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ブックマーク / kmiura.hateblo.jp (63)

  • 無声慟哭 - kom’s log

    朝の5時半、寝ていた無珍先生が起こされた。 「いいかい、パパは今ドイツに戻る。無珍先生はネエネと日で暮らすんだよ」 私はそう伝えた。無珍先生は目を見開いた。その目がみるみるうちに潤んでいった。たちまち大粒のナミダがボロボロと流れた。しかし表情はかわらず、目を大きく開けたまま、声も出さずにナミダだけがこぼれ頬を伝い寝間着に染みこんでゆく。一言も泣き声をあげずに、口を結んだまま。私は絶句した。産みの母親を生後二ヶ月半で失い、四歳になって一ヶ月、父親の私も離れていこうとしている。 私は玄関でを履きバックパックを肩にかけ、義理の妹がだっこしている無珍先生に向き直った。無言の私、無言の無珍先生。義理の妹も無言のままじっと無珍先生を抱きしめている。じゃあ、オーベン(肩車)してあげようか、というと、無珍先生はいつものようにうれしそうな顔で両手をめいっぱい伸ばしてきた。肩にのると、毎度のことながら私の

    無声慟哭 - kom’s log
  • イデオロギー - kom’s log

    気温が摂氏15.0度である。これは測定値であり、厳密に測定された値である。一方、15.0度の屋外において半袖で1時間過ごしたときにどれだけの人間が風邪をひくか、という統計値があったとする。仮に100人に1人が風邪をひく、という結果だったとする。なにもしなくても健康の不注意から風邪をひくことはあるわけで、このことを勘案した上での解析結果、余剰のリスクである、とする。 あなたは15.0度の屋外で半袖のまま1時間過ごすべきだろうか。この国は妙な国で、国をあげて半袖で外で過ごすことを奨励している。薄着は健康の増進に役立ち、ひいては社会を安定させることになる、と考えられているからである。「半袖で社会貢献」などといった標語まであり、街角でそんなノボリをみかけることもある。 来科学者は、計測することしかできない。あくまでも計測。数字をだす。とはいえ、ある科学者は「100人に1人しか風邪を引かないんだっ

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  • フランクフルトの税関 - kom’s log

    このところフランクフルトの税関で立て続けに演奏家のバイオリンが課税対象になってその場で払えない高額であるため没収された、という件が話題になっている。 http://matome.naver.jp/odai/2134941753199027401 http://nofrills.seesaa.net/article/296070497.html あららー、と思っていたら10日前私が日からドイツに戻ってきたとき、見事にフランクフルト空港ターミナル1の税関で引っかかった。私は近年税関で捕まることは滅多にないのだが、今回はいかにも移民風な安い布製のでかいスーツケースにボロい小さなボストンバックだったんで、怪しい、と思われたんだろうな、と捕まった瞬間に思った。以前はかなりヨレヨレの格好していたからよく捕まっていたものである。 とはいえ今回なにが問題になったかというと、スーツケースに一杯入っていた両

    フランクフルトの税関 - kom’s log
    synonymous
    synonymous 2012/10/09
    みんな引っかかってるのですね。
  • トゥルク・フィンランド - kom’s log

    最初にトゥルクに来たのは2007年だった。60人乗りの小さなプロペラ機で到着した飛行場でスーツケースが出てくるのを待つ。ベルトコンベアがぐるっと回っているその真ん中に、巨大なムーミンが手を広げて立っている。そういえば5年前も4年前もこのムーミンは同じ格好で立っていたよな、と思い出す。やがて出てきたスーツケースを持ってタクシー乗り場に向かうとこれまた以前のように、タクシーがいない。なにしろ待っているタクシーはいつも数台しかいないのである。私より先に出た他の乗客が乗ってしまって、次が来るのをまたなければいけないのだ。 まあ、そのうちやってくるだろうと、やたら静かな田舎の駅のような飛行場の軒先のタクシー乗り場のベンチに一人で座る。大きな虫が何匹も北の短い夏を生きいそぐような凄まじい勢いで飛び回っている。こんなでかいのに刺されたら困るな、と思いながら電話を取り出してホテルの予約の確認などをしている

