ブックマーク / honz.jp (96)

  • 『現代経済学 ゲーム理論・行動経済学・制度論』経済学はどこに向かうべきなのか? - HONZ

    経済学とは何か?―こんなシンプルな質問にさえ、今の経済学は答えるのが難しい状況にある。かつて、個々の経済主体の行動から経済全体の動きを理解するミクロ経済学と、GDPなどの集計量から経済全体の動きを扱うマクロ経済学の二つが主流だった頃には、「経済現象を対象とし、それを解明する学問」で済んだものが、20世紀半ば以降、従来の主たる研究対象だった市場メカニズムだけでなく、企業のような市場以外の経済制度も分析対象とするようになり、急速に多様化・複雑化していった。そして、過去30年の間に、書の副題にあるようなゲーム理論や行動経済学や制度論といった新しい手法が次々と生まれてきた。 こうした中で、書は、経済学とは何かという答えを示す代わりに、現在の経済学の広範で多様な様相を整理することで、そもそもなぜこの問いに対して簡潔に答えるのが難しいのか、経済学はなぜそれほどまでに複雑になったのか、そして経済学

    『現代経済学 ゲーム理論・行動経済学・制度論』経済学はどこに向かうべきなのか? - HONZ
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    te_k000 2018/11/08
  • 『<効果的な利他主義>宣言!──慈善活動への科学的アプローチ』 どうせよいことをするなら、最高によいことをしよう - HONZ

    『<効果的な利他主義>宣言!──慈善活動への科学的アプローチ』 どうせよいことをするなら、最高によいことをしよう 近年、欧米の若い人たちの間で、とりわけミレニアル世代の抜群に頭のいい人たちの間で、寄付と慈善活動に関するひとつの運動が盛り上がりをみせている。運動の象徴ともいえるピーター・シンガーだけでなく、スティーブン・ピンカーなどの著名な論者も支持の声を上げているので、あなたもその運動について耳にしたことがあるかもしれない。それは、「効果的な利他主義(effective altruism)」という運動である。 効果的な利他主義は「利他主義」である。だからそれは、他者の助けとなる行動を奨励する。でもそれは、寄付や慈善活動を無条件に奨励するのではない。効果的な利他主義は、それらが「効果的」であることを要求する。つまり、ただ単に寄付や慈善活動を行うのではなく、できるだけ多くの利益につながるように

    『<効果的な利他主義>宣言!──慈善活動への科学的アプローチ』 どうせよいことをするなら、最高によいことをしよう - HONZ
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    te_k000 2018/11/06
  • 悪魔のように邪悪な組織vsイタリア系のシャーロック・ホームズ──『ブラック・ハンド──アメリカ史上最凶の犯罪結社』 - HONZ

    ブラック・ハンドという凶悪な犯罪結社が19世紀から20世紀にかけて存在した。 彼らの主たる構成員はイタリアからアメリカへと移住した移民たちで、ブラック・ハンドというのは単一の組織への名称ではなく、小規模なものから大規模なものまで含めた、複数のギャング組織の総称であったようだ、書はその犯罪結社の勃興から終焉までをおった記録になる。『ブラック・ハンドは悪名高い犯罪組織だった。「あの極悪非道な、悪魔のように邪悪な組織」と呼ばれ、恐喝、殺人、子供の誘拐、大型の爆弾による爆破事件などを行っていた。』 ブラック・ハンドの存在が劇的なものになっているのは、彼ら自身の行動に加えてそれに敵対した人々の存在も大きい。中でも書の中でメインで語られていくのは、イタリア系のアメリカ人にしてニューヨーク市警察のジョゼフ・ペトロシーノの活躍だ。彼は《ニューヨーク・タイムズ》からは「世界一のイタリア系捜査員」と呼ばれ

    悪魔のように邪悪な組織vsイタリア系のシャーロック・ホームズ──『ブラック・ハンド──アメリカ史上最凶の犯罪結社』 - HONZ
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    te_k000 2018/11/05
  • 『10億分の1を乗りこえた少年と科学者たち』 世界初のパーソナルゲノム医療はいかに実現したか - HONZ

