三代にわたる政治家の家系出身で「政界のマイケル」と異名を取る現官房長官が、みずからの政治思想を著した渾身の書。次期首相候補と目される安倍氏の「所信表明演説」ともいうべき注目の一冊だ。 表題の「美国」とは、もちろんアメリカ合衆国の漢字表記。本文ではタイトルどおり、安倍氏が宗主国と崇拝してやまないアメリカへの媚び・へつらいが、思うさまつづられている。ある意味、この本は安倍晋三という男のアメリカへのラブレターである。 本書で注目すべきは帯の煽り文句にもある 「自信と誇りのもてる日本へ」 とわが国が変容していくための、具体的提案が記されている点。安倍氏は、その具体的方策を 「正式に合衆国に加盟して52番目の州になることでパックス・アメリカーナの庇護の下に入り、世界に君臨する警察国家の一部だという誇りをもつこと」 とはっきり述べている。国民の精神的な問題だけでなく、憲法九条の問題も靖国神社の問題もま