「そのうち大人にならなくちゃいけないの?」 「近いうちにね」 「ぼくは学校に行って、まじめくさったことなんか勉強したくないんだ」ピーターは激しい口調で言いました。「大人になんかなりたくないんだ。まっぴらさ、ウェンディのお母さん、朝、目を覚ますとひげが生えてるなんて!」 「ピーター。わたし、きっと、ひげのあなたが気に入るわ」なだめ役のウェンディが言いました。お母さんはピーターに向かって手を伸ばしましたが、ピーターははねつけました。 「近づかないで、奥さん。誰もぼくを捕まえて大人にすることなんかできないんだ」 こちらは世にも有名な「ピーター・パン」の小説の一シーンだけど、ここには面白い構造が描かれている。それは、ずっと子どもでいたい、と主張するのは、少年である、という点だ。 ピーター・パンは言う。大人になんかなりたくない、と。 だけどウェンディはささやく。私はきっと、大人になったあなたが好きよ
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