目次プロローグ 「……お前、喧嘩売ってんのか?」 「売られてるように感じるほど、お前がおかしくなっているだけだ。このゲームはまだ、終わってない」 上等だ、と二人が互いに対して手を伸ばす。 まずい。 そう思いながらも、僕には固まって見ることしかできなかった、その瞬間だった。 「──そこまで」 見たことのない険しい顔をして、ディレクターの篠森さんが立っていた。 「座って」 いつもよりトーンの重い声に、二人は一度だけ顔を見合わせ、そっぽを向いて自分の座っていた椅子に戻る。 しばらくの沈黙があってから、篠森さんは静かに口を開いた。 「……もう、よそうか」 先触れとして空から落ちた雨の一雫のように、その言葉はぽつりと会議室に響いた。 「経験のあるメンバーなら、広告を打たず、新規流入もなく、ただ努力だけで一気にソーシャルゲームで売上を立てるということが、どれだけ無謀なことかは承知していると思う」 「篠
![それでも、あなたは回すのか ~第0話~|高橋裕介@編集者|note](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/e8e03bf373ced7fafe6a2fc4a556666b861100c6/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fassets.st-note.com%2Fproduction%2Fuploads%2Fimages%2F38442953%2Frectangle_large_type_2_e4092d32c6f39955bee19cf38c31a9ca.jpg%3Ffit%3Dbounds%26quality%3D60%26width%3D1280)