    2003年、ヒトゲノムの解読が完了し、科学は歴史的な一歩を踏み出した。それから6年後の2009年、今度は医療において大きな一歩が踏み出される。患者個人のゲノムを解析し、その結果にもとづいて診断・治療を行うという「パーソナルゲノム医療」が産声を上げたのだ。書は、医師と研究者、そして患者と家族に焦点を当てながら、その新たな医療が生まれるまでを描いたドキュメンタリーである。 先に言ってしまうと、書がことさら魅力的なのは、それが豊かな科学的知識を授けてくれるからではない。そうではなく、登場人物たちの悲喜こもごもを濃密な筆致で描ききっていることこそが、書の際立った魅力であろう。その点において、ピューリッツァー賞も受賞しているこのジャーナリストのコンビはやはり強力だ。事実を淡々と積み上げていく記述ながら、最後に読者をアッと言わせるだけの力がある。 舞台はアメリカのウィスコンシン州。5歳になるニコ

    『10億分の1を乗りこえた少年と科学者たち』 世界初のパーソナルゲノム医療はいかに実現したか - HONZ
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    te_k000 2018/11/02
  • 『図解 世界の名作住宅』歴史に名を残す住宅は何がすごいのか? - HONZ

    建築は誰でも楽しめる。特に住宅は、衣住の根幹をなすものだから、住宅建築に全く関心がないという人はまずいない。 加えて、日人は世界的に見ても、建築がかなり好きな国民だと思う。美術館で建築展をやると、他のジャンルに比べて圧倒的な集客力がある。昨年、国立新美術館で開催された「安藤忠雄展―挑戦―」や、今年、森美術館で開催された「建築の日展:その遺伝子のもたらすもの」も大盛況だった。 書『図解 世界の名作住宅』は、月刊誌『建築知識』のエクスナレッジ社による、歴史に名を残す住宅は何がすごいのかについて、世界の名作住宅60点以上をイラストで分かりやすく解説した珠玉の一冊である。 近代建築の三大巨匠と呼ばれるル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエをはじめ、これらの住宅を設計した世界の巨匠たちの人となりが紹介されているのも、建築の理解に役立つ。 書で最初に登場する

    『図解 世界の名作住宅』歴史に名を残す住宅は何がすごいのか? - HONZ
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    te_k000 2018/10/30
  • 『幸福とは何か -思考実験で学ぶ倫理学入門』快楽説、欲求実現説、客観リスト説 - HONZ

    「幸福とは何か」と思い耽ったときに、まっさきに読みたいである。幸せの数値化にこだわる社会科学や幸せのメカニズムを科学するポジティブ心理学は、どういうときに幸福になるか、何が幸せの実例かは説明してくれるが、幸福の概念を過不足なく解明してくれるわけではない。書の特徴は幸福の概略、そもそも論に取り組んでいることだ。そう、哲学しているのである。 幸福は、古今東西で哲学されてきた重要な問題だった。プラトン、アリストテレス、ベンサム、ミルとこのテーマに取り組んだ哲学者は数多い。そして、近年では、「快楽説」「欲求実現説」「客観的リスト説」の3つの陣営に分けられ、哲学者や倫理学者によって活発に論じられている。それぞれの説について短く紹介すると、以下のようになる。 快楽説:幸福とは快い心理状態のことだ。だから、ー人がどれだけ幸福であるかは、その人がどれだけの快楽を経験しているかで決まる。 欲求実現説:欲

    『幸福とは何か -思考実験で学ぶ倫理学入門』快楽説、欲求実現説、客観リスト説 - HONZ
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    te_k000 2018/10/27
  • 『ナナメの夕暮れ』どのエピソードも「最後の一行」が素晴らしい - HONZ

