この連載コラムを始めさせていただいて、1年余りが過ぎた。前回、「8月28日付の第46回以来、このコラムの連載を2回休ませていただいた。連載の第1回が、昨年の8月30日付であったこともあり、丸一年を迎えて、少しこの一年を振り返って考えて見る時間を、勝手に頂いたというわけである」と曖昧に述べて、さらに、1回休ませてもらった。そして、決めた。今回をもって、この連載を終わらせていただく。これまでの
株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。 毎月行っているスマートコミュニティ勉強会(旧称スマートグリッド勉強会)で昨日発表させていただいた素材がなかなかおもしろいので(手前味噌ですみません)、こちらでもシェアさせていただきます。 内容は、 ・米国においてデマンドレスポンスが必要とされる本当の理由(卸売市場ではピークに価格が数倍~十数倍に跳ね上がることがあり、PJM全体で小売会社は年間1,000億円程度をピーク分として余計に支払っている可能性がある。この「余計に支払っている分」を回避するために小売会社はDRに取り組む理由がある) ・卸売市場で価格が高止まりする=発電事業者が売り惜しみをするメカニズム ・オバマ
科学技術振興機構(JST)、北海道大学、早稲田大学は2012年2月23日、北海道大学大学院情報科学研究科の湊真一教授らのグループが、電力の配電網における送電ロスを最小化する技術を開発したと発表した。湊教授が考案した「ゼロサプレス型二分決定グラフ(ZDD)」というアルゴリズムを、配電網の最適化計算に適用した。モデル上の検証では、配電網における電力ロスを3%削減できたとしている。 湊教授が1993年に考案したZDDは、米スタンフォード大学のドナルド・クヌース名誉教授の著書「The Art of Computer Programming」において、日本人が考案したアルゴリズムとしては初めて、独立項目として解説されたことで知られている。これまでZDDは、LSI設計において、回路の構成を最適化する計算などに使われていた。そのZDDを配電網の経路最適化に用いたのが、今回の発表のポイントである。 電力の
株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。 日曜日の日経朝刊一面で「スマートメーター 東電、1700万世帯に導入 国際入札でコスト抑制」という記事が出ていました。これは世界のスマートグリッドプレイヤーにとっても大きなインパクトがあるニュースです。 いくつかポイントを。 ○前例のない国際競争入札であるということ 電力会社は通例、電力計の調達を長年取引のある電力計メーカーとのみ行います。これは計量法が要求する電力計の仕様や品質が厳格であり、それを満たすのに複雑なプロセスが必要であるということ、10年に1度の交換が計量法で要求されており、調達と交換がいわばルーチン化されているため、新規の事業者との取引開始になじまな
株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。 あけましておめでとうございます。 本年もよろしくお願い申し上げます。 昨年のこの時期はこってり仕込みをした「新春夢想」を以下のように5本掲げさせていただきましたが、今年の三が日はゆるゆる過ごしました。 以下の新春夢想、今見ても、中身がまだまだ「夢」っぽいですね^^;。ということで再掲。 [新春夢想] 関西空港の営業権をPPPで海外資本に譲渡 [新春夢想] 発電ビジネスを組み合わせて入居コストを下げるスマートシティ [新春夢想] 福岡空港をPPPにより拡張、ローコストキャリアのハブにする [新春夢想] 公的年金資金で官製インフラファンドを設立してアジアに投資する [新
株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。 日本では「スマートシティ」や「スマートコミュニティ」と呼ばれている都市改革のムーブメントは、欧州では非常に裾野の広い展開を見せています。試みにGoogleで "Smart City" Europe をキーワードとして検索を行ってみると、日本で考えるスマートシティとはかなりかけ離れた事例が出てきて、やや面食らいます。 スマートシティは「エコシティ」(Eco City)と呼ばれることもあり、「サステイナブルシティ」(Sustainable City)とも呼ばれています。 関連の検索をする際には、「スマートコミュニティ」は日本だけで使われている用語なのでそれを除いて、"S