    トゥルク・フィンランド - kom’s log
  • ボルドー断章 - kom’s log

    7月から8月半ばまで、夏だというのに申請書だの原稿だのフィンランドのプログラムだの〆切がいろいろあって、ドタバタしていた。技術関連のミーティングに登録したら、会議の紀要に論文を書くことが必須なのだという。生物系だと概要だけ書いて発表なので勝手が違う。理系でも分野による作法の違いは著しく。このあたりの差が、複合分野の場では申し合わせのなかった不測のあれこれを引き起こして慌てたりするのだが、まあ、なんというか、ある分野で常識と思っていることは他の分野では非常識だったりするわけである。違う文化。 - ドタバタしていたのはこれまでほとんど出張との組み合わせでしか休暇を取らなかった私には少々難度の高い家族旅行という〆切もあったからである。あらかじめの用事もなくスクラッチから旅行を考えるのは久しぶりだった。行き先は今や貧乏画家のフランス人の友人が住むボルドー。彼は「政治にまみれた科学」に失望しポスドク

    ボルドー断章 - kom’s log
    synonymous
    synonymous 2012/09/18
    『異性愛、家族愛、博愛、人類愛と愛はレベルづけされているが、自然愛がもっとも広汎かつ過激であり、環境保護とは全くの対極に位置する。ピュアな科学者とはそのような神の視点の困った存在である』
  • ケンカのイロハ - kom’s log

    東京都の副知事である猪瀬直樹が一ヶ月前に次のような発言をしている。 泳いで来るのだから、こちら側から蹴りを入れれば一発だよ。水に顔を突っ込み、参ったかとやりグロッキーにして上陸させず来た船に帰してやればよかっただけのことだよ。こんなもん、ケンカのイロハだ。 2012年8月19日 - 10:57 そうこうしているうちに中国では抗日デモが21世紀最大の規模で盛り上がり、満州事変勃発の日である日9月18日には1000隻の中国の漁船が尖閣諸島に到着する、とのことである。10隻に満たぬ日の海上保安庁は「お手上げ」とすでに申し出ている。中国のこうした激発は「想定外の事態」であったらしい。原発事故や外交問題は事務手続きではない故、書式システムには想定しがたいのは確かだろう。野田政権は海上自衛隊の艦船をさきほど尖閣諸島に移動させ始めたとのことである。 英語の記事を眺めたところ、この事変の評価はおおよそ

    ケンカのイロハ - kom’s log
    synonymous
    synonymous 2012/09/18
    「戦時動員の思考」非常時の思考。「あなたが求められている!」 尖閣関連のニュースがことごとく扇動風味を帯びていたことは確かです。
  • フィンランドの国際化 - kom’s log

    フィンランドのことでメモしておくべきことがある。2007年に教えたときと、今回2012年の大きな違い。学生の構成である。教室にやってくる学生は、院生からポスドクたちなのだが、2007年の時点ではそのほとんどがフィンランド人だった。留学生というと、スウェーデン人、イギリス人、ドイツ人がちらほら。日人もひとりだけいた。フィンランド人の学生って日の学生に良く似ているなあ、と思ったのは、講義の途中でなにか質問は?と聴くと、シーンとしている一方、では終わりますといって、廊下にでると小走りで追っかけてきて、すみません、ちょっと質問が、とすまなそうな顔をしていいに来るところだった。まあ、そんな感じだったのである。 5年後の2012年、教えに行ってみたらなんと半分以上、70%が留学生だった。ヨーロッパの留学生、というよりもインド人、中国人、アラブ人、ペルシャ人、アフリカ人。正直言って、あんなにたくさん

    フィンランドの国際化 - kom’s log
    synonymous
    synonymous 2012/09/18
    反動が怖いなとか思う、正直。
  • 表象と代議制 - kom’s log

    無珍先生は10までは数えられる。なおかつ58だけはゴジュウハチと知っている。いつも駐車する場所が58番だからである。で、隣に59という数字が壁にかかれていたので無珍先生に「あれいくつ?」と聞いたら、ちゃんとゴジュウキュウ、と答えた。「無珍先生は天才だ!」と誉めたら「無珍は天才じゃないよ、無珍は無珍だよ」不満そうな顔で反論した。なにかそれに類する話。 2012年6月29日金曜日夕方に日の首相官邸前で数万人規模の大飯原発再稼働反対デモが行われた*1。再稼働阻止という目標は達成されなかった。 前回述べたようにデモに参加することの第一の意味は個人的なものであるからして、かくなる人数の人間がおそらく人生初となる社会体験を行ったというのは、まあ、なんかそれだけで凄いことだ。加えて、表象と代表制という点において重大な意味がある。表象と代議制というと飛躍しているように思われるかも知れないが、英単語で考え

    表象と代議制 - kom’s log
    synonymous
    synonymous 2012/07/05
    『代議制の代わりに官邸前に立った、という表象。弱体化した代議制という表象に我慢できなくなり、官邸前に出現するという表象行為を行い、それが群衆という形に可視化された』
  • 官邸デモと書式システム - kom’s log

