「ウーロン茶とぶどうジュースと梨を摂取したという22歳の女性は、来院した時点で呼吸困難と全身の筋肉の引きつりを起こし、歩行不能にまでなっていました。女性の尿からはネオニコチノイド系(以下、ネオニコ系)農薬の代謝産物が検出されましたが、茶と果物の摂取を禁止したところ、数日で改善したのです」 そう語るのは、この10年ほどで出荷量が2倍に増えたネオニコ系農薬研究の第一人者、平久美子先生(東京女子医科大学東医療センター麻酔科)。農薬の過剰使用が人体に与える影響について、警鐘を鳴らしている。 「現在、農薬のなかで主流になりつつあるのがネオニコ系です。果物から野菜まであらゆる農産物に使われますが、人間の神経細胞を攻撃して、主に脳と自律神経を狂わす大変な毒物。中毒を起こす患者も出ています」 ネオニコチノイド中毒は、頭痛や抑うつ、意識障害など中枢神経症状が多く見られるのが特徴。ほかにも、筋肉のけいれ