中世社会の基層をさぐる 作者: 勝俣鎭夫出版社/メーカー: 山川出版社発売日: 2011/10/01メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 日本中世史の泰斗である勝俣鎭夫の近著。 学ぶところ、きわめて大きな本だ。 この本を読んでわかることの一つは、信玄や信長などの戦国大名が勢力を誇った戦国末期が、権力による統治の仕組みが大きく変わった時代であるということだ。 たとえば、琵琶湖の南西岸にある滋賀県の堅田というところは、中世には堺や博多と同じ自治・自由都市として非常に栄えたところであった(七章「本福寺文書」を読む)。ぼくは二年前の夏に、湖岸をブラブラ歩いていて偶然この町に迷い込んだことがあり、その落ちついた佇まいに深い印象を受けたのだが、そんな歴史があることは、この本を読むまで知らなかった。 ところで、その繁栄をもたらした重要な理由の一つは、自分たちは琵琶湖の湖上支配権を持つという堅田の