穏やかな波、荒々しい波、美しい波……。世界を航海して波の観測と研究に打ち込んだ海洋物理学者で、九州大学名誉教授の光易恒(みつやすひさし)さん(92)が初めての写真展「海の波を見る」を福岡市で開いている。刻々と変化する波の一瞬をとらえた、貴重で不思議な光景が並ぶ。 会場には「波の誕生」「青年期の波」「波齢・波の年齢」などと題した写真十数点が展示されている。 「海の波の一生は、人間の一生と似ている」と光易さん。風が吹くと、さざ波が誕生し、風からエネルギーを吸収して成長する。広大な海を悠然と伝わっていき、海岸に達して一気に砕け、終焉(しゅうえん)を迎える。 光易さんは大学卒業後の1952年、当時の運輸省運輸技術研究所に入り、港湾技術に関連して海の波の研究を始めた。65年に九大に転じると、観測のために本格的に外洋に出るようになった。 船で沖に向かい、加速度や傾斜、位置などを測る機器を海に下ろし、デ