不気味な火の玉の正体 湿地にはもう一つ、不気味な言い伝えのもととなった超自然現象がある。夜の暗闇のなか、ぼうっと浮かび上がる火の玉を見たという話だ。 英国では「ウィル・オ・ウィスプ(ウィロー・ザ・ウィスプ)」「ジャック・オー・ランタン」などと呼ばれ、火の玉が夜道を行く旅人を惑わし、それに誘われて沼に引きずり込まれた者は二度と戻れなくなると恐れられた。今では目撃談がほとんど聞かれなくなったが、J・R・R