テレビ業界で働いていて、一般の人に「よく理解されていないなあ……」と感じるのが、「ディレクター」と「プロデューサー」という“職種の違い”だ。本来、この二つの職種は、具体的な業務や立場が異なる。だからこそ区別されているのだが、近年、その境界があいまいになっているように感じている。 例えば、ある番組を紹介した記事などに「制作者」として登場するのは、なぜかプロデューサーであることが多い。確かにプロデューサーも制作陣の一人だが、実際には番組制作における「マネジメント」が主な業務だ。全体の方向性を示し、番組内容や予算の管理、編成との折衝やPR業務などを行うのがプロデューサーの仕事である。 確かに、広報担当としてプロデューサーが番組を語る役目を担うのはおかしくないが、番組の細かなディテールまで「自分がやりました」と語るのは無理がある。実際、具体的な取材や膨大な撮影素材の編集を担うのは、ディレクターだか