去年の夏以降、民主主義を求める多くの市民が抗議活動を続けてきた香港。中国が導入した「香港国家安全維持法」の施行で状況は一変し、その目標は一層遠のいた。そんな中、9月に予定されている議会選挙は、市民が抵抗の意思を示す最大の機会。しかしこれが最後の機会となるかもしれない。(香港支局長 若槻真知) 大勢の警備員に取り囲まれながら声を上げる若者。その声も次第に小さくなっていく。 去年夏から昼の休憩時間にあわせて呼びかけられる商業施設でのランチタイムデモ。数千人が集まり周辺の通り一帯を埋め尽くすこともあった。 「香港を取り戻せ」の掛け声があがると、集まった人が「革命の時だ」と続ける。スローガンが書かれた旗を掲げる。そんな光景はもう、ない。 「香港国家安全維持法」が施行された6月30日の深夜を境に香港は変わった。反政府的な動きを取り締まるためとして「国家の分裂」「政権の転覆」「テロ活動」「外国勢力と結