オーストラリア北東部クイーンズランド州のイェプーンという町の15キロ沖合いにグレート・ケッペルという名の島がある。世界遺産に登録されている大珊瑚礁帯グレート・バリア・リーフの一部である。教会のキャンプでこの島を訪れていた同州イプスウィチ在住のマリー・マイヤットという名の18歳の少女が青く美しい海に夢を託した。ワイン瓶に手紙を入れて流したのだ。 ボトルレターが海流に乗って異国の浜辺に届くような話はめったにない。たいていのボトルレターは、夢のない結末を迎える。投入された場所の近くの海岸にゴミとして打ち上げられてしまう。ボトルレターを流すのがたいてい子供や若年者であることを考えると、幼き日・若き日の夢がはかなく、かなわぬものであることを暗示するかのようである。 18歳の少女マリー・マイヤットさんがグレート・ケッペル島から流したボトルレターも、やはり例外ではなかった。しばらくは海上を漂っていたに違