イヤな時代……それは、自由にモノが言えない時代である。 加藤紘一氏の自宅全焼事件は、「靖国神社」「アジア外交」「歴史認識」について、ほぼ中庸と思われるような発言を封じようとする圧力がこの社会に生まれ始めていることを示している。8月15日という鎮魂の日の朝に、九段の森の空にヘリコプターが轟音をまき散らす中で、口をへの字に結んだ小泉総理が参拝に向かった。 加藤さんはテレビで落ち着いた調子ながら、この小泉参拝を批判し続けた。そして、夕刻に山形県の生家で強い炎が家屋を包んだ。 小泉総理がまだ「ただの変人」だった頃、「YKK」(山崎拓・加藤紘一・小泉純一郎)のトリオが節目ごとに語られる時代があった。一匹狼だった小泉代議士の政治的発言の貴重な場だったはず。小泉総理の15日の激昂した記者会見では、盟友だった加藤氏までもが「いつ行っても批判する勢力」と見えたのだろうか。小泉総理には自らの言動と、昨夜の加藤