、 言ってやりたくなったとしても、 人は かげひなた、 その両方の言動により、 落ち着くべきところに 落ち着くようです。 振り子も自然と止まるように。 舞い上がった凧も落ちるように。 あなたやわたしが 手を下すまでもなく。

    あなたやわたしが手を下すまでもなく - Blue あなたとわたしの本
    suzukiyuta3104
    suzukiyuta3104 2017/09/26
    言いたくても言うことができない、そんなジレンマを抱えることもあります。 でも、結局は行き着くところに行き着く、世界はそうゆうものですね。
  • 小説「きっかけ」⑤ 完結 - Blue あなたとわたしの本

    駅の構内を歩いていると、キャリーバッグを引いた何人かの男女が河原に気づくのがわかった。その顔が驚きや、あからさまな喜びの表情に変わるのが見てとれる。売店の女性も首を回してこちらを追っていた。バックパックを背負った女の子のグループ。悲鳴に近い歓声が上がった。知らない素振りで河原は歩きつづける。私のほうが人びとの視線を意識して緊張した。歩き方までぎくしゃくした。幸い、握手やサインを求めて寄ってくる人はいなかった。 アナウンスが流れ、時間どおり新幹線がホームに入ってきた。 私たちはベンチから立ち上がった。向かい合う格好になり、ありがとう、たのしかったと河原は言った。私もその顔を見上げ、たのしかったと返した。 「親父もだいぶ気が弱くなった」、河原は、苦笑めいた笑みを浮かべる。「思えば、もう七十過ぎてんだよなぁ」 うちの母親なんか八十近いよ、と私も苦笑った。半身不随になった母のすがたが脳裏に浮かんだ

    小説「きっかけ」⑤ 完結 - Blue あなたとわたしの本
    suzukiyuta3104
    suzukiyuta3104 2017/09/22
    どこまでも真っ直ぐな目をした幽霊。 奥深くに抑圧していた気持ちに気づかせてくれたのかもですね。 次、河原とまた喫茶店で会ったときはどんな姿になっているか、きっと絵を生業にしていてほしいなと思いました。
  • 小説「きっかけ」④ - Blue あなたとわたしの本

    きみは──、と私がさきに口を開いた。「幻覚ではなかった、と思っているんだな」 河原は顎を引くような動作をした。 河原の目をのぞき込んだまま、知らず知らず声をひそめていた。「なんでそれが生きてる人間じゃないとわかったんだ?」 河原は低い声でうなり、胸の前で腕を組んだ。眉間にしわを寄せて斜め上を見る。生真面目なその表情には高校時代の面影があった。そうだ、と私は思う。河原はよくこういう顔つきになった。あのころ二人で通った喫茶店でもしょっちゅうこの表情になった。レトロな置き洋燈がテーブルごとにあった。脚の部分は鉄でできていた。深い色をした笠には葡萄の図柄があった。二人ともその照明をとても気に入っていた。ぼんやりした光に照らされた十代の河原の顔は、無垢で、美しく、西洋絵画のように映った。こいつがつまらない嘘を吐くところなど見たことがなかった。 「ただ、わかったんだ」と河原はゆっくりと言った。「あぁ、

    小説「きっかけ」④ - Blue あなたとわたしの本
    suzukiyuta3104
    suzukiyuta3104 2017/09/19
    昔の時を蓄積した光に包まれた少女。何を伝えようとして彼の前に現れたのか続きを楽しみにします!
  • 小説「きっかけ」① - Blue あなたとわたしの本

    高校時代からの友人の河原が久しぶりに帰郷した。彼は今、プロの俳優として活躍している。メールでのやりとりは頻繁にあったが、直接顔を合わせるのは五年ぶりだ。私も彼も三十九歳になった。けっこういい歳だ。 「この店、ほんといいよな」 だろ、と私も笑顔を返す。河原も私も酒が一滴も飲めない。店は店でも喫茶店なのだ。二人とも、大のコーヒー好きでもある。 少し懐古的な内装で、音楽がうるさくなく、長居できる店が私と河原の好みだ。この趣味は高校生のころから変わらない。気に入った店を見つけては、美術や映画音楽・文学を、飽きもせず語り合ったものだ。 「俺たちの好きそうな喫茶店をまた何軒か用意しといてくれよ」。六日前の電話での会話だ。いくつになっても子どもっぽさの抜けない自分たちを自覚しつつ、それを楽しんでいる口調。私は今回、河原を連れていく店を四つほどきめていた。喫茶店の住所と雰囲気を手短かに話した。四つ目の店

