NHK大河ドラマ「平清盛」の視聴率が低迷しているのだという。 その理由は「画面が汚い」などというものではあるまい。最大の原因は、複雑な人間関係と時代背景を丁寧に説明していないからではないか。背景には、いくつも歴史の大転換が埋もれているのに、話を「男女の愛憎劇」に矮小化し、ホームドラマに仕立ててしまったことが、敗因であろう。実にもったいない話だ。 たとえば、平氏や源氏は天皇家の末裔なのに、なぜ平安貴族が蔑む、武家の道を歩んだのか。なぜ「穢れ」と忌み嫌われる殺生を引き受けねばならなかったのか。その理由が、描かれていない。 さらに、「院政」をめぐる問題がある。ドラマを観ていれば、白河上皇(伊東四朗)が独裁者であることは理解できるかもしれない。だが、このような「院の独裁」や「親政」が、白河上皇の時代から始まった事実と理由が明示されていない。 直前まで、藤原摂関家が朝堂を牛耳り、天皇の外戚として権力
![NHK「平清盛」はなぜ面白くないのか:関裕二 | 国際人のための日本古代史 | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/5538cfcca21f06655c7a6315584b61b245090629/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Ffsight.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2Fb%2Fe%2F1200w%2Fimg_bec1eb39ac0b6816127433a5c2b0b70d12005.jpg)