ふるさと納税は発足から14年が過ぎ、国民に定着した感がある。個人が選んだ自治体に一定額を寄付すると、2千円の負担だけで、寄付した分だけ居住地の住民税や所得税が免除され、寄付額の最大3割に当たる返礼品がもらえるというものだ。たとえば東京都民が1万円をどこかに寄付すれば、市価3千円の高級牛肉を受け取れる。その代わりに都の公共サービスは1万円分減ってしまう。それなら都が財政資金から1万円を出してたっ
![ふるさと納税は非効率な錯覚 - 日本経済新聞](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/0e3c5e614e8acdad43d69cde8f3e93836e869a85/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2F.resources%2Fk-components%2Frectangle.rev-d54ea30.png)
ふるさと納税は発足から14年が過ぎ、国民に定着した感がある。個人が選んだ自治体に一定額を寄付すると、2千円の負担だけで、寄付した分だけ居住地の住民税や所得税が免除され、寄付額の最大3割に当たる返礼品がもらえるというものだ。たとえば東京都民が1万円をどこかに寄付すれば、市価3千円の高級牛肉を受け取れる。その代わりに都の公共サービスは1万円分減ってしまう。それなら都が財政資金から1万円を出してたっ
(松籟社・4400円) 英語帝国と物質主義競争社会への抵抗 本書は翻訳の研究書ではない。翻訳を通した世界文学論であり、英語作品から見た世界の文学的眺望図でもある。しかしそれは頂からの見おろす視線ではなく、翻訳という装置を用いて英語一強主義に対抗する、そんな戦略を携えた小説が紹介される。 「生まれつき翻訳」とは、村上春樹やボラーニョなども扱う分厚い序章をまとめれば、一つに、予(あらかじ)め翻訳されることを見越して書かれたもの。もう一つ、書かれて流通する過程や成立基盤にすでに翻訳が組み込まれているもの。作品の生産、流通、受容の全ての点で関わる広義の「自己翻訳」と言い換えられるだろう。 第一章「距離を置いた精読」ではクッツェー『イエスの幼子時代』三部作が論じられる。本作は原作より先に他言語の翻訳が出版されており、スペイン語で書かれた「ふり」をしている。これにより作者は英語の誇る覇権を内側から揺さ
(新泉社・2970円) 物証の推理から浮かぶ生々しさ 掲題書は、3世紀の邪馬台国から、6世紀の欽明大王までを取り扱う、古代倭国(日本)の通史だ。著者の坂(ばん)氏は、奈良県立橿原考古学研究所に勤務し、数々の遺跡を発掘しつつ研究を重ねてきた。 坂氏は、関東から北部九州、そして朝鮮半島南部に及ぶ主要な遺跡(古墳や集落跡など)の、位置や規模や出土品から、そこに存在した権力の、年代と勢力範囲を推理する。そしてその理解を、日本・中国・朝鮮半島の史書の記述と突き合わせる。他の多くの史書が、時代を下った8世紀に編纂(へんさん)された日本書紀の、天武朝の正統性強調を意図した記述の解釈にばかり深入りしがちなのとは、真逆のアプローチだ。この本の分析に類書にない納得感がある理由だろう。 第一章で著者は、邪馬台国の勢力圏は北部九州限定だったと推測する。魏志倭人伝にある卑弥呼の勢力圏は29カ国であり、近畿から北部九