    小説「きっかけ」① - Blue あなたとわたしの本
    suzukiyuta3104
    suzukiyuta3104 2017/09/13
    河原と私の関係はこれからどうなるのか。大きなうねりの中にのみこまれる恐さをひめていそうな予感が。日々読ませていただきます!!
  • 小説「きっかけ」② - Blue あなたとわたしの本

    「俺は美術の専門高校に入ったけど、大して才能がないことにすぐに気づいた。あの高校はレベルも高かったしな」 たしかに受験生は全国から集まっていた。日で最初に設立された画学校で、歴史は東京芸術大学よりも古い。堂印象や草間彌生も卒業生だ。年に一度、美術館を借りて行われる美工作品展は、そのへんの美大の展覧会を超えていたと私も思う。私たちは洋画科の生徒だった。河原の絵の才能については、わからない。感覚的に鋭い作風ではあった。佐伯祐三の画風にすこし似ていた。ただ、演技の才のほうが恵まれていることは、やはりたしかだろう。 河原は話しつづけた。 「おまえは地元の美術大学へ進み、俺も地元の普通大学を出た。覚えてるか?」 もちろん覚えてるよ、と私は苦笑した。若くはないとは言え、まだ三十九だからな──。 「どうして東京芸大を受験しなかった?」、河原は真剣な目になって私の顔を見た。「先生も勧めてた。洋画科のな

    小説「きっかけ」② - Blue あなたとわたしの本
  • 嫉妬心に苦しんでいるのかい? ─あなただけのセールス・ポイント─ - Blue あなたとわたしの本

    Blue あなたとわたしの 197 嫉妬心に苦しんでいるのかい? あの人は魅力的なことをやってるよ。 スゴいよなぁ。 僕もそう思うよ。 でもさぁ、あなたのやってることの良さと、 あの人のやってることの良さって 種類がぜんぜん違うじゃない。 全然ちがうんだって。 あの人のやってることも魅力的だし、 あなたのやってることも魅力的なんだよ。 それが客観的な事実、ってもんです。 あの人のやってることはスゴいけど、 あなたのやってることは いまひとつなんだよなぁ、 と言う人も たしかにいるでしょう。 でもあなたのやってることが大好きで、 あの人のやってることは ぴんと来ないんです、って人も いっぱい いっぱい いるわけさ。 ゴロンゴロンいるわけさ。 聞いてきたもん、僕。 好みなんだよ好み。 単純に 好み です。 どっちが良い悪いじゃないの。 それに誰かが魅力的なことをやったらさ、 あなたのやってる

    嫉妬心に苦しんでいるのかい? ─あなただけのセールス・ポイント─ - Blue あなたとわたしの本
    suzukiyuta3104
    suzukiyuta3104 2017/09/08
    人と比べて自信なくしたりしますが、やっぱり自分は自分。自分にしかない武器を磨く、それに尽きますね!!
  • 「綺麗ごと」って、そんなに悪いことかなぁ? - Blue あなたとわたしの本

    Blue あなたとわたしの 196 「Blue あなたとわたしの」というブログを約一年半、僕はやっているんですけどね、「『Blue〜』は綺麗ごとばかりだ」というコメントをいただくことがあります。 はい、ですが、人の心を打ち砕くような事実を書くよりも、ほんの少しだけ〝きれいなほう〟へ傾けた言葉を綴りたい、と僕はけっこう初めのころから公言しているんです。「綺麗ごと」ってそんなに悪いことかなぁ? と考えてしまうことがあります。お声に気を悪くするとか、そういうことではなく。 広辞苑の定義を見ると、 物事の実態はそのままで、表面だけをとりつくろうこと。 とありますね。 この場合の「物事の実態」というのは、何か良からぬ「実態」があって、それには手をつけずに表面だけクリーンに見せる、というニュアンスですね。そっかぁ。この定義を読むと、やっぱり「綺麗ごと」っていうのは良くないなぁ(笑)。僕の思ってた「

