これはどうしたことだろう。中東アラブの春の民主化運動は、中途半端に終わりそうな様相である。 チュニジアのジャスミン革命で始まり、エジプトではムバラク大統領の長期政権を倒し、イエメンではサレハ大統領を事実上の国外亡命に追い込んだものの、その後は民主化の動きはぱっとしない。リビアではカダフィ大佐が巻き返しているし、エジプトだってイエメンだってシリアだって、依然として体制の根幹に変化はない。 アラブの春は、ツイッターやソーシャルネットワーキングの普及に象徴される情報通信革命の勝利だ、などと気の早いメディアははしゃいでいたものだが、どうも様子が違う。少なくとも20年余り前の東中欧諸国で成功した民主化革命のようには進展していない。どうしてだろうと考えていたら、先日のインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙(6月17日付)が、なるほどと思わせる仮説を紹介していた。筆者はロイター通信社のグローバ