reviewに関するsymbioticwormのブックマーク (329)

  • 大人のためのテニプリミュージカル的な…『チャレンジャーズ』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus

    ルカ・グァダニーノ監督の新作『チャレンジャーズ』を見てきた。 www.youtube.com 幼なじみのテニス仲間であるパトリック(ジョシュ・オコナー)とアート(マイク・ファイスト)は、女子選手の中でも飛び抜けた有望株である魅力的なタシ(ゼンデイヤ)に憧れていた。タシは試合で勝ったほうに電話番号を教えると言い、パトリックが勝利してタシと付き合うようになるが、タシが大ケガをしたことをきっかけに別れてしまう。数年後、タシはアートのコーチ兼となっていた。 予告からするとゼンデイヤ演じるタシが昔ながらのファム・ファタルみたいな感じだが、実際に映画を見てみるとかなり新しい感じのひねりがあり、全員がけっこう腹黒い…というか、みんな身勝手な策略をめぐらすタイプである。見え見えの策略でタシと付き合いたい気持ちをちらつかせるアートはまだ正直なもんで、その甘さがカワイイと言える気がする…のだが(全体的にアー

    大人のためのテニプリミュージカル的な…『チャレンジャーズ』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus
  • 書評 「心理学を遊撃する」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    心理学を遊撃する 作者:山田祐樹ちとせプレスAmazon 書は認知心理学者山田佑樹による,「心理学の再現性問題」についてそれをリサーチ対象として捉えて突っ込んでいった結果を報告してくれる書物である. 「心理学の再現性問題」は,心理学者にとって自分のリサーチの基礎ががらがらと崩れていくかもしれないような重苦しいテーマであるに違いない.しかし著者はそれを軽やかに取り上げ,様々な角度からつつき,質を見極めようとする.物語としてはその突貫振りが楽しいし,再現性問題が非常に複雑な側面を持ち,かつとても興味深い現象であり,到達点がなお見えない奥深いものであることを教えてくれる.それはまさに最前線からの「遊撃」レポートであり,迫力満点の一冊だ. 第1章 心理学の楽屋話をしよう 第1章では心理学の「楽屋話」が書かれている.まず著者の駆け出しのころの研究(ランダムネスの知覚),面白い効果を実験で示せたと

    書評 「心理学を遊撃する」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
  • 非常に重い映画~『月』(試写) - Commentarius Saevus

    『月』を試写で見た。同名小説映画化である。 www.youtube.com かつてはヒット作を書く小説家だった堂島洋子(宮沢りえ)は森にある障害者施設で働き始める。実は洋子には以前、売れない映画作家である夫の昌平(オダギリジョー)との間に障害のある子どもが生まれていたが、幼くして亡くなってしまっていた。洋子は施設で絵が好きなさとくん(磯村勇斗)をはじめとする同僚に会うが、施設では障害が重い収容者に対する虐待が行われていた。 現実に起こった事件を題材にしており、とにかくものすごく重くて暗い映画である。さらに原作が書かれたプロセスじたいについても、実際の事件や障害者の人権について作家がある意味では障害者の視点を簒奪して書くのはいいことなのか…というような相対化というか内省があり、作るほうも戸惑いつつそれでも作らないといけないと思って作ったというような映画になっている。ただし、この内省みたいな

    非常に重い映画~『月』(試写) - Commentarius Saevus
  • 『人魚姫』は何の話なのか?~『リトル・マーメイド』の原作に戻る - wezzy|ウェジー

    先月、ディズニーの実写映画版『リトル・マーメイド』のティーザートレイラーが公開されました。『リトル・マーメイド』は1989年にアニメ映画が公開され、低迷気味だったディズニーに大ヒットをもたらしました。ディズニー・ルネサンスと言われる、ディズニーにとっての復活の時代の始まりとなった映画だと言われています。 『リトル・マーメイド』のヒロインである人魚のアリエルを実写版で演じるのは、黒人女性であるハリー・ベイリーです。ベイリーは歌唱力が抜群で、アニメか漫画から出てきたようなちょっと浮世離れした雰囲気もあり、ディズニープリンセスにはぴったりだと思いますが、アニメ版のアリエルは赤毛でどちらかというと白人に近い容姿でした(人魚に人間同様の人種があるのかどうかはあまりよくわかりませんが)。このティーザーは前作では白人だったアリエルが黒人になったということで人種差別的な攻撃を受けることとなりました。作の

