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ブックマーク / kangaeruhito.jp (12)

  • 世界史の中のソマリ人 | ソマリ人のきもち | 高野秀行 | 連載 | 考える人 | 新潮社

    毎回この連載では、覚醒植物カートをべて盛り上がったとか、カートをい過ぎて頭を打ったとか、入国を拒否されて「やけカート」をったなど、愚にもつかない話を書き連ねている。これでは私が知性のない享楽的な人間に思われそうなので、たまには文化歴史について語ってみたい。 最近、機会があってイブン・バットゥータの『大旅行記』(東洋文庫、全8巻)を読んだ。 イブン・バットゥータは14世紀の人で、現在のモロッコ・タンジェ出身。ちなみに足利尊氏の1歳年上である。尊氏が鎌倉幕府を倒し、室町幕府を打ち立て、後醍醐天皇とちまちま戦いを繰り広げていたとき、イブン・バットゥータは北アフリカから中東、インドを経由し、インドネシア、さらには中国に至る大旅行を行っていた。イブン・バットゥータの活動域は世界地図をひろげないと把握できないほど広大で、その地図上では尊氏の活動域はほとんど点のようである。南北朝の争いなんて「と

    世界史の中のソマリ人 | ソマリ人のきもち | 高野秀行 | 連載 | 考える人 | 新潮社
  • ランボー 怒りのソマリランド篇 | ソマリ人のきもち | 高野秀行 | 連載 | 考える人 | 新潮社

    これまで鎌倉時代のマルコ・ポーロ、室町時代のイブン・バットゥータの見聞きしたソマリ世界を紹介してきたが、今度はずっと時代が下って明治時代にソマリ世界を旅した有名人にご登場願おう。 その人の名はアルチュール・ランボー。フランスの詩人である。1854年生まれだから、森鴎外より8歳年上だ。早熟の天才であり、1871年(明治3年)、パリ詩壇に彗星のごとく登場するも、1874年(明治6年)に最後の詩集『イリュミナシオン』を出して、詩作を放棄してしまった。つまり、17歳くらいでデビューし20歳そこそこで引退したわけだ。 その後は、世界各地を転々とする。以下、ランボー研究者である鈴村和成先生の『書簡で読むアフリカのランボー』(未来社)を頼りに彼の足跡をたどってみよう。 75年にはドイツ、イタリア、76年にはウィーンを旅し、ついでブリュッセルでオランダの植民地部隊に入隊、現エジプトのスエズ、現イエメンの港

    ランボー 怒りのソマリランド篇 | ソマリ人のきもち | 高野秀行 | 連載 | 考える人 | 新潮社
    taskapremium
    taskapremium 2023/03/15
    ランボーはアデンとハラルの間をまるで二人の愛人を囲う男のように、数ヶ月か1年数ヶ月ごとに行ったり来たりを繰り返す。アデン=ハラル時代にランボーが本国へ送った手紙は約160通あるという。ほとんどが事務的な>
  • 日本一有名な芸人の、日本一深い評伝 | 狂気と執念の「明石家さんま研究」 エムカク『明石家さんまヒストリー1 1955~1981 「明石家さんま」の誕生』 | 水道橋博士 | 本の試し読み | 考える人 | 新潮社

    著者: 水道橋博士 「日一有名な芸人」の“歴史”に、「日一のファン」が迫った『明石家さんまヒストリー1 1955~1981 「明石家さんま」の誕生』。明石家さんまさんの少年時代から芸人デビュー、大阪でのブレイク、「ひょうきん族」スタートまでを、人の発言や膨大な資料をもとに克明に記録しています。発売直後から、高田文夫さんや小林信彦さん、東野幸治さん、岡村隆史さん、大久保佳代子さんらが言及するなど、すでに業界の内外でも話題沸騰中です。 なかでも今回の寄稿者である水道橋博士さんは、著者エムカク氏の「生みの親」と言える存在。その水道橋博士さんが、「波」2020年12月号に寄せた書評を大幅加筆、書の「読みどころ」を深く掘り下げます。さらに「書評書評」として、ONO氏のブログ「日々の泡。」に掲載された書評も全文掲載。こうした書評の連なりもまた読書の醍醐味。ぜひ年末年始の一冊にどうぞ! 正体不

