2006年10月20日,「科学がハリー・ポッターの透明マント(invisibility cloak)を開発」といったニュースが世界を駆け巡った。その前日,英米の大学の研究者による透明マントの実現への最初の一歩という論文が,科学誌「Science」のオンライン版である「Science Express」に掲載されたためである。 ハリー・ポッター・シリーズでは,第一巻の「Harry Potter and Philosopher's Stone」から透明マントが大活躍する。ハリーの透明マントは被っていないときは銀色に光るシート状のもので,これで体を覆うと中の人も含めて透明になるというもの。なにせ魔法のマントなので科学的な説明は当然ない。これに対して今回の透明マントはもちろん魔法ではないが,見かけは魔法の道具のように見える。写真にあるように,27.1〜58.9mmの間で半径が異なるグラスファイバの