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  • あれって何だったんだろう…『aftersun アフターサン』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus

    シャーロット・ウェルズ監督『aftersun アフターサン』を見てきた。 www.youtube.com 1990年代末、11歳のソフィ(フランキー・コリオ)が31歳になる父カラム(ポール・メスカル)とトルコで過ごした休暇を、その20年後に大人になったソフィ(セリア・ロールソン・ホール)が回想するという枠のある作品である。90年代の話が主だが、ソフィが撮ったビデオ映像と現在のソフィの場面が少しずつ入る。90年代の話はだいたいはソフィの記憶らしいのだが、たまにカラムだけの場面があり、これはおそらくはソフィの想像か何かだと思われる。 何しろ子どもの目を通して過去が語られるという形なので、ソフィはかなり「信頼できない語り手」で、いったいカラムがなんで憂そうなのか、具体的に何が起こっているのか、といったことはよくわからない。ソフィが大人になってからああでもない、こうでもない、あれって何だったんだ

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  • 祖先を発見する~『オマージュ』(試写、ネタバレ注意) - Commentarius Saevus

    シン・スウォン監督『オマージュ』を試写で見た。 www.youtube.com 中年の女性映画監督ジワン(イ・ジョンウン)は、新作が全く当たらず、仕事はスランプ気味で、家庭生活も煮詰まっている。そんなジワンのところに、音声が途中から欠落している映画『女判事』の修復の仕事が来る。『女判事』は60年代のパイオニア的な女性映画監督で3作しか映画を撮らなかったホン・ジェウォンの作品で、最近発見されたフィルムを記念上映用に修復する必要があった。ジワンは『女判事』についての情報を集めるべく、調査を開始する。 このところ『エンドロールのつづき』、『バビロン』、『エンパイア・オブ・ライト』など、過去の映画に関するノスタルジアに満ちた映画がけっこう作られているが、私の個人的な趣味ではこの『オマージュ』がダントツに面白い。監督の半自伝的な要素がある作品だそうで、監督自身が韓国の最初の女性映画監督についてドキュ

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  • クイルが聴かない音楽は誰のためにかかるのか~『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus

    『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3』を見てきた。 www.youtube.com ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーはノーウェアの整備を続けていたが、ロケット(ブラッドリー・クーパー)が突然襲撃され、大ケガをして倒れてしまう。ロケットの治療を試みる一行だが、ロケットを作った企業が設定したコードを入手しないと治療ができないことがわかる。どうやら作り主がロケットを狙っているらしいということは理解しつつ、一行はロケットを作ったハイ・エボリューショナリー(チュクウディ・イウジ)の会社であるオルゴコープに向かう。 現在のような形のガーディアンズ・オブ・ギャラクシーはこれで三部作完結ということで、これまでの話を綺麗にまとめた作品である。一方でだいぶここまでのガーディアンズ・オブ・ギャラクシーシリーズとは違う新しいことをしており、けっこう大人な感じの作品にもなっている。3作の中では一

    クイルが聴かない音楽は誰のためにかかるのか~『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus
  • ハリソン・フォードのアップデート~『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』 - Commentarius Saevus

    『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』を見た。 www.youtube.com 吟遊詩人のエドガン(クリス・パイン)と戦士のホルガ(ミシェル・ロドリゲス)は親友同士で、窃盗で投獄されていたが刑務所の仮釈放審査を利用して逃げ出すことに成功する。2人はかつての盗賊仲間で現在は出世して領主になっている詐欺師のフォージ(ヒュー・グラント)に引き取られているはずのエドガンの娘キーラ(クロエ・コールマン)を探しに行くが、父親ぶりたいフォージはキーラにデタラメを教え、エドガンとキーラを引き裂いてしまう。エドガンは昔の盗賊仲間をまた集め、新しい仲間も加えてキーラを取り戻すための作戦を練るが、実はフォージの領地では大きな陰謀が進行していた。 もとになっているゲームを知らなくても楽しめる作りで、気軽に見られるコミカルな冒険ものである。魔法の杖をめぐる展開などはちょっと強引すぎると思えるところもある

