ワインを口に含んだ時に鼻を突くカビ臭さは、本当の「におい」ではなく、原因物質で嗅覚が遮られる不快感がもたらすものらしい――。 こんな研究結果を、大阪大の竹内裕子助教らが17日付の米科学アカデミー紀要電子版に発表した。 カビ臭いワインは「ブショネ」と呼ばれ、劣化しているとして廃棄される。コルクにつくカビが作る物質「トリクロロアニソール」が、臭さの原因と考えられてきた。 ところが、竹内助教らがイモリの鼻の細胞を使い、この物質の作用を解析したところ、においを神経に伝達する機能を抑え込み、においを感じ取れなくしていることが分かった。ごく微量でも、嗅覚を抑えるという。 竹内助教は「鼻をつまんで料理を食べるとまずく感じるのと一緒で、嗅覚が遮られた結果、嫌なにおいがすると錯覚するのがブショネの正体。新たな消臭製品の開発にも応用が期待できる」と話している。