青色レーザーダイオードを実現した赤崎先生、天野先生、中村修二さんがノーベル賞を受賞されました。本当におめでとうございます。 特に中村修二さんは企業(日亜化学)での仕事で受賞したわけですから、私は中村さんよりも下の世代ですが、企業で技術者だった私は大変勇気づけられました。 大変失礼な言い方をすると、赤崎先生は偉すぎて雲の上の存在ですが、中村修二さんならひょっとしたら自分もなれるかもと、企業などで実用研究をしている技術者にも思われるところがあるのが、今回のノーベル賞は良いですね。 また実は私は学部、修士の時に青色レーザーに関連する研究をしていたので、昔(学生時代)を思い出して感慨もひとしおです。 当時は青色レーザーを目指して、今回受賞したGaNとZnSeが激しく競争。いずれの陣営も日本の企業・大学が中心で、「日本を制したものが世界を制する」という、日本の黄金期でした。 私は「負け組」であるZn
「太陽の季節」から57年。 坪内逍遙『小説神髄』に始まりを求めると、 この小説は、日本近現代文学史のちょうど中間あたり、ヘソに位置している。 以来、石原慎太郎は文学の一線に出ずっぱりであり、 芥川賞を見ても、石原以前の受賞者で存命であるのは安岡章太郎一人のみで、 「現役の作家」というしばりを加えると石原が最古ということになる。 つまり、石原慎太郎の歩みは、戦後日本文学全体とほぼ軌を一にしている。 良くも悪くも強烈な存在感を放っていながら、 しかし、石原の文学が正面切って扱われたことはごくわずかしかない。 作品数の膨大さも含めて、なにか対処に困るもの、とでもいわんばかりだ。 戦後日本文学を、まるで暗黒物質のように鬱然と覆う石原慎太郎の文学。 この深い暗黒を再び太陽でともすことはできるのか? ――それがこのイベントの問いであり試みである。 ※ウクレレ教室付き ――栗原裕一郎(
なぜ、いま、石原慎太郎 栗原 なぜ今さら石原慎太郎をやろうと思ったかというと、第一に、ともかく作家・石原慎太郎が語られていないから、ということですよね。日本文学における慎太郎の立ち位置ってかなり特異で、日本近現代文学史全体を見渡すとちょうどヘソのあたりにいるし、彼の作家人生って戦後の日本文学全体の歩みとほぼリンクしているんですよね。 豊崎 芥川賞作家のうち、現役でやってる中では最古といっていいお方。 栗原 はい。芥川賞というと今でこそ文学界を超える国民的一大イベントとして認識されていますが、戦後しばらくまではそれほど派手な賞ではなくて。芥川賞受賞にこれほどのステイタスを与えたのって、実は慎太郎なんですよね。石原慎太郎というスターの登場が、崩壊しかかっていた文壇を、芥川賞を軸にする形でジャーナリスティックに再編してしまった。だから「石原以前・以後」という区分けすらできてしまうのに、でも語られ
Twitterにも書いたけど俺は二十代半ばから終わり頃まで村上龍が好きだった。けどこのところずいぶん離れていた。もう五年くらいは彼の小説を読んでいない。もっと読んでないかもしれない。そしてTumblrで以下のNYTへの寄稿文を読んでもう全然受け付けないことが、今更ながらよく分かった。 危機的状況の中の希望 - Time Out Tokyo (タイムアウト東京) 受け付けないと書いたが、なんだろう、幻滅と言った方がいいかもしれない。 彼の文体は変わらない。いつもの通り。が、中には何も入っていない、そんな感じだ。だが彼の書く曖昧な「希望」、あれはいったい何だ? あれは絶対に被災者たちのものではない。今、避難所でひもじい思いをして凍えている人々の心に芽生えているものではない。目の前の状況で生き延びるのに精一杯な彼らの胸に芽生えるものではない。 そうではなく、あれは高級ホテルでウィスキー片手にテー
日テレで話題のアニメ『サマーウォーズ』を見た。 かなりネットで大評判になった作品であって、いまさらなにを言っても周回遅れ感がつきまとうだろうが、感想を書いておく。テレビ版はかなりカットした部分も多いらしく、とんちんかんな指摘になるかもしれないが。 演出や派手なCGには目を見張ったが、シナリオに欠陥があるのか、思想が受け入れがたいからか、この世界にうまく入り込めなかった。 数学オタクの高校生、小磯健二は数学オリンピック日本代表の座をあと一歩で逃し、しょっぱい夏休みをすごしていたが、マドンナの夏希先輩からバイトを持ちかけられ、一緒に彼女の故郷である長野まで旅行する。なんと婚約者のフリをしてくれとの驚きの依頼で、彼女の実家に行ってみると、そこには何世帯もの大家族が待っているのだった。90歳にもなる夏希の曾祖母で陣内家の当主に挨拶をするが、おりしも仮想空間“OZ”のパスワードを解いてしまったことか