    官邸を包囲するデモが毎週金曜日の夕方に行われ、週を経るごとに参集する人数がどんどん増えているのだそうである。私も東京にいたら出かけることだろう。デモというのは体感しないとわからないことがある。この点に関して5年前に書いたことがあるのでリンクする。 排除体積効果について その場に存在することが、単にある一定の体積を占めるということにおいて意味を持つ、というこの状況はやはり体感しないとわからない。上の文章で書いたネオナチ締め出しの話は、排除体積効果として物理的な意味を持っていたが、そこまで科学的に美しい結果とならなくとも、抗議のその場に一定の体積を占めて一人の人間が存在することは、シュプレッヒコール連呼やさらには暴徒化といった存在を主張する行動以前にもっとも質的で強力な抗議形態なのである。そこにいるだけで意味がある、というと、なにやら恋愛に目が眩んだ人間が口走りそうな台詞になるが、デモに参加

    官邸デモと書式システム - kom’s log
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    synonymous 2012/07/01
    民主主義の学校を我々もまた生きております。
  • 理解という許容 - kom’s log

    われわれが避けねばならぬのは、「理解するよう努める」ということの罠である。つまり、低線量被曝の確率的な健康被害が決着のつかぬ議論となる主要な理由は、誰もがそれを「理解しよう」と努めることにある。そういった態度の紋切り型の一つに従えば、「何が起きているかを説明しようとすれば、少なくとも広島長崎のLSS調査の統計的な手法とその解釈を理解し、測定誤差や精度の理論、内部被曝の臓器モデルなどあれこれについて知識を得なければならない」ということになるが、放射線の健康に対する影響の「複雑さ」をこのように強制的に喚起させることが結局何に貢献するかといえば、健康被害に注がれる疫学的眼差し、つまりは集団レベルで記述された健康被害に対して観察者(同時に被害者)という個人が保っている距離を維持することに貢献するのである。言い換えるなら、福島原発の事故以後の出来事が証明しているのは、「理解することは許すことだ」とい

    理解という許容 - kom’s log
    synonymous
    synonymous 2012/06/22
    『科学のカッコ入れは、科学の否定ではない。「リスク」もそうだ。』小賢しい政治をやるのは貴族だけでいい。『「あなたは確かに加害者である」と主張すればよい』
  • ギリシャ - kom’s log

    過去無珍先生と離れて暮らしたのは最大48時間であるが、ついに4泊5日のミーティングに一人で参加して少々緊張気味。義理の妹にこの半月で左ハンドル右側通行マニュアル運転をカタロニア人の友人と共に特訓し、送り迎え等に効率の滞りがないように計らったのであるがやはり不安である。ひそかに友人一同にも私がしばらくいなくなることを告げ、たとえ私が道中遅滞、逮捕、行き倒れなどになってもどうにかなるようにはからったつもりである。とはいえ、今日は泣いていないだろうか、など不安になりながら、ここ数年はじめて格的にひまになった時間、空港で待合席に座りながら虚空を眺めたり、ミーティングのコーヒーブレークの列にならんでぼけっとした瞬間、私は育てるのに必死なばかりだったのではないか、とはたと気がついた。無珍先生を自分が好きになっていることにはじめて気がついたのである。無珍先生という人間、たとえば今日は保育園で例のごとく

    ギリシャ - kom’s log
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    synonymous 2011/06/14
    「2010年はリーマンショックが社会に全面化した日本のグローバリゼーション元年である、とかねてから私は思っていたが、こうしたな形のハードランディングがあるとは私は本当に考えていなかった。」
  • 近況 - kom’s log

    ー 無珍先生はかなり言葉をしゃべるようになってきた。ドイツ語と日語のごたまぜ。単語をふたつならべてしゃべる感じである。それでも結構なコミュニケーションがとれるので、なかなか楽しい。ただ、朝まだこちらが寝ているときにダイビングで飛び乗ってきて「パパ起きた、パパ起きた」と騒ぐのは心臓がでんぐりがえるので勘弁してほしい思う。散歩の帰り道には家の近くにあるジェラート屋の前をとおるかなりて手前から「アイス、アイス、アイス」と催促する。一番少量のセットである三つほどの玉のアイスクリームのうちひとつを自分で選び3ユーロで買って、手をべたべたにしながら自分でもって家に戻り、ご満悦でアイスクリームをべる。アイスクリームはあまり好きではなかったが、付き合ってべているうちになんとなく好きになってきた。 ー 6時半頃家にかえってからのあそびの催促はたいへんなもので、寝てしまう9時過ぎまで私はなにもできない。