    タレントの仕事はといえば、その日その日で「現場」へ向かい、その日限りの仕事をこなすのが日常です。わっと集合して、どっと収録して、さっと帰る。日々多くの人に出会いますが、プライベートでも付き合うような間柄の人は(まあ人にもよるでしょうが)あまり多くはありません。というか私はそうです。テンション高く、ひとときの「祭り」を演じ、終われば次へ行くのです。 若林さんはたびたびバラエティ番組でお目にかかりますが、心地よく「ツッコんで」くれるのでとてもありがたい存在です。気付いたら出演者の中でも最年長、なんてときは、みんな遠慮するのかあまり触れてもらえないこともあります。そんなとき、スタジオに若林さんがいるとちょっとホッとします。ですが、仕事以外の話をしたことはありませんでした。 ある日、ツイッターを見ていたら平野啓一郎さんの最新小説『ある男』を若林さんが読んで書いたエッセイが回ってきました。何気なく開

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    te_k000 2018/10/24
  • 『さいはての中国』 あなたの知らない中国 - HONZ

    ノンフィクションを読む醍醐味である未知の世界を知る喜びをこれでもかと与えてくれる一冊だ。中国の地を這う現実を伝え続けるルポライターの著者が選んだ行き先は、途方もなく広い中国の“さいはて”。書に登場するのは、発展著しい深圳のネトゲ廃人、広州のアフリカ人街、内モンゴルのゴーストタウンや北米の「反日」華人組織などという、旅行者やビジネスマンはもちろん、大手メディアも近づかないような場所ばかり。大金を積まれても行きたくないような所へ軽快に潜り込み、現場の声を拾い上げ、世界の広大さを突きつけてくる。 最初の目的地は、中国最大のIT企業群が社を置くサイバーシティ深圳だ。次代のシリコンバレーとも呼ばれる彼の地の先進ぶりを伝えるニュースは引きも切らないが、この街には知られざる一面がある。そこには、中国各地からい扶持を求めてやってきた、著者が呼ぶところの「サイバー・ルンペンプロレタリアート」がいるのだ

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    te_k000 2018/10/22
  • うわっ!ボーイズラブになっとるやんか 『竹取物語、伊勢物語』 - HONZ

    HONZでレビュアーしてますと、いろんなところがを送ってくれはります。ありがたいことですわ。買うつもりでいたが送ってもらえたらむっちゃうれしいけど、買ったが送られてきたらちょっと悲しい。 そんなんとちごて、こんなん絶対に買わへんわ、というが送られてくる時もあります。けっこう礼儀正しいから、お送りいただいたは必ず目をとおします。けど、やっぱり、自分で買いそうもないはよう読み切らんことが多いです。スンマセン。 このも、まず、屋さんで手に取ることはないです。竹取物語はさすがに内容を知ってます。伊勢物語は、昔、古文の授業で『東下り』とか『筒井筒』をなろた記憶があるけど、別に興味ないし。 ん? 現代語訳はええとして、ボーイズラブに翻案してるというやないですか。はぁ?登場人物が全員男? ありえへんやろ。かぐや姫はどないなんねんっ!と、ここまでいくと、かえって読みたくなってしまうのがい

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    te_k000 2018/10/15
  • 『民主主義の死に方 二極化する政治が招く独裁への道』 民主主義が民主主義を殺す - HONZ

    世界各地の独裁政治を研究してきたハーバード大学教授である著者が、民主主義がどのように、そしてなぜ死ぬのかを追求する。著者はあらゆる場所、時代の民主主義が死んでしまった事例を紹介しながら、当たり前に享受している民主主義がいかに微妙なバランスのうえで成り立っているものなのかを教えてくれる。幅広いケースを考慮する書だが、議論のフォーカスはアメリカおよびトランプ現象に当てられいるので、日々伝えられるアメリカ政治の異常事態の意味がより良く理解できるようになるはずだ。米連邦最高裁判所判事にカバナーが選ばれたことがどれほどの意味を持つ事件なのかを思い知る。 民主主義が崩壊する瞬間といえば、銃を持った兵士や市民をなぎ倒そうとする戦車を思い浮かべるかもしれない。たしかに、アルゼンチン、ブラジル、ガーナやパキスタンのような冷戦時の民主主義崩壊の4分の3は、軍事力を用いたクーデターによってもたらされた。しかし