株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。 先日週刊ダイヤモンドのサイトで公開された「ソフトバンクが極秘裏に進めるアジアグリッド構想という奇貨」という記事を非常に興味深く読みました。 韓国、中国、ロシアなどの隣国と高圧直流(HVDC)の海底ケーブルで結び、電力を相互に輸出入することが可能になれば、日本の電力供給の構造は一変します。 日本は島国であるため、何かを発想する際に「大陸と結ぶ」という発想にはなりにくいですが、電力に限らず、ガスや石油の供給でも「国をまたぐ」供給網づくりが一般的であり、今回のような電力需給の逼迫を経験した後では、むしろその方向で考えるべきだと思います。 同誌編集部が推定したアジアグリッド
都市の利便性を高める「スマートシティ化」という世界の流れを、日本はどのようにつかむべきか。3000兆円を超える市場に、どのように取り組むべきか――。こうした疑問を解消していくためには、世界の知見を集結する必要がある。 この目的で産業界が国際会議&展示会「Smart City Week 2011」を立ち上げた。 開催に先行して、スマートシティの世界動向をまとめていく。第1回はスマートシティ像。 都市の利便性を高める「スマートシティ化」の取り組みが、勢いを増している。世界各地で展開されているプロジェクトは昨年時点で100を超えていたが、2011年は1000にも迫る勢いである。特に中国では、プロジェクト総数は500近くにもなりそうだ。 世界で「スマートシティ」が動き出したのは2005~06年のこと。アラブ首長国連邦(UAE)で、域内の再生可能エネルギー比率100%、CO2排出ゼロ、廃棄物ゼロを目
菅首相が昨日、脱原発の方針を目指すとして記者会見を行った。私はリアルタイムに聴いてなくてツイッターで話を知った。それによると「原子力は安全性確保だけでは律するのことできない技術だ」と述べたらしい。呆れた。本当にそう発言したのだろうか。NHKの7時のニュースでその記者会見が小ネタ扱いで報道されたので聴いた。たしかにそう発言していた。東京工業大学も情けない卒業生を出したものだな。 最初に自分の立場を明確にしておくと、私は反原発でも原発推進でもない。現状の原発がこのまま推進できないことは明白であり、特に安全性対策と廃棄物処理について大きな変革が必要であるのは論を俟たない。また日本の原発をなくすとしても中長期的な問題であり、当面は安全性対策が重視される。であれば、反原発でも原発推進でも中期的な展望に異なる点はない。つまり、現下の問題ではない。菅政権は復興という現下の問題に取り組むべきであって、脱原
2011年06月07日10:24 カテゴリ本経済 3・11後 日本経済はこうなる! 4人の著者と共同執筆した緊急出版(朝日新書)が6月13日に発売される。内容は、今回の震災で日本経済がどうなるかをマクロ経済・エネルギー問題・震災復興などの各論までわけて論じたものだ。アゴラブックスから電子版も発売する。 第1章 原発の時代の終わり(池田信夫) 第2章 供給制約と財政危機(小黒一正) 第3章 エネルギー戦略の岐路(澤昭裕) 第4章 スマートグリッドで実現する次世代の電力網(村上憲郎) 第5章 震災復興をどう進めるか(小幡績) 終章 選択と集中が必要だ(池田信夫) まえがきの一部を引用しておこう。2001年の同時多発テロは「9・11」と呼ばれ、世界に衝撃を与えました。「3・11」とも呼ばれる東日本大震災は、それにまさるとも劣らない日本の歴史の転換期になるような気がします。もちろん地震そのものが歴
株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。 独シーメンス(Siemens)が今年10月に大きな組織改編を行い、日本で言うところのスマートコミュニティ分野をターゲットにした営業活動を本格化させそうです。 同社は3月下旬に、新たな事業セクターとしてインフラ&都市(Infrastructure & Cities)を設けることを発表していました。 シーメンスのプレスリリース(3月28日) シーメンスは2008年の組織改革で会社全体を大きく3つのセクターに分けました。インダストリー、エネルギー、ヘルスケアの3つです。今年10月に発足するインフラ&都市事業部門には、インダストリーに属していたモビリティ、ビルディングテクノ
株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。 スマートシティについてはアブダビのMasdar Cityと韓国の新松島(ニューソンド)を事例として扱ったきり、その後のフォローができていません。中国の天津エコシティがどのような状況なのか、事あるごとに資料などを見てきましたが、論をまとめられるほどの素材がまだないので、とりあえずメモ的に記しておきます。 なお、日本企業の天津エコシティに関する動きは「天津エコシティ」で検索することですぐに得られます。英文系の資料は"Sino-Singapore Tianjin Eco-city"で検索するとたくさん出てきます。 ■企業テナントの入居始まる 中国の天津エコシティへの企業の