    近況 - kom’s log
  • 被曝リスクの計算について。 - kom’s log

    在日アメリカ人に向けて放射線のリスクを説明する短いセッションが2011年4月7日に東京で開かれた。米国大使館のウェブサイトにビデオへのリンクが貼られており、Youtubeで4つのセッションを眺めることができる。そのうち、放射線の健康リスクに関するセッションを私も見てみた。米国の国立がんセンターのSteve Simonさんによる、セミナー形式。 http://www.youtube.com/watch?v=ESyWIbcI_qE セッションの内容の概略は以下のようなものだ。 車の運転やスポーツのリスク、タバコのリスク。タバコを一ヶ月に一吸うと身体にわるいか?一日に一だったら?あるいは一日一箱だったら?ものは程度による。放射能のリスクも同じようなことである。 放射線はどんなに微弱なレベルであっても人体に影響を与える。この影響が健康を害する結果(特に癌)にいたるかどうかは確率的に決まる。この

    被曝リスクの計算について。 - kom’s log
    synonymous
    synonymous 2011/04/15
    「なによりも幼い子供たち、妊婦を優先して被曝から遠ざけるべきであるが、これまでのところ、日本政府がそうした懸念を表明し、行動にうつしているのを私はみていない。」
  • 2010-05-31

    無珍先生、犬を見て「ワワ」というようになった。きわめてマジメにこつこつとバルコニーから物を下に投げ捨てるので実に困る。 上記パブリックコメント募集中なる日発の回覧が回ってきたので、募集文書文を眺めてみた。すごく複雑。ここにはかかれていない暗黙の了解コンテクストがあるのだろう。なによりも未だに国家総動員体制でしか政策立てられないのだなあ、という政策立案者の限界を感じた。戦争は終わっていない。…と考えるのは昨日笠井潔の『例外社会』を読み終わったところで、頭がそっちに染まっているからかもしれない。 他の国家を超えるような科学政策を目指すのであれば、徹底的かつ戦略的にオープンで国家に閉じない形態を目指すのがよいだろう*1。科学の分は国家に閉じないインターナショナルな理念にあり、その王道に沿って政策を立案すれば、いまや世界の先進各国が推進する、あまたある各国の科学技術重視政策 − いずれもそれ

    2010-05-31
    synonymous
    synonymous 2010/06/03
    『未だに国家総動員体制でしか政策立てられないのだなあ、という政策立案者の限界を感じた』
  • ■ - kom’s log

    ある日、あなたが、長時間労働できなくなったら。〜「迷走する両立支援」を読みました〜 - kobeniの日記 http://d.hatena.ne.jp/kobeni_08/20100423/1272031425 片親で乳児を育てることになった私は、日だったら研究職はあきらめなければなかっただろうな、と想像する。義理の妹がいまだに手伝ってくれているとはいえ、仕事の絶対量は確実に減った。予防接種やら熱出したやら、といったときに私は仕事を中座して病院にいき親権者として同意書などにサインせねばならない。流感であれば登園禁止になるので仕事を休んで家で面倒をみる。仕事をこれまた中座して子供の保育園の行事にも出席し、他のおかあさんたちとドイツ語で歌なぞうたう。それでもなお、仕事を続けられているのは、社会にそれをうけとめるだけの余裕があるからだと思う(個人の職業倫理としては仕事のクオリティに確実にかかわ

    ■ - kom’s log
  • 年金制度の男女差別について - kom’s log

    某所にある社会保険局にいって彼女の死亡届をした。国民年金をマジメに払っていた人だったので、どのぐらい還付されるのかな、と思っていたのだが、300万円これまで払っていて、遺族に支払われるのは死亡一時金なる12万円である。のこりの288万円はそのまま国のもの。ろくなものではない。あまりに腹がたったので、「詐欺ですね、これ」といったら係の人が絶句してもうすこしエライ人がでてきた。生命保険だって元は補償されますよね、普通、といったら「国がみんなでやっている制度なので、ご理解ください」とのこと。国がみんなで、という言葉に”國體”というおどろおどろしい旧字があたまをかすめた。文句をいうならば、選挙で、とまでいわれた。まあ、そうだろう。 もし私が死んだ場合には、遺族年金なるお金がでて、毎年70万円だかがに支払われるそうである。しかし、私が生きていてが死んだ場合には死亡一時金12万円のみ。男だからど