こないだウイルスも生物かもねーという話をしましたが(ウイルスに感染するウイルス - 蝉コロン)、そういえばウイルスに対して「進化する」と言っても特に違和感はないですね。学術論文レベルでかぎかっこ抜きで言っていいのかは知らないけれど。しかし、プリオン。ただのタンパク質であるプリオンは「進化する」なんてことがあるんでしょうか。 狂牛病とかで話に聞くプリオンですが、この病原体は単一のタンパク質そのもので、当然DNAとかRNAはありません。ところがアメリカのScripps研究所のチームが、プリオンが薬剤耐性を獲得し得ることを報告しました。Published Online December 31, 2009REPORTSDarwinian Evolution of Prions in Cell CultureJiali Li, Shawn Browning, Sukhvir P. Mahal, An
話題的にちょっと古いですが、ウイルスに感染するウイルスのお話です。棚の整理してたら一昨年のウイルス学会報があって、そういう記事を読んだので。webでも読めるようです。http://jsv.umin.jp/journal/v58-2pdf/virus58-2_219-220.pdf 役者はアメーバと、それに感染するママウイルスと、さらにそれに感染するスプートニクというウイルス。 フランスはパリの冷却塔にアメーバがいました。フランスパリの冷却塔ってとこですでに引っかかるというか、なにそれちょっとオシャレ、な気分がするけれども、多分水が常に溜まっていて、藻とかレジオネラ菌とかがいっぱいいるような汚い所なのでしょう。そういうところから見つかったアメーバです。 このアメーバに、ママウイルスというのが感染していました。これは超巨大なウイルスの仲間です。ママー!そしてさらにこのママウイルスに、スプートニ
サリンジャーは、「ジェローム・デイヴィッド・サリンジャー」という、それだけですぐにユダヤ系だとわかってしまう名前を隠すために、ずっと、JDサリンジャーと名乗っていたのだという。かくいう私も、ちょっとだけそれに似た理由で、たかこ BLと名乗っている。BLがなにを略しているのかを、私は口にすることができない。だから私は、行儀のいいタクシー運転手みたいに、余計なことをいわず、どこへいってもできるだけおとなしくしている。 私たちの日本での生活はいくぶんきゅうくつだ。いつも、誰かに見つかってしまわないかとそればかりを心配している。三者面談のときには、お父さんにきちんとひげをそってスーツを着てもらうようにおねがいしなければいけなかった。「ちゃんとしたスーツを着てね」と私はいった。「なるべく原理主義者っぽくないやつ」。お父さんは肩をすくめて、「わかってるよ。俺は三者面談にはターバンを巻いていかない主義な
とりあえず、下記ブログの引用から。 http://d.hatena.ne.jp/sugitasyunsuke/20060805/p1 私は、なるべく、通行人たちの言葉に耳を澄ませ、それを書き留めるようにした(といっても、想像以上に周囲の音がうるさくて、あまり聞き取れなかったのだけれど)。 ○「なにやってんの?よくわかんなくね?」(10代後半くらいの男性、数名のグループ) ○「フリーターだってよ(笑)」(20代前半くらいの男性、数名のグループ) ○「(…)ちゃんと働いている人のじゃますんなって感じ」(中学生くらいの女の子、二人連) ○「フリーター?俺たちもなるかもね。ハハ」(20代前半くらいの男性、数名のグループ) ○「なに?お祭り?」(30代くらいの女性) ○「珍しいものみれてよかった」(20代中盤くらいの男性、たぶんオタク系グループ) ○「働かなくても金くれってこと?あり
常に流行に後ノリするみっともない中年のオレが来ましたよ。YouTubeでアニメ見たりブックオフで文庫買ったりして(ろくでもないなあ)なんとか追いついたので何か書いてみる。ワタクシが『涼宮ハルヒの憂鬱』を見て読んで一番目に思ったことが、なんか『マカロニほうれん荘』*1みたいな話だなあ、ということだった。『マカロニ〜』を知らない若者のために数コマスキャンしてみた↓こういうマンガである。ここで両作品の主なキャラの設定の異同をちょっと検証してみたい↑これはねえ、男女が反転してるだけで、実にきれいに対応していると思う。このひざかたさんというキャラはハチクロの森田さんなんかの元祖とも言えそうで*2、鴨川つばめさんの先見性を讃えるべきであろう。↑まあ、きんどーさんは、こまわり君の伝統を受け継ぐ異形のルックスで、つまりは、やや古典的なキャラなので、あんまり対応しないのも致し方ないのである。ただ二人の口調は
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