    「綺麗ごと」って、そんなに悪いことかなぁ? - Blue あなたとわたしの本
    suzukiyuta3104
    suzukiyuta3104 2017/09/04
    智さんの文章は突き放すような無責任なものはなく、心を感じる優しくきれいな言葉だと思います。智さんワールド、今後も楽しみにしています!!
  • はてなブログ グループ「写真詩ブログ、集え!」へ集え!! - Blue あなたとわたしの本

    エッセイ Blue 21 「Blue あなたとわたしの」は僕の考えがあり、個別のブログ紹介はしない方針で来ました。これからも、そうですね(なさっている運営者の方はもちろん素晴らしいと思います。僕がヘンクツなだけです)。 なので、僕が管理人をしている「写真詩ブログ、集え!」ごと、今回 PR させていただきます。 どうしてそう思ったかと言うと、魅力的な書き手の方が、ホントにたくさん参加してくださっているからです。僕が逆立ちしようが一輪車に乗ろうが、とてもじゃないけどあのような作品は書けないですよ。 「天才か!」と後頭部をはたきたくなるような方がゴロゴロいらっしゃいます。ゴロンゴロンしています。ゴロゴロするだけで布団から出てこようとすらいたしません。天才だからそれでもいいんです。 「 Blue あなたとわたしの 」、管理人の智(とも)です。 写真詩ブログをやられている方、ご参加ください。 詩

    はてなブログ グループ「写真詩ブログ、集え!」へ集え!! - Blue あなたとわたしの本
    suzukiyuta3104
    suzukiyuta3104 2017/08/29
    遅ればせながら参加させていただきます!!!集ったな~ですね!
  • 人の心を打つものは? たった一つのチェックポイント - Blue あなたとわたしの本

    Blue あなたとわたしの 195 人の心を打つのは 誠実さです。 言葉にするとクサすぎるから誰も言わないけど、 実はみんな気づいてる。 不誠実なものも 短期間なら 人をあざむくことはできるよ。 でも長くは だませない。 あなたも実例はたくさん見てこられたはず。 誠実さ、 愚直さ、 そういったものが 人の心を打つんです。 最後には勝っちゃうの。 そういう、いちばん弱っちそうなものが。 綺麗ごとじゃなくてそうです。 そういうもんなんだよなぁ。 だってみんな 心ってものを持ってるんだからさ。 心と心なんだもん。 伝わっちまうよ。 全部バレちゃう。 だから観念して、 誠実にやろう。 健全な自負心と 他者を尊重する想いを持って 取り組もう。 時が移ろうが、 時代が変わろうが、 人が人に期待するものは変わらないんだから。 誠意に欠けたことをするとさ、 ブーメランみたいに自分のとこへ戻ってくんだよ、

    人の心を打つものは? たった一つのチェックポイント - Blue あなたとわたしの本
    suzukiyuta3104
    suzukiyuta3104 2017/08/24
    心と心。わかりあえること、気持ちよく伝わることはそれなしにはできませんね。気づきありがとうございます。ストレートな文章が分かりやすく、智さんの心がつたわります!!
  • 書き下ろし小説「海を見上げる、その暗く温かな場所で」noteで公開 - Blue あなたとわたしの本

    note.mu 小説「1パーセントの深い哀しみ」の続編、「海を見上げる、その暗く温かな場所で」を note で公開いたしました。定価は200円です。 「1パーセントの深い哀しみ」に続く編ではあるのですが、こちらを先にお読みいただいても問題ありません。「海を見上げる、その暗く温かな場所で」のほうが読みやすいかと思いますので、気に入っていただけましたら「1パーセント〜」という形が、むしろ良いかもしれません。 もちろん「1パーセントの深い哀しみ」から順に読んでいただいても嬉しいです。すみません、ややこしいことを言って。 僕はスタイリッシュな小説にも、〝現代日の暗部を見事に描き切った〟とコピーが付くようなタイプの作品にもあまり興味がないようです。 それよりも、どこか懐かしいような、寓話のようでもあり、幻想的で、わけのわからないどこかへ連れ去ってくれる物語が好みです。ダークな要素があっても、底辺に

