映画と夜と音楽と…[424]夫婦はふたつの形に分類できる? ── 十河 進 ── 投稿:2009年07月03日 著者:十河進 ●「風の歌を聴け」の「僕」はペキンパー好き 村上春樹さんの新作「1Q84」を読んだ。「アフターダーク」から5年弱、「海辺のカフカ」からだと7年ぶりの新作になる。日本の作家で、そんなに悠々としたペースの書き下ろし作品だけでやっていける人は他にはいない。マーケットの広い欧米のベストセラー作家並みだ。世界中で翻訳が出ている人だから可能なのだろう。 「海辺のカフカ」は主人公の少年のいきつく先が香川県で、高松駅前で讃岐うどんを食べる場面があった。その後、海辺の図書館が舞台になるのだけれど、僕は松原で有名な津田の海岸あたりをイメージしながら読んだ。おだやかな瀬戸内の砂浜に松林が続く美しい風景を思い出した。 「1Q84」は、ジョージ・オーウェルの「1984年」からインスパイアさ