    『民主主義の死に方 二極化する政治が招く独裁への道』 民主主義が民主主義を殺す - HONZ
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    te_k000 2018/10/12
  • 医師にも患者にもバイアスだらけ 『医療現場の行動経済学』 - HONZ

    京都大学の庶佑特別教授のノーベル医学生理学賞受賞が決まり、日中が湧いている。この素晴らしい快挙の一方で、医療現場では混乱も生じているようだ。がん治療の現場で、医師が手術を選択したにも関わらず、患者側からオプジーボを使用したいと相談があるようなのだ。なぜ、患者側はそう考えるのか。書は、その「なぜ」に答えるである。 当然のことだが、医師はオプジーボの存在は知りつつ手術を選択している。冷静に考えれば、患者もそれはわかるだろう。しかし、生きるか死ぬかの瀬戸際で、毎日のように「オプジーボで命を救われました」という報道を目にしている患者の気持ちもわかるような気がする。 このような医療現場の意思決定について、現在の医療ではインフォームドコンセント(説明と合意)という手法が一般的にとられている。しかし、情報さえ提供すれば、患者は合理的な判断をできるのだろうか。書の執筆チームは、ここに昨年ノーベル

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    te_k000 2018/10/09
  • 失われた技術を復元する──『ジャイロモノレール』 - HONZ

    書はジャイロモノレールについての概説書である。ジャイロモノレールとはレールが一の鉄道の名称である「モノレール」にジャイロスコープを利用し、無支持で走行できる安定性を付与したものになるが、この技術は20世紀のはじめ頃(1900〜1910年)に開発され、その後大戦に突入したことで開発は中断。そのまま、それを成立させる技術も失われてしまっていた。 もともとモノレールが1レールで移動できるので、鉄道と比べれば2倍の輸送効率となり、ジャイロモノレールは既存の鉄道レールの上に乗っかってバランスをとることもできれば、それ以外の場所でもレールを一置くだけで走行できるなど、敷設費が安くおさえられる利点がある。ジャイロスコープを用いた車体の構築など、体費用は多額という難点もあり、一長一短ではあるものの、使い所はあるとみられていた。だが、一度開発が中断した後、再度この技術を再現しようとする人は長らく現れ

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    te_k000 2018/10/05
  • 【連載】『全国マン・チン分布考』第5回:男根語の試行錯誤 - HONZ

    放送禁止用語に阻まれた『探偵! ナイトスクープ』の幻の企画が、ついに書籍で実現。かつて『全国アホ・バカ分布考』で世間を騒がせた著者が、今度は女陰・男根の境界線に挑む! 第5回は「男根語の試行錯誤」について。「男根」もまた、京を中心にきれいな多重の円を描いていることが明かされる!(HONZ編集部) 第1回、第2回、第3回、第4回 次に「男根(陰茎)」の分布図にも目を向けてみましょう。「男根」についてのアンケート調査は、「女陰」の資料を集めたときに、同時に行ったものです。口絵の「男根 全国分布図」を眺めると、これもやはりみごとに多重周圏分布を見せています。(※注:男根全国分布図は書籍のみに掲載) 「カモ」だけは新潟以北に限られますが、「ヘノコ」「シジ」「マラ」「ダンベ」はきれいに円を描いています。さらに続く「チンポ」系語は、「(オ)チンコ」「チンボー」「チンボ」を経て、現代の標準語「チンポ」に

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    te_k000 2018/10/05
  • 『サカナとヤクザ』ニッポンの食卓を支える、魑魅魍魎の世界 - HONZ