    書き下ろし小説「海を見上げる、その暗く温かな場所で」noteで公開 - Blue あなたとわたしの本
    suzukiyuta3104
    suzukiyuta3104 2017/08/17
    作品に触れることによって、世界の捉え方に智さんのとんがったセンスを感じます!発表おめでとうございます!日々の闘いの結晶読ませていたきますね。
  • 哀しい人間など誰もいないのです - Blue あなたとわたしの本

    Blue あなたとわたしの 194 あなたが何かを生み出そうとするとき、 あなた一人でやるわけではありません。 時間も空間も超えたすべての次元が動きだします。 その実現に協力してくれます。 あなた一人でやるわけではないのです。 五感を駆使し、 直感を働かせ、 インスピレーションを見逃さないようにしてください。 差し出されている無数の温かな手のひらを感じるはずです。 哀しい人間など誰もいないのです。 (小説「1パーセントの深い哀しみ」続編、「海を見上げる、その暗く温かな場所で」より抜粋) 「海を見上げる、その暗く温かな場所で」は近日 note で公開予定です。 ただいま最終推敲中。 待っていてくださる方が もし、いてくださるのなら、 待っていてください。 悪いようにはしません。 「1パーセントの深い哀しみ」レビュー集付

    哀しい人間など誰もいないのです - Blue あなたとわたしの本
    suzukiyuta3104
    suzukiyuta3104 2017/08/08
    無数の温かな手、それに気づくかどうか、それで全然変わってきますね。強く求めることが大きな一歩!まっています!
  • 四夜連続怪談 最終夜 妻と作る - Blue あなたとわたしの本

    Blue あなたとわたしの 193 と作る 僕のはバンドを組んで歌っている。オリジナルをやる。曲はギターの男性が作り、詞はと僕とで作る。曲が先にでき、がそれを聴いたイメージを僕に伝え、僕が言葉にする。は「あなたはわたしのアイディアを歌詞にしているだけだ」などと言ったりもするので、「アイディアなんてものはそれだけあっても作品にはならないんだよぉ」と言い返す。僕の職はフリーのライターで、雑文全般を引き受けている。想像力、は自分で言うのもなんだがあんまりないようだ。だからじっさいの奇抜でカラフルなイマジネーションには舌を巻いている。たしかにのアイディアを僕は言葉にしているだけなのだ。彼女がその個性的な声で歌うと、単語の一つひとつがきらめき、躍動するのがわかる。ステージで輝いているを見るのが、僕の生きがいだったような気がする。 だからが死んでしまったとき、生きていく気力を失っ

    四夜連続怪談 最終夜 妻と作る - Blue あなたとわたしの本
    suzukiyuta3104
    suzukiyuta3104 2017/08/01
    こわい話でもあるけど、胸打たれるし、素敵な話という不思議な感覚です!
  • 四夜連続怪談 第三夜 鳥 - Blue あなたとわたしの本

    鳥 列車が停止した。電灯も消えた。座席に座った男の頭のなかに映像が差し込まれた。全裸の若い女性がベッドで仰向けに寝ている。その横顔は陰になっている。身体が、5センチ、10センチと徐々に浮かんでいく。男の耳の奥で鳥の羽ばたきが聞こえだす。棒のように真っすぐな女性の身体が1メートル、2メートル、浮かびあがっていく。そのさまが横からのアングルで見える。空間のあちこちから手書きの文字が滲みだしてくる。文字が大きくなる。縮み、消えていく。また文字が現れる。消えていき、現れる。それが繰り返される。なんと書いてあるのか読めそうで読めない。鳥の羽ばたきの音量が増す。女性の裸体は20メートル、30メートルと上昇をつづける。白い背なかが微光を帯びながら薄闇のなかをどこまでも昇っていく。カメラは、下からその様子をすでにとらえている。白い裸体が小さな点となっていく。 男の腰のあたりに何かが巻きつく感触があった。巻