    ハリソン・フォードのアップデート~『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』 - Commentarius Saevus
  • エヴリン、イヴ、エヴリーウーマン~『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus

    ダニエルズ(ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート)監督による『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』を見た。 www.youtube.com 中国系のエヴリン(ミシェル・ヨー)はアメリカでコインランドリーを営んでいるが、税金の申告が大変で店はヤバい状態、夫ウェイモンド(キー・ホイ・クァン)からは離婚を切り出されそうだし、レズビアンの娘ジョイ(ステファニー・スー)とは折り合いが悪く、さらに春節で頑固な父(ジェームズ・ホン)までやって来ているということで、人生がいっぱいいっぱいである。ところがそんなエヴリンが税金の申告に行ったところ、夫のウェイモンドが突然、マルチバースの別のユニバースであるアルファバースからやってきたアルファウェイモンドになってしまう。エヴリンは、どうも自分はアルファバースでは大変な大物らしいということを知る。しかもアルファバースバージョンのジョイことジョブ

    エヴリン、イヴ、エヴリーウーマン~『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus
  • ギークガールを通して描く、現代のプリンセス像──映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』

    11月11日(金)公開のマーベル映画の最新作を、シェイクスピア研究者でフェミニスト批評家の北村紗衣が読み解く。 *以下、結末までのネタバレを含みます。 王座か、それとも個人としての人生かマーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCUと表記)の新作『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』は、2018年に公開された『ブラックパンサー』の続編にあたる。前作同様ライアン・クーグラーが監督をつとめ、メインキャストの多くも再登場している。登場していないのは、前作のタイトルロールであるブラックパンサーことティ・チャラ(チャドウィック・ボーズマン)だ。 前作の主人公が出演していないのは、主演のボーズマンが2020年にガンにより亡くなったからだ。カリスマ的な魅力と演技力を兼ね備えたスターであったボーズマンの夭逝は映画界にもファンにも大きな衝撃を与えたが、アフリカアメリカ人の観客にとって重要なシリーズ

    ギークガールを通して描く、現代のプリンセス像──映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』
  • 発達障害と診断された私~ASDとADHDだとわかるまでに出会った本や映画について - wezzy|ウェジー

    突然ですが、私はごく最近、病院で発達障害だと診断されました。軽い自閉症スペクトラム障害(ASD)と注意欠陥多動障害(ADHD)だということです。 自閉症スペクトラム障害はコミュニケーションがうまくできず、特定のものに強いこだわりがある症状、注意欠陥多動障害は文字通り注意力散漫とか多動の症状を示す障害です。 自分から検査を受けに行ってわかったので、とくに驚きはなかったのですが、今回の連載ではいつもと少し趣向を変えて、この経験について書いてみたいと思います。「自分は発達障害なのでは?」と思っている人などに、多少なりとも情報を提供できると良いと思っているからです。 ちっちゃな頃から 私は小さい頃から友達がとても少なく、人と話すのも苦手でした。完全に信頼できると思ったごく少数の相手としか親しくならず、みんなと仲良くする必要はないと思っていました。 人の目を見て話せなかったので、十代の頃には肖像画に

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  • 夫がカルトを始めたら?~キャサリン・ヘップバーン&スペンサー・トレイシーの異色作『火の女』 - wezzy|ウェジー

    2022.08.13 11:00 夫がカルトを始めたら?~キャサリン・ヘップバーン&スペンサー・トレイシーの異色作『火の女』 7月10日の安倍晋三元首相殺害事件以来、旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)が連日、ニュースを騒がせています。 旧統一教会のみならず、神道政治連盟や天照皇大神宮教(私とそっくりな名前の教祖が始めたところがビックリですが、親戚ではありません)など、右派的な宗教団体と政治のつながりが注目を浴びています(これは事件以前から、文化人類学者である山口智美モンタナ州立大学准教授をはじめとして、さまざまな専門家が指摘していたことです)。カルトが日のマスコミでこれほど注目を浴びるのは1995年にオウム真理教メンバーが起こした地下鉄サリン事件以来のことかもしれません。 カルトに関する映画はたくさん作られており、ポール・トーマス・アンダーソン監督が2012年に作った『ザ・マスター』や

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  • 「欲望を取り戻すー燃ゆる女の肖像における「まなざし」と「身体」」 - Getting Lost in the City

