日本の財政状態を考えるとき、「日本は財政破綻をするか」の議論ばかりで、「日本を財政破綻させるべきか」の議論が見当たらない。これの議論はタブーなのか。 日本は経常黒字を毎年計上しており、国内の資金循環だけをみれば、国民の金は余っており、対外資産が年々積み上がっている。このことから、日本国政府が外的要因から「財政破綻」することはないのは明らかである。このような状況下で国の債務を解消する方法は、増税により積み上がった国債を消却するか、国債を直接・間接的に中央銀行が買入れてインフレにするか、どちらかの「選択」しかない。 この選択の違いは、増税は政策決定により行われるが、インフレは不作為に起こる、という違いだけである。ではインフレになるとして、終戦直後のようなハイパーインフレが起こるか。答えは「ノー」である。 日本円は、国際通貨として国内外の金融機関が決済以外の目的で多額に保有している。仮に日本の通
![なぜ「財政破綻させるべき」論がないのか? ‐ 伊東 良平](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/5ca3e12d98a36e5b182766185b63cd33c26a509a/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fagora-web.jp%2Fcms%2Fwp-content%2Fuploads%2F2021%2F07%2Fagora-twitter.jpg)