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    synonymous
    synonymous 2009/07/01
    コメント欄の応酬に吹いた。早世で損するのは仕方ないが、世帯主と扶養家族の区別はまた別の話でしょう。
  • 葬式について - kom’s log

    一人の人間が死んだことを確認するためには儀式的な社会行為が必要であると知ったのはたぶんとても若い山仲間の友人が死んだときである。雪崩の中で窒息死した後輩の葬式。それまでは、葬式、あー、キッチュ、だった。確かに。くだらねえ、葬式。おれはあいつのために川にに飛び込む、葬式なんてしゃらくせえ。葬式がキッチュ、というのは実にあたりまえ、というか理の当然である。でもやらなきゃいけない。それが私が後輩の死から学んだことだった。Condolence。何度もいわれた。彼女のことを知らない人にも。でもそれでいいんだと思う。それは社会的合意なのである。一人の人間が死ぬ、というのは個人が死ぬのではなく社会のなかに穴がぽこっと開くことである。死はその当事者には確認できない。したがって死はどうしても社会的にならざるを得ない。 極端なことをいえば葬式によって擬似的に我々はその人を社会的に殺すのである。そのために葬式が

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  • 2004-11-03

    忙殺中。 腰痛先輩であるオランダ人に、いかにして最終解決を図ったのか伺いをたてたところ、「究極のところウォーターベットである」とのご宣託。それはちょっとなあ。 路上で立ち話したイタリア人が、日人観光客のよく泊まるホテルで働いている、とかで、「日人の女の口説き方を教えろ」と私に聞く。この5年働いていて成功したナンパがたったの3人だ、と悲しそうな顔をしている。で、どんな口説き方をしているんだ、と質問したら、「ヤラセロ」と彼はつぶやいた。彼には悪いが笑ってしまった。でも三人はいたんだなあ。 なるものを見つけたのでご報告。理系白書というと、目下大変動中の理系アカデミズムの問題などをかなりちゃんとフォローしている毎日の連載で、視点が国の側にスイングしてしまうこともあるものの、いろいろな問題を掘り下げているのでほかの大手メディアの科学報道にはない親近感がある。 http://www.mainich

    2004-11-03
  • 彼女が死んだ。 - kom’s log

    一ヶ月の間一緒に住んだ。二ヶ月の間、病院で過ごした。短い結婚生活が終わった。 脳幹の梗塞、ということで一度医師団に見放された後に奇跡的に復活したという話はここに書いた。その後の脳の機能回復は私からみるかぎりかなり目覚しく、瞬きを使ってどの曲を聴きたいか、などのコミュニケーションを交わすことができるようになるまで回復した。一方で脳ではなく体の予後が思わしくなかった。初期の激烈な血圧上昇剤投与を停止したことによる副作用と思われる虚血による後発性肝内胆道炎を起こし、おそらくそのことが原因となった肝膿瘍が発症からちょうど2ヵ月後に発見された。細菌の感染も軽微ではあるが、抗生物質で完全に排除することができなかった。脳、肝臓、感染の三つ巴のなかで、治療方針は難航を極め、集中治療室を出ることができずに時間ばかりが過ぎた。この間に私はリハビリについて調べ、特にリハビリの専門家であるバーバラ・ウィルソンの著

    彼女が死んだ。 - kom’s log
    synonymous
    synonymous 2009/04/07
    哀悼。
  • 近況 - kom’s log

    彼女の説得工作に見事に負けて私は11月下旬に結婚し、12月中旬にその彼女は私の家にやってきた。一緒に暮らすのも楽しいなあ、と思い始めた1月下旬に子供が産まれ、その5日後にくも膜下出血で産院から神経外科に緊急入院した。2週間後の今、5日前に確実に脳死しますと宣告された彼女は(ドイツの医師はこのあたり容赦ない断言をする)酷なる状況を見事にギリギリでサバイブした。脳幹の大規模な梗塞で意識を取り戻す見込みはない、という程度の所見にまでに回復した。 うれしい。彼女が存在していること。 負け戦をボロボロになって闘ったのは彼女である。でも私は彼女を救ったような気さえしている。幾度にも渡る過酷な決断に直面して飯を忘れたせいか、指がやせ細って手を洗っただけで彼女が私に押し付けた結婚指輪がずり落ちるようになってしまった。そもそもこんな拘束具みないなものしたくないなあ、と思っていた。別にしなくていいのだろうけれ

    近況 - kom’s log
    synonymous
    synonymous 2009/02/13
    よかった。