    5月の文学フリマで出した夏のカノープス『水と空気とフェミニズム』に掲載した「欲望を取り戻すー燃ゆる女の肖像における「まなざし」と「身体」」です。おかげさまで『水と空気とフェミニズム』が売り切れてしまったこともあり、どこかにこの批評を残しておきたいと思い、お願いしたところ許可をいただけたのでこのブログに載せます。 映画のネタバレが含まれているので未見の場合は注意してください。 「欲望を取り戻すー燃ゆる女の肖像における「まなざし」と「身体」」 フランス印象主義を代表するメアリー・カサットが描いた≪桟敷席にて≫(1878年)という作品がある。この絵画は、劇場の桟敷席からオペラグラスを構えて真っ直ぐに前方を見つめる黒いドレスの女性が手前に描かれている。その奥、後景にはオペラグラスで身を乗り出して明らかに舞台ではなくこちら側の女性を見る背広の男性がいる。19世紀後半のパリではオペラや演劇鑑賞はブルジ

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  • 竹倉史人「土偶を読む」について|白鳥兄弟

    記事は、NHKのニュースで取り上げられるなど、大々的にプロモーションを展開して話題となった竹倉史人氏の著書『土偶を読む』(晶文社)について、筆者(白鳥兄弟=高橋健)の意見を述べるものである。 記事の公開に至る経緯 竹倉史人氏の著書『土偶を読む』について、5月下旬に日経済新聞社にコメントを求められ、取材に対応した。筆者は土偶の研究者ではないが、考古学を専門とする学芸員として博物館に勤務しており、「土偶マイム」のパフォーマンスを行っていることもあって、取材の依頼があったものだと思われる。取材を受けるにあたってまとめたメモが、記事の原型である。 取材は1時間半以上にわたったが、紙面に掲載された筆者のコメントは百文字足らずであり、また記事全体の論調については筆者の関知するところではない。もちろんこうした新聞記事でのコメントの使われ方については承知しているので、この点についての不満は特にない

    竹倉史人「土偶を読む」について|白鳥兄弟
  • お嬢様とメイドさんの間にシスターフッドはあるのか?『おだまり、ローズ』から『荊の城』まで - wezzy|ウェジー

    2021.06.12 07:00 お嬢様とメイドさんの間にシスターフッドはあるのか?『おだまり、ローズ』から『荊の城』まで 「シスターフッド」は最近とてもよく使われる言葉です。文字通りには「姉妹であること」を指しますが、フェミニズムの文脈では血縁を越えた女性同士の連帯を表す言葉として使われています。この使い方は意外と古くからあり、オクスフォード英語辞典によると1914年からあるそうです。 シスターフッドという言葉は、とくに知り合いではないような多数の女性が同じ目的とか理想に向かってゆるやかに政治的に連帯する時から、場合によってはレズビアンの恋愛など特定の女性同士のかなり排他的で強い結びつきまで、わりと広い範囲を指してもやっと使われます。「百合」とも重なる概念ですが、百合はレズビアンの恋愛を中心にその周りにある必ずしも恋愛とまでは言えないかもしれないけれどもロマンティックな女性同士の友愛を指

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  • 人はなぜ、ウソの歴史を信じるのか? 青森発のフェイクニュースと闘った地方紙記者の記録 (東奥日報・斉藤光政氏、2020年) [ 調査報道アーカイブス No.91 ] | Frontline Press

    人はなぜ、ウソの歴史を信じるのか? 青森発のフェイクニュースと闘った地方紙記者の記録 (東奥日報・斉藤光政氏、2020年) [ 調査報道アーカイブス No.91 ] 『戦後最大の偽書事件「東日流外三郡誌」』(東奥日報・斉藤光政氏、2020年) [ 調査報道アーカイブス No.91 ] ◆ニセモノ作りの現場をファクトで暴いていく取材 「東日流外三郡誌」と書いて、「つがるそとさんぐんし」と読む。古代の津軽(東日流)地方には、邪馬台国から迫害された民族による幻の文明が栄えていた──。外三郡誌は、歴史の教科書に書かれていない「もう一つの日史」が記録された“古文書“である。1947年に青森県五所川原市の農家の屋根裏から大量に発見され、その数は数千冊にのぼった。 ところがこの古文書、すべてニセモノだった。いや、正確には「偽書との評価が定着している」といった方が正しいかもしれない。外三郡誌をめぐっては