    日本一有名な芸人の、日本一深い評伝 | 狂気と執念の「明石家さんま研究」 エムカク『明石家さんまヒストリー1 1955~1981 「明石家さんま」の誕生』 | 水道橋博士 | 本の試し読み | 考える人 | 新潮社
  • 何がなくても覚醒葉っぱ | 食べる葦 | 松本仁一 | 連載 | 考える人 | 新潮社

    アラビア半島南端のイエメンでは、覚醒作用のある木の葉「カート」が好まれている。葉っぱを噛んでその汁を吸うのだが、それで「気分が良くなる」のだという。昔から常用されていて、法的な規制などはない。成人男性でやらない人はいないと思われるほど一般的な「覚醒剤」なのである。その覚醒葉っぱを、大盆に山盛りで「さあどうぞ」と出されたことがある。 ©NEIL PALMER PHOTOGRAPHY イエメンが、北隣のサウジアラビアから追い出された出稼ぎ労働者で大混乱している――。そんな外電に驚いて、駐在しているカイロからイエメンの首都サヌアに飛んだ。1990年10月のことだ。 旅行会社で四駆車をチャーターして現場に向かうことにした。情報省からは職員を同行させるという条件が付けられた。外国人ジャーナリストに対する監視が目的なのだろうが、当日朝やってきた職員のモハメド・ジュレイディ君(33)は、日びいきで気の

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  • お客様は神様? | ソマリ人のきもち | 高野秀行 | 連載 | 考える人 | 新潮社

    2月上旬、ソマリアで大統領選挙が行われ、モハメド・アブディラヒ・ファルマージョが当選した。選挙といっても、投票したのは国会議員だけだし(全国民が投票する予定だったが、投票所がイスラム過激派アル・シャバーブによるテロの標的となることが明白だったため断念した)、一説には総額2億ドル(ざっと200億円)もの買収工作が繰り広げられたと伝えられるから、一般の国の選挙とは相当趣がちがっているだろう。 ソマリアの大統領に選ばれたモハメド・アブディラヒ・ファルマージョ氏(AMISOM Photo/Ilyas Ahmed) まあ、でもファルマージョは前から一般の国民に親しまれている政治家と聞いていたので、結果としてはよかったのではないだろうか。 それについてはまた機会を改めて考察するとして、今月は前回のつづき。 人の客には手を出さない 足利尊氏より一歳年上であるイブン・バットゥータが訪れたとき、モガディショ

    お客様は神様? | ソマリ人のきもち | 高野秀行 | 連載 | 考える人 | 新潮社
    taskapremium
    taskapremium 2019/11/16
    「いや、こっちはスーダン人の英語の先生を殺されたんだ。ふつうの人間をやられたのとはわけがちがう。こっちは、おまえたちのスーダン人の英語の先生を殺すまで戦いをやめない!」 いやはや恐ろしい。イエメンで>
  • 前近代と最先端のクレバス | ソマリ人のきもち | 高野秀行 | 連載 | 考える人 | 新潮社

    今回、私はさまざまな事情から、2週間という短い期間に、ケニア→ソマリランド→エチオピア→ソマリランド→ケニアという、目まぐるしく国境を越えるスケジュールを組んでしまった。そして、大いに後悔した。 アフリカを甘くみていたのだ。 この2年ほど、東南アジアや中国、ネパールばかり通っていて、アジアの近代化ぶりに慣れてしまっていた。これらの国では日人はビザすら必要ない。昔のような入管や警察による理不尽な行為にも出くわさない。なんだか世界中が近代化してしまったような錯覚に陥っていた。 ところがアフリカは話がちがう。いまだに前近代の時代が続いているうえ、最先端のテクノロジーも中途半端に入ってきて、外国人は前近代と最先端の間でぽっかり口を開けたクレバスに落ちてしまうのだ。ある意味では昔より面倒くさくなっている。 ケニアからしてそうだ。「オンラインビザ」なるものが導入されていた。航空券のEチケットと同様、

