沖縄調査体験通じ生命の神秘に迫る 学者マンガ家・都留泰作さん 次第に調査地の生活に慣れ、「その環境特有の統覚習慣」を人類学者が身に着けていくプロセス・メカニズムが、詳細に説明されることはない。これまで私はこのことを事あるごとに問題視してきた。 しかし、最近は、生活すること自体が、既にそれそのものなのではないかと考えている。 たとえば、ある集団で生活していくにつれ、その集団で共有されている独得のジャーゴンやイディオムが自然に口をつくようになった時、あるいは、その集団において是とされる行為や活動に、ことさら違和感を感じなくなった時、または、周囲の人間による「美人の特定」にある一定の理解を示すことができるようになった時、調査者の「統覚習慣」すなわち「世界の見え方」は、その場特有のそれに近いものに更新されたということができる。ファブレ=サーダや、保苅さんや、石井先生の身の上に生じた変化も、これらの