6月中旬、現在アフリカで最もロシアと関係が深い西部のマリを訪れた。マリはこの10年ほどイスラム過激派の活動が活発で、国土の一部を実効支配している。政府は従来、旧宗主国のフランスに軍事支援を依頼してきたが、2021年のクーデターで成立した軍事政権はロシアに急接近し、フランスを切った。露民間軍事会社「ワグネル」の兵士も受け入れている。 欧米的な見方ではマリは「グレて不良グループと付き合っている」ようなもので、私も何となくそう思っていた。ただ実際に現地で取材してみると、過去の歴史に起因する根深い問題があると気づいた。 フランスの影響色濃く マリは今もフランスの影響が色濃く残る国だ。公用語はフランス語で、小学校から徹底的に教えられる。食卓にはフランスパンが並び、携帯通信会社やガソリンスタンドなど仏資本の進出も著しい。フランスで暮らすマリ人は10万人以上とされ、母国にいる親族や友人への仕送りは経済の