■ザハ案について専門家も太鼓判 新国立競技場の建設計画が白紙撤回された。総工費2520億円の見積もりに対する世論の批判に応えた形だ。しかし、予算が巨額に膨らんだ原因は、本当にキールアーチ主体のデザインなのだろうか。建築家のザハ・ハディド氏は「建設費の高騰はデザインが理由ではない」との声明を発表した。 旗色が悪いことを承知のうえで、私は彼女に同意したい。ゼネコンの幹部にも問い合わせて確認したが、ザハ氏は悪くない。そして、事実関係をどう検証しても下村博文・文部科学大臣に責任はない。 日本のメディアで諸悪の根源のように扱われているキールアーチ構造だが、採用しているスタジアムは多い。建設コストもそれほど高くない。 2000年のシドニー五輪、04年のアテネ五輪のメーンスタジアムはキールアーチ構造が採用されていて、総工費はそれぞれ、680億、350億円と報じられている。ロンドンの8万人収容のウ