    人はなぜ、ウソの歴史を信じるのか? 青森発のフェイクニュースと闘った地方紙記者の記録 (東奥日報・斉藤光政氏、2020年) [ 調査報道アーカイブス No.91 ] | Frontline Press
  • 『スヌープ・ドッグのお料理教室』を読んで考える、料理と「男らしさ」の問題

    一人前の男は料理ができる?雑な言い方だが、料理には2種類ある。とにかく実用的なものと、読み物として面白いものだ。 『スヌープ・ドッグのお料理教室 60のプラチナ極上レシピ』(晶文社、2022年)は後者である。使えないだというわけではない。スヌープ・ドッグの職はラッパーだが、料理の専門家マーサ・スチュワートと『マーサ&スヌープのポットラック・ディナー・パーティー』という番組を作ったくらいで、料理好きとして知られている(マーサがこのに序文を書いている)。完成品の写真がない料理や、アメリカ風に豪快すぎて作りにくそうな料理もあったりするが、基的にはちゃんとしたレシピだ。私も実際にこのを使って料理を作ってみたが、美味しくできた。 しかしながら、たぶんこのは実用性よりも、スヌープの話が面白いというところが売りだ。料理には「ダ・ネクスト・レヴェル・サーモン」とか、ラッパーが自慢をしている

    『スヌープ・ドッグのお料理教室』を読んで考える、料理と「男らしさ」の問題
  • そこはカンザスじゃないみたいよ~『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus

    ウェス・アンダーソンの新作『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』を見た。 www.youtube.com とても説明のしづらい映画である。カンザスの新聞社のフランスにある支社みたいなところが『フレンチ・ディスパッチ』なる英語の別冊雑誌を出しており、そこの編集長アーサー・ハウイッツァー・Jr.(ビル・マーリー)がお亡くなりになって雑誌が廃刊されることになる。その最終号の記事をオムニバスっぽい形で描くというものである。一応、話が4つ+エピローグというような形式になっている。1話目はサゼラック(サゼラック)が自転車でこの雑誌社のあるアンニュイの町について案内するレポート、2話目はベレンセン(ティルダ・スウィントン)が語る刑務所に服役していた画家ローゼンターラー(ベニチオ・デル・トロ)の話、3話目はクレメンツ(フランシス・マクドーマンド)が学生運動をレポートする話

    そこはカンザスじゃないみたいよ~『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus
  • フランス映画『エール!』のリメイク~『コーダ あいのうた』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus

    『コーダ あいのうた』を見た。 www.youtube.com 舞台はマサチューセッツ州の港町グロスターである。耳の聞こえないロッシ一家で唯一、聞こえるメンバーである娘のルビー(エミリア・ジョーンズ)はCODA(Children of Deaf Adultsを指す語と音楽用語を引っかけている)は両親と兄の手話通訳をつとめつつ、家業である漁に勤しみながら高校に通っていた。ところがルビーは合唱クラスで自分に歌の才能があることがわかり、音楽のヴィラロボス先生(エウヘニオ・デルベス)に音大進学をすすめられる。 フランス映画の『エール!』(2014) にそっくりだと思って見てたら、どうもリメイクらしい。『エール!』は農業国フランスということで家業が農場だったのだが、『コーダ』はアメリカの港町が舞台になっている。最近、マサチューセッツ州の港町の話というと『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(2016)

    フランス映画『エール!』のリメイク~『コーダ あいのうた』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus
  • 批評の教室 北村紗衣著 「推し活」に役立つ技術指南 - 日本経済新聞

    SNS(交流サイト)の隆盛で、映画の感想を誰でも簡単に発信できるようになった。より充実した内容を発信するために批評技術の基礎を学びたいという需要を取り込んだのが『批評の教室』(ちくま新書)だ。3万部でヒットと言われる新書で、昨年9月の刊行から5刷3万2500部となっている。「想定していた読者と違った」と編集を担当した藤岡美玲さんは驚く。著者はフェミニスト批評で知られる気鋭の英文学者で、これ

    批評の教室 北村紗衣著 「推し活」に役立つ技術指南 - 日本経済新聞