    裏社会のノンフィクションはこれまで何冊も読んできたが、最も面白みを感じるのは無秩序のように思える裏社会が、表社会とシンメトリーな構造を描いていることに気付かされた時だ。 しかしここ数年は暴対法による排除が進み、ヤクザの困窮ぶりを伝える内容のものばかり。相似形どころか、このまま絶滅へ向かっていくのかとばかりに思っていた。だから彼らがこんなにも身近なところで、表社会とがっちりスクラムを組んでいるとは思いもよらなかったのである。 書は、これまでに数々の裏社会ノンフィクションを描いてきた鈴木智彦氏が、サカナとヤクザの切っても切れない関係を、足掛け5年に及ぶ現場取材によって描き出した一冊だ。 これまでなぜか語られることのなかった品業界最大のタブーを真正面から取り上げながら、一ミリの正義感も感じさせないのが、著者の真骨頂である。そして、もはやヤクザの世界に精通していなければ読み解けないほど、サカナ

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    te_k000 2018/10/04
  • 『未来をはじめる 「人と一緒にいること」の政治学』で新しい未来をはじめるための第一歩を踏み出す - HONZ

    このは、東京大学社会科学研究所教授で政治思想史・政治哲学を専門とする著者が、東京都の豊島岡女子学園中学・高等学校で行った全5回の政治を考えるための講義を取りまとめたものである。大学教授による政治講義とはいっても、書は学生との対話形式で平易な語り口で進められるので、幅広い層の読者が楽しみながら読み通せるはずだ。書の魅力は分かり易さだけではない。著者は、政治思想史で重要な役割を果たした人物とその発想の根幹を解説していくことで、現代社会を取り巻くさまざまな社会問題を根から考えるために必要な知恵を与えてくれる。さまざまな政治や人間関係から無縁ではいられない大人にも、多くの発見がある。 政治とは結局、「人と一緒にいるということ」なのだと著者はいう。ホモ・サピエンス以外の類人猿や狩猟採集生活を送る人々を見ても分かるように、人類は誕生したそのときから砂粒の個人として生きてきた訳ではない。「人と一

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    te_k000 2018/10/02
  • 『やぶれかぶれ青春記・大阪万博奮闘記』 - HONZ

    わたしが作家・小松左京の名前を知ったのは、1964年のことである。 京都大学人文科学研究所(人文研)の助手として10年がすぎ、前年から1年間、アメリカのアイオワ州グリネル大学で交換教授として教え、帰国したばかりのころであった。アメリカ生活は3度目であったが、まるまる一年も日を離れたのは初めてで、帰国したときには一種の精神の空白状態。それを埋めるべく、誰かれつかまえては、この間に読むべきは出たか、必読書は何かとたずねてまわった。すると助手仲間の多田道太郎、樋口謹一、山田稔の各氏や謹厳な高橋和巳までもが異口同音に、小松左京という新進作家の長編小説『日アパッチ族』こそ必読書であるという。 さっそく買い求めて読んでみたが、たしかにおもしろい。人間が鉄をうという発想が奇抜だし、その設定を押しとおす腕力と図々しさ。山田稔が山田捻(ひねる)という名前で出てきたりもする。抱腹絶倒するとともに、こん

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    te_k000 2018/09/30
  • 『物語としての旧約聖書』「普遍」を知るためのはじめの一歩! - HONZ

    「天地創造」、「エデンの園」、「カインとアベル」、「大洪水」伝承、「モーセと出エジプト」、預言者と預言の数々……。旧約聖書について断片的なエピソードを知ってはいる、あるいは、それが旧約聖書の記述にもとづくものだということを特に意識せずにたとえ話などとして用いている、ということは、旧約聖書にその源のある一神教の信者の方でなくとも、少なからずあるのではないでしょうか。 初学者も旧約聖書に触れられる 旧約聖書について、体系的でありながら、だけど初学者も頑張れば読めるという概説書はこれまであるようで、なかなかなかったと思います。聖書に親しんだ経験のある人と、そうでない人の(実は私はこちらになりますが)双方に向けてわかりやすく伝えるということが、相当に難しいからでしょう。 今回、NHKラジオ「宗教の時間」のガイドブックで、上智大学特任教授で古代オリエント博物館館長でもある月昭男さんが、その難事業に