(国書刊行会・2970円) 名セリフの記憶、絵と文でつづる映画遍歴 名著中の名著、和田誠の映画エッセイ『お楽しみはこれからだ』が、判型はそのままで、函(はこ)入りの愛蔵版として復刊された。これほど喜ばしいことはない。 元本が文藝春秋から刊行されたのは一九七五年のことだったが、この年号に意味がある。というのも、その年に家庭用ビデオ規格が開発され、たちまちのうちに、家庭のビデオデッキで映画を録画や再生して楽しむ時代が到来したのである。つまり、ビデオ時代の前は、映画についてものを書こうと思うと、記憶に頼らざるをえなかった。 「映画の中に出てきた名セリフ、名文句を記憶の中から掘り起こして、ついでに絵を描いていこうと思う」と『キネマ旬報』誌で連載を始めた和田誠は、次のようにも言っている。「記憶だけに頼ってこれを書いているのだから、思い違いということがあったり、年月の間に記憶の中で変形したりして、多少
(青磁社・1万3200円) 家族へ友へ、あふれる慕情 和歌のいのちは恋。恋とは魂を乞うこと。魂と魂が呼びあう詩――それが歌の根源。 すぐれた歌人にして古代学者の折口信夫はそう考えた。その思想を受け継ぐのが高弟の著者。このたび文化勲章をうけ、銘じて全歌集が刊行された。九十七歳。太平洋戦争で学徒動員を経験した。教員として大学紛争に揉(も)まれた。動乱の人生である。恋人へ、家族へ友人へ師へ――慕情あふれる人生でもある。 五十代にも熱くたぎる官能の歌がある。このとき恋する乙女がいたか。乙女が他の男に奪われ、抱かれる姿態を夜の闇にまざまざと幻視する。「耐へがたくまなこ閉づれば白百合の白くづれゆくさまぞ眼にみゆ」。花の白は究極のエロス。切なくあえぐ若い肌の色である。
(ベレ出版・2200円) 見る目が育つまでのロマン 明治生まれの祖父は図鑑を集めていて、幼いわたしにもよく見せてくれたから、植物や昆虫を図鑑で調べる楽しみは早くから知っていた。図鑑を眺める時間は、生まれつき「お話の筋」を追うことが困難だったわたしの救いになった(ストーリーのない本がいかに自分の鬱屈を解放してくれたことか)。そんなわけでわたしは歴の長い図鑑好きだ。 ところがひとつ問題がある。それは、たとえば名前を知らない虫を見かけて図鑑で調べても、よく似たたくさんの種のなかのどれなのかがわからない、ということだ。りっぱな図鑑をもっていれば調べがつくというわけではない。図鑑そのものは、素人のこんなつまずきに手をさしのべてはくれない。
チェルノブイリ原子力発電所敷地内に停車するロシア軍の戦車とされる映像。EYEPRESSの動画をロイター通信が配信した=2022年2月24日 ロシアは3方向からウクライナに侵攻し、首都キエフでも攻防が激化している。作戦の狙いはどこにあるのか。一方、近年のウクライナは米欧諸国から軍事支援を受けてきたが、ロシアの攻撃に持ちこたえられるのか不安視する声も上がる。 ロシア軍によるウクライナへの侵攻が始まった24日、米国防総省高官は、ロシアのプーチン大統領の目的について「ウクライナの現政権を排除し、独自の統治方法を導入することだ」と分析。キエフを制圧し、政権トップをすげかえる「斬首作戦」を進めているとの見方を示した。 ロシアのプーチン政権は21日にウクライナ東部ドネツク、ルガンスク両州の親露派武装勢力の独立を承認し、当初は親露派が「自国領」と主張する両州のウクライナ側支配地域への侵攻が予想された。
政府は25日、経済安全保障推進法案を持ち回り閣議で決定した。ハイテク分野で台頭する中国をにらみ、半導体などの重要物資の供給網や重要技術の流出防止などを欧米並みに強化する。情報漏えいした民間人らに対し、最高で懲役2年以下の罰則も設ける。今国会で成立を目指す。 法案は「供給網」「基幹インフラ」「先端技術開発」「特許非公開」の4分野を柱とし、岸田文雄首相が重視する経済安保政策の中核となる。小林鷹之経済安保担当相は25日の記者会見で「我が国の経済構造の自律性を高め、技術を含めた他国に対する優位性を磨いて国際社会にとっての不可欠性を獲得していく」と強調した。 供給網の分野では、国民生活や産業に欠かせない「特定重要物資」を指定。半導体やレアアース(希土類)などを指定対象に想定し、供給網強化に向けて民間事業者を資金支援する。政府が、生産や輸入を担う事業者を調査する仕組みも設ける。
