九州大の石崎文彬名誉教授(発酵工学)が設立したベンチャー企業「ネクファー」(福岡県久留米市)が、東南アジアに自生するサゴヤシの幹から採れるでんぷんを使ってガソリンの代替燃料バイオエタノールを製造するための実証プラントをマレーシアに建設する。同社によると世界初の試みで、数年後に商業生産への移行を目指している。 バイオエタノールは、米国やブラジルでトウモロコシなどを原料とする製造法が盛んだが、穀物価格の高騰を引き起こすなど弊害も指摘されている。サゴヤシはトウモロコシなどに比べて食用としての利用度が低く、石崎名誉教授は「ほかのバイオ燃料の原料より有利。資源の有効活用になる」と話している。 実証プラントは8月に完成予定。サゴヤシを粉砕して取り出したでんぷんを発酵させてエタノールを生産する。通常の数倍の速さで増える酵母菌を使う独自技術「超高速型連続発酵法」を応用し、世界最高の発酵スピードを実現した。