    四夜連続怪談 第三夜 鳥 - Blue あなたとわたしの本
    suzukiyuta3104
    suzukiyuta3104 2017/07/28
    手を差し伸べる、うつくして、切なくて、でも恐いです。
  • 四夜連続怪談 第一夜 消防の図画 - Blue あなたとわたしの本

    消防の図画 四十歳になる女性から聞いた話です。 数年前、彼女がショッピング・モールに買い物に行ったとき、「消防の図画」の表彰式が行われていました。あぁ、わたしも小学生のころ表彰されたな、とふいに彼女は思い出した、それで帰郷したおりに母親に尋ねてみたそうです。ねぇ、お母さん、むかし消防の図画で賞をもらったよね。絵、まだあるかな? と。母親は、残してありますよと答えました。女性は、お母さん見せてよ見せてよと子どものようにせがんだそうです。母親はゆっくりと立ちあがり、ふすまをあけて奥の部屋へ行きました。やがて平たい箱を持って戻ってきた。紙でできた蓋をとると、まず賞状が出てきました。特選、と記されています。そうだ特選だったんだと彼女も思い出した。賞状の下から絵が出てきました。消防車は遠くに小さく描かれ、消防士たちが大きく描かれている。二人一組で担架を持ち、焼け爛れた人びとを運んでいる。二十人はいそ

    四夜連続怪談 第一夜 消防の図画 - Blue あなたとわたしの本
    suzukiyuta3104
    suzukiyuta3104 2017/07/26
    怪談もかけてしまうのですね!自分にこんなことが起こったらこわすぎです。。
  • 魅力的な文章とは? 推敲時のチェックポイント - Blue あなたとわたしの本

    Blue あなたとわたしの 192 エッセイ Blue 9「魅力的な文章とは? 『Blue〜』的考察」を加筆修正したものです。 ほとんどの人にとって、文章を読むのはつらいことだと僕は思うんです。 結論から言うと、魅力的な文章とは読むのに苦労しなくてもいい文章、ということになります。歯をくいしばらなくても読み進められる文章です。異論はあるかと思いますが、僕にとってはそうです。 では読み手に努力感を感じさせない文章とは、どういったものなのでしょう? ◯ リズムのある文章 心地よいリズムのある文章だと思います。読んでいて行から行へ、苦もなく飛び移らせてくれる文章です。行と行でブツブツと切れている印象だと、乗ることができません。読み手は「しんどいなぁ」と感じてしまいます。 極端なことを言えば 内容がたいしてなくても、リズムさえあれば人は読みつづけられます。リズムに乗って読んでいる、そのこと自体が

    魅力的な文章とは? 推敲時のチェックポイント - Blue あなたとわたしの本
    suzukiyuta3104
    suzukiyuta3104 2017/07/07
    文章に対する思いの強さが伝わります。ここまで考えてこそ 本当に最良のものが生まれるのですね。
  • 急な登り坂を走れ、己の名前を刻んだ旗をかかげ - Blue あなたとわたしの本

    Blue あなたとわたしの 191 すでに出来上がったブランドネームにさ、 擦り寄って、 利用すれば、 そこそこはうまくいくんだよ、 たいていのことは。 さして好きでなくとも、 大してスゴいと思ってなくても、 それがブランドで ありさえすれば── 。 世の中、そういうところって、あるよな。 ところがあんたはさ、 己の名前を刻んだ旗を振り回しながら走ってるように見えるんだよ。 ブランドネームでもなんでもねえ、 誰一人として知りもしない、 あんたの名前を書いた、 大きいだけで、 みすぼらしい旗を、さ。 見ててたまんねぇんだよ。 ブザマなんだよ。 涙が出てくんだよ。 でもそんなあんたが、たまらなく 好きなんだよ。 なんでだろうなぁ。 なんでかなぁ。 俺自身も、 似たような人間だからっていうのもあるのかもな。 あんたよりかはズルいかもね。 不器用なんだろうなぁ。 ヘンに潔癖なんだよ。 アホなんだ

    急な登り坂を走れ、己の名前を刻んだ旗をかかげ - Blue あなたとわたしの本
    suzukiyuta3104
    suzukiyuta3104 2017/06/28
    ぶざまでもかっこ悪くても先に何があるのかわからないけど、走り続けて自分を燃やせたらそれだけで十分ですね。