    前近代と最先端のクレバス | ソマリ人のきもち | 高野秀行 | 連載 | 考える人 | 新潮社
    taskapremium
    taskapremium 2019/11/16
    アフリカ旅行ははトラブルだらけとはよく言うけど、これは凄まじい。
  • ランボーはなぜ放浪をやめたのか? | ソマリ人のきもち | 高野秀行 | 連載 | 考える人 | 新潮社

    19世紀(明治時代)にソマリ世界を訪れた最も著名な人物である、詩人のアルチュール・ランボー。彼の生涯は謎に満ちているが、最大の謎はそれまで狂ったように放浪を繰り返していた元詩人が、なぜソマリ世界の周縁(具体的には現イエメンのアデンと同エチオピアのハラル)にたどりついてから、動きをピタリと止めてしまったのかということだろう。 ヨーロッパから回ってきて、アデンに腰を落ち着けたというのはわかる。 ランボー研究者の鈴村和成先生も『書簡で読むアフリカのランボー』(以下、『アフリカのランボー』で「海に開かれ、沙漠に通じる、酷暑のイスラム都市ということが、 寒さと農耕と定住生活とキリスト教をことのほか毛嫌いしたランボーのノマド的な気質に合っていた」と説明している。 だが、それ以後はほとんど動いていない。ソマリランドやジブチ経由でエチオピアのハラルへ行き来するのみ。一度、アビシニア(現在エチオピアの首都で

    ランボーはなぜ放浪をやめたのか? | ソマリ人のきもち | 高野秀行 | 連載 | 考える人 | 新潮社
    taskapremium
    taskapremium 2018/11/08
    ランボーは「カート中毒」だったのだ。そうとしか思えない。だって、イエメンとハラルは現在でも世界のカートの中心地なのだから。>
  • 「文藝評論家」小川榮太郎氏の全著作を読んでおれは泣いた | 「文藝評論家」小川榮太郎氏の全著作を読んでおれは泣いた | 高橋源一郎 | Webでも考える人 | 新潮社

    9月21日・金曜日の夜、「新潮」編集部から電話がかかってきた。おかしいな、と思った。今月は締め切りがないはずなんだが。イヤな予感がした。おれは、少しの間ためらった後、電話に出た。案の定だ。「新潮45」問題について書いてくれ、というのである。確かに、おれは、その問題についてツイッター上で少しだけ発言をした。それだけだ。面倒くさいし、何のためにもならない。一晩考えさせてくれ、といっておれは電話を切った。でも、おれは引き受けることになるだろう、と思った。「面倒くさくて何のためにもならないことは引き受けろ」は、高橋家の家訓なのである。 書くことを引き受けてすぐ、「新潮45」の休刊が決まった。この問題については、考えなければならないことが多すぎる。休刊の是非、雑誌や出版社、あるいは著者のあるべき姿、休刊の直接的な原因となったであろう小川榮太郎氏の論文の問題点、当該特集号の各投稿それぞれが抱えている異

    taskapremium
    taskapremium 2018/10/20
    hiとりは、文学を深く愛好し「他者性への畏れや慮りを忘れ」ない「小川榮太郎・A」だ。そして、もうひとりは、「新潮45」のような文章を平気で書いてしまう、「無神經」で「傍若無人な」「小川榮太郎・B」だ
  • 「密航するな」のクルマ | ソマリ人のきもち | 高野秀行 | 連載 | 考える人 | 新潮社

    2016年4月下旬、約2年ぶりにソマリランドを訪れた。 BBCラジオのニュースを聞いていたし、ソマリのネットニュースサイトも折に触れてはチェックしていたから、大きな変化はないだろうと思っていた。でも、現場に行かないとわからないことは絶対あるとも想像していた。 実際にはどうか。たしかにソマリランド首都のハルゲイサには大きく変わったことは何も起きていないようだった。相変わらず平和だし、治安もいい。同行の早稲田大学OBのアブディも、「話には聞いていたけど、当に自由に何の不安もなく町を歩けるんだなあ」と感嘆していた。 町には新しい建物が増え、車の数も明らかに増えていた。特に以前見かけなかった小型車のトヨタ・ヴィッツがそこら中でちょこまか走っている。 交通量の激増に伴い、町の真ん中を東西に貫く大通りは全面駐車禁止となったばかりか、路肩にあった屋台の店が排除されたうえ、すべて西から東への一方通行に変

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  • ソマリ語放浪 | ソマリ人のきもち | 高野秀行 | 連載 | 考える人 | 新潮社

    たった2人の「在日ソマリ人」 日でソマリ人とふれあうのがいかに難しいか前回書いた。在日ソマリ人が5、6人しかいないうえ、彼らが互いに交流しようとしないからだ。 おかげで私が常時会って話ができるソマリ人は早稲田大学に留学していた南部ソマリア出身のアブディラフマン(通称アブディ)だけである。彼は「ほんとにソマリ人なのか?」とときどき疑いたくなるほどに物静かで真面目な男だ。「イスラムの教えに反するし、お金を使うのももったいない」という理由で、飲み会にもディスコにも行かない。日人や他の留学生の友だちとも親しくならない。ソマリ人の友だちもいない。おかげで常に孤独感にさいなまれていた。 私は4年前、彼が日に来たばかりの頃、ネットニュースで彼の存在を知り、以来ソマリ語を習ってきた。やがて、彼はうちにちょくちょくやってくるようになり、年末年始に2週間過ごしたこともある。 彼が来ると私はソマリランドで

    ソマリ語放浪 | ソマリ人のきもち | 高野秀行 | 連載 | 考える人 | 新潮社
  • 日本に持ち込まれた氏族対立 | ソマリ人のきもち | 高野秀行 | 連載 | 考える人 | 新潮社

    きっかけは犬 連載は誠に思いがけないことがきっかけで始まることになった。 犬なのである。 そう言ったら、犬を不浄と見なすイスラム教徒のソマリ人は眉をひそめること間違いないが、当なのだから仕方ない。 うちのは私と同業のノンフィクションライターだ。動物関係を得意とし、特に動物愛護・福祉については日で最も詳しいライターの一人だろう。単行も数多く書いているが、この数年、「いぬのきもち」という雑誌にて隔月で連載記事を書いている。題して「犬のために何ができるのだろうか」。飼い主から捨てられた、あるいははぐれてしまったなどして、保健所に収容され、「殺処分」されてしまう犬は毎年2万頭以上にものぼる。少しでもそのような犬たちの命を救うため、現在全国各地の行政や市民が犬の里親探しを行い、彼らが幸せな生活を始められるよう努力している。そういった活動を取材・執筆するのだ。 下調べを行い、取材先を見つけて

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    taskapremium
    taskapremium 2016/04/11
    世界で最も多く集まっているのはアメリカ・ミネソタ州のミネアポリス。10万ものソマリ人が暮らしているというが、ソマリ語のFMラジオ局が20以上あるという。同じ街に住む同じソマリ人なのに、氏族ごとに別々のラジオ>
  • 考える人| シンプルな暮らし、自分の頭で考える力。知の楽しみにあふれたWebマガジン。 | 新潮社

    2024年6月19日 こころ くらし ことば エッセイ 8.「自分」を多面的にみる――わたしの中の鬼コーチ問題

    考える人| シンプルな暮らし、自分の頭で考える力。知の楽しみにあふれたWebマガジン。 | 新潮社
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