※PCでご覧の方で、文字が小さく感じられる方は、左サイドバーの「文字サイズ変更」の「大」をクリックしてお読み下さい。 この夏に読んだ本の中では、断トツの一冊である。 帯に《『アンネの日記』を凌ぐ感動》とあったので、過剰表現かなと思ったが、そうではなかった。 本当に、一人の若い女性の生き方に、私は心を揺さぶられた。 昭和19年から昭和20年。 日本の歴史の中で、この時期ほど多くの悲劇を生み、前途に無限の可能性を秘めた若者たちが斃れていった日々はない。 この暗い時代に、若者は何を考え、どのように生きていたのか…… そして死んでいったのか…… 戦没学徒兵の手記集『きけわだつみのこえ』や、山田風太郎の『戦中派不戦日記』をはじめとして大佛次郎、高見順、永井荷風、渡辺一夫、徳川夢声、中野重治、海野十三、伊藤整などの著名人の日記で、この時期に生きていた人々が何を考えていたのかの一端は知ることができる。