こうした数字だけを見ると、出版不況は、もう行き着くところまで行ってしまって、「崩壊」とか「沈没」とかいった形容がふさわしいような気がします。 果たして、日本の出版は、もうダメなのでしょうか? 実は、そう単純な話でもないんですね。今回は、統計から見られる(あるいは見えない)、日本の出版界の現状についてお話したいと思います。 出版統計には限界がある あまり知られていないのですが、出版統計は、国内を流通するすべての出版物の売り上げを集計しているわけではありません。よく引き合いにだされる出版統計に『出版指標年報』(全国出版協会・出版科学研究所)、『出版年鑑』(出版ニュース社)があります。どちらも、ベースとなっている(※追記2あり→末尾)のは、大手取次の「トーハン」のデータです。そこから業界全体の数値を推計した数字が、発表されているのです。 つまり、取次を経ない販売金額は、そこには含まれていません。