5月26日から27日にベルギーのブリュッセルで開催されているClimate Parliamentに出席。 EU各国やインド、台湾などアジアから合計60人以上の国会議員、それに加えてEU議会議員やEU委員会メンバー、そして欧米、アジアの研究者、産業界からも多数が出席。この会議は台湾の支援で開催されているためか、中国の参加はないが、インドからは最大の8人の議員団が参加。 日本からは僕と川口順子参議院議員の野党2人だけ。産業界からの参加もなし。日本は影が薄い。 アジアに関しては、金曜日の朝一番に僕が福島後の日本のエネルギー戦略に関して話をすることと、東アジアを結ぶスーパーグリッドが大きな議題になっている。 またアフリカを中心に、発展途上国にいかに再生可能エネルギーを広げていくか、そのための資金をどうするかということが特に議題として取り上げられ、それに関するセッションもある。 EUからの
あらかじめ申し上げておくが、私は東電を擁護する気はまったくなく、経営面で東電がパニッシュされることはまぁ当然だろうと思う。ただ、世上よく言われる「発電と送電の分離」に関しては、絶対反対ではないが「今」やるのがいいのかというと、通信を20年近く見てきた肌感覚で「今は適切ではないのでは」と思ってしまう。電力のことはあまり知らないので、これはあくまで、似たコスト構造をもつ通信とのアナロジーによる感想である。 電力も通信も、設備投資が巨大なユティリティ産業である。いったん投資したり仕組みを導入したりすると、その影響が長い期間に及ぶ。個々のユーザーが支払う料金の単価が非常に小さく、そのために膨大な数のユーザーを持つという「規模」が、製造業以上に大きな参入障壁となる。巨大な投資を10年単位で回収することが可能な体力がなければやっていけない。 通信は日本ではモノポリーから出発して、1985年以来、何度か
株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。 「発送電分離」と聞くと、「ずいぶんと懐かしい響きだな」と思う方も少なくないと思います。私も2000年前後に電力関連の仕事に関わった際に電力自由化の動向を色々と勉強させていただき、この言葉に触れました。一般には発電事業や小売事業への新規参入を促すために、送電網へのアクセスがフェアになるように行う措置を指します。現在は東京電力による賠償の原資を増やす目的で、同社の資産を売却するという意味も重ね合わせて使われているようです。また、再生可能エネルギー発電の増強のためにもこれが必要だと考えられているようです。 今日は、現在話題になっているこの「発送電分離」とはどのようなものか
We've moved! Check out the new site at https://energy.gov/electricity-insights This site is no longer actively maintained. The American Recovery and Reinvestment Act of 2009 (Recovery Act) provided the U.S. Department of Energy with $4.5 billion to modernize the electric power grid and to implement Title XIII of the Energy Independence and Security Act (EISA) of 2007. The two largest initiatives a
今回もシリコンバレーを中心とするアメリカの「電力問題への挑戦」についてリポートする。 前回は、日本で東京電力・福島第1原子力発電所の事故によって深刻な電力不足が生じ、太陽光などの代替エネルギーに対する関心が高まっていることから、アメリカの代替エネルギーによる発電の実情について、シリコンバレーのクリーンテック・ベンチャー・コンサルタント、Cando Advisorsの安藤千春さんと阪口幸雄さん(ブログはこちら)の2人に解説していただいた。後編となる今回は、電力不足解消のもう1つのカギを握る送電・節電技術の現状について、引き続きお2人に聞く。 2000年のことだ。筆者の住むカリフォルニア州で電気が大量に不足する「電力危機」が起き、日本でもすっかりおなじみになった輪番停電(rolling blackout)が実施された。日本のように「計画」された通りの時間に停電するわけではなく、いつ停電するかわ
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