この「コーチ像」はプロ野球の新たなトレンドになるかもしれない。今季、DeNAの2軍投手コーチにOBの元投手、小杉陽太さん(36)が就任した。2017年に引退後、広告関連の会社を設立し、一時は野球から離れた異色の経歴の持ち主。データ活用の知見を生かし「世界の最先端」を目指す球団の中で、野球の技術との媒介役として起用された。チームにとっての「メンター(助言者)のような存在」になろうとしている。 2月上旬、DeNA2軍キャンプ地の沖縄県嘉手納町。陸上競技場でのキャッチボール中、小杉コーチが選手に近寄り、タブレット端末を見せながら話しかけた。スマートフォンのスロー機能を使って撮影した動画で、選手のイメージと実際の動きがかけ離れていないか確認していた。
名古屋市の大学生が入手した、元芸能人らが若者をインスタグラムで勧誘するためのマニュアル。成人の探し方が指南されていた 名古屋市の男子大学生(22)は2019年、スマートフォンに映し出された元芸能人の男性(23)のインスタグラムの投稿に目を留めた。投資や事業で成功したとうたい、購入したというブランド品の写真を毎日のように投稿していた。赤い高級車フェラーリと並んだ姿や、高級料理店に出入りする様子もあった。 「大学で田舎から出てきた自分には輝いて見えた。ブランド品や車に興味があったし、すげー、いいなって」。後に、75万円をだまし取られる被害につながるとは思ってもみなかった。 働かずに優雅な生活を送ることに魅力を感じた。「興味ある人、ダイレクトメッセージください」という書き込みを見て連絡を取ると、返信があった。「バイトとかしてんの」「悩みあったら聞くよ」。相手は親身で、「1日に何十件も連絡が来るけ
ウクライナの首都キエフ中心部でロシア軍を待ち受けるウクライナの治安部隊=2022年2月25日、ロイター ロシア軍は25日、ウクライナの首都キエフへの侵攻を始めた。早朝にミサイル攻撃をした後、北西部のオボロン地区にロシア兵が侵入した。英BBCなどが報じた。同地区はキエフ中心部まで約10キロの距離。ウクライナ大統領府の高官は地元メディアに対し、ロシアの偵察部隊が一時入り込んでいたものの排除したと語った。露軍は既にウクライナの一部地域を支配下に置き、北部のチェルノブイリ原発も占拠した。激しい攻撃で民間人の死者も出ている。ロシアによるウクライナ侵攻は、首都での攻防が続いている。 露軍はウクライナの北部、東部、南部の3方向から攻撃を開始。北部はベラルーシ、東部はロシア国境や親露派武装勢力の支配地域、南部はロシアが強制編入したクリミアや黒海沿岸からウクライナ領に侵攻した。ウクライナ軍は各地で抵抗を続け
「朝、爆発音で目が覚めた」「退避したいが、車がない」。人口約121万人のウクライナ西部ジトーミルの大学で国際政治を教えている梅澤華子教授(49)のもとには、現地で暮らすパートナーや友人からひっきりなしに緊迫した連絡が届いている。ロシア軍がウクライナに侵攻してから一夜明けた25日。大学の冬休みで日本に一時帰国している梅澤教授に現地情勢を聞いた。【大野友嘉子/デジタル報道センター】 「みんな走り回っている」 --ジトーミルに住む友人や同僚からは、どのような連絡がありますか。 ◆ここまで大きな変化となってしまうとは、私を含め、現地の友人たちは思っていなかったようです。昨日、友人から「朝、爆発音で目が覚めた。近くの軍事施設が爆破されたようだ」とメッセージが来ました。 この友人の家はジトーミル市街地にあるのですが、市街地から10キロ離れた場所に小さな軍事施設があります。彼の話では、(現地時間)24日
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