だがそんなことはあり得ない。残留派が勝利すれば、英国は2分された状態が続くだろう。離脱派は苦い感情を抱え、政治生命の危機に立たされよう。 一方、最近の世論調査が示す通りに離脱派が勝利すれば、経済の混乱と政争が待ち受けている。主権を取り戻すと訴えてきたはずなのに、英国は経済動向と、自らが撥ね付けたEUの加盟国に、依然として命運を握られているからだ。今では離脱派もこのことを理解している。 英国のデービッド・キャメロン首相は、投票で離脱が決まれば、リスボン条約50条を直ちに発動すると述べている。この条項は、EUから離脱するための手続きを定めている。英国とEUが離脱交渉をまとめるための期限は2年間だ。延長は可能だが、それには加盟国全ての賛成が必要である。 期限内に合意に至らなければ、英国は世界貿易機関(WTO)が定めた規則の下でEUとの貿易を行う以外に道がなくなる。このことは、EUとの貿易に関税が