「音位転換」ではない――「フインキ現象」についての一考察 「フインキ現象」(あえて定義しない)を考えるのに、まず大事なことは、問題それ自体のありかを正確につかむことだ(註1)。でも、これがけっこうむずかしい。たとえば、この現象を「音位転換」(metathesis、音位転倒、音転位)や「イイマツガイ」の一種と見たり、「無知」や「漢字が読めないこと」に起因すると考えたりする人は多いみたいだけれど、はっきりって的外れである。こういう分析でよしとするのは、たぶん問題を正しく捉えていないからだ。 なぜ「フインキ現象」を言挙げ(?)するのか、これを言挙げする人たちが、いったい何にひっかかっているのか、そのことが、どうやら、うまく伝わっていない。ネット上の掲示板なんかを見ると、この問題が何度も蒸し返されているのがわかる。これは、もちろん、腑に落ちる答えを求めてのことだろうけれど、それよりもなによりも、ど