    『物語としての旧約聖書』「普遍」を知るためのはじめの一歩! - HONZ
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    te_k000 2018/09/29
  • 放射線を正しく怖がるために『放射線について考えよう。』 - HONZ

    これほど丁寧で網羅的に放射線を説明しているをほかに知らない。このを書棚に入れておけば、なにか事が起こったときにいつでも引き出して正確な知識を得ることができるだろう。健康診断でCT検査やPET検査を受けるときにも参考になる。しかも、科学に興味のある小中学生なら、最後まで読み終えることができるほどのわかり易さだ。 著者はつくば市にある高エネルギー加速器研究機構の准教授。長い金髪で知られるニュートリノ研究者だ。これまでにも『すごい実験』や『すごい宇宙論講義』などの一般向けベストセラーを書いている。 書は現在も公開されている同名の無料サイトを一冊のにしたものだ。文の内容に差異はない。しかもスマホ用に最適化しているため、書籍よりも無料サイトのほうが読みやすい人もいるだろう。 しかし、あまりに良くできているコンテンツなので、プリンターで印刷して教育用に配っている人も現れはじめたというのだ。そ

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    te_k000 2018/09/28
  • ケネディーはクスリ漬け、スターリンはパラノイア、そして毛沢東は…『主治医だけが知る権力者 : 病、ストレス、薬物依存と権力の闇』 - HONZ

    国家元首の主治医たちをめぐるノンフィクションである。もちろん、主治医についてだけでなく、元首たちの病気や性癖、投薬についても詳しく描かれている。登場する元首たちは並みの権力者ではない。ヒトラー、チャーチル、ペタン、フランコ、ムッソリーニ、ケネディー、スターリン、毛沢東。それぞれの身体状況とそれに対する治療が政治に大きな影響を与えていた。そして、主治医たちは大きな役割を担っていたのである。 文字通り、元首の主治医は裸の権力者を見続ける。そのためには、まず元首に気に入られなければならない。その上、お気に召すような治療をしなければならない。一方で、気にそまぬアドバイスをしなければならないこともあれば、病状をひた隠しにせねばならないこともある。権力者の主治医には、医術以外に相当な技量が要求される。 主治医によっては虎の威を借りて権力をふるおうとする者もいる。たとえそのようなことがなくとも、周囲から

    ケネディーはクスリ漬け、スターリンはパラノイア、そして毛沢東は…『主治医だけが知る権力者 : 病、ストレス、薬物依存と権力の闇』 - HONZ
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    te_k000 2018/09/28
  • 【連載】『全国マン・チン分布考』第3回:かわいくて優雅な「オマンコ」 - HONZ

    憶良は、わが子を得て、心弾む幸福感に包まれます。およそ世の中に、この幸福に共感を覚えない親があるでしょうか。憶良の心情は、古今を通じて世界の親の心情でもあったでしょう。 こんな思い出があります。大学3回生、1970年の夏のことでした。郷里の友人大阪万博を見にいくため茨木の駅で降り、万博会場行きのバスに乗って座席に座りました。やがてバスは混んでゆき寿司詰めの状態になりました。私の目の前に、父親に連れられて乗ってきた幼い女の子が立ちました。私は即座に、自分の席を女の子に譲ってあげました。そのときです、30代半ばの父親がさっと私に向き直り、「まことに、ありがとうございます!」と、深々と頭を垂れたのです。私は何ごとかと、驚きました。こんな大人の男性が、20歳の青二才たる私の如きにそんな礼儀正しい感謝の態度をとってくれるとは、啞然とするほどの衝撃でした。父親というものは、わが娘のためなら、こんなこ

    【連載】『全国マン・チン分布考』第3回:かわいくて優雅な「オマンコ」 - HONZ
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    te_k000 2018/09/27