このインタビューで語られた内容を彼が覆さない限り、毛皮のマリーズ・志磨遼平は、音楽で人類を救済し得る真のヒーローになれるかもしれない。そんな大風呂敷を広げたくなるほど、彼らが作り出したアルバム『ティン・パン・アレイ』は、人間の核心をつく大名作だ。人類の孤独に、不幸に想いを馳せ、嘘偽りなく圧倒的に正しいであろう人類の幸せな真実を紡ぎ出そうとしている。 そうしてマリーズは素晴らしい音楽作品を作り上げたわけだが、しかしこのアルバム、彼らの代名詞ともいうべきエレキギターがほとんど鳴っていないどころか、メンバーが演奏すらしていなかったりもする。これを果たして毛皮のマリーズの新作と呼んでいいのか? おそらく誰しもの頭にそんな疑問が浮かぶとは思うが、志磨はそれに対する明確な答えを持っていた。そしてその答えとは、マリーズを活動を続ける理由そのものでもあったのだ。CINRA初見参、毛皮のマリーズ・志磨遼平か