広島大の山脇成人教授(精神神経医科学)らの研究グループがうつ病の診断に、脳細胞を活性化するたんぱく質の遺伝子の働き具合を指標とする新しい方法を開発した。 採血から2日後にほぼ確実に診断できるという。うつ病の診断は、医師の臨床所見による主観的判断で行われているが、客観的な診断が期待できるという。31日付の科学誌プロスワン電子版で発表する。 山脇教授らによると、このたんぱく質は記憶や神経細胞の発達に必要な「脳由来神経栄養因子(BDNF)」で、うつ病患者の血液中には相対的に少ないことに着目した。 中程度のうつ病で、59~30歳の男女計20人の血液を採取し、BDNFを作り出す遺伝子の働きを調べた。その結果、遺伝子が働き出す初期の部分をみると、20人全員の血液で、ほとんど機能していないことを確認した。山脇教授は「症状の早期発見や投薬治療の効果を調べる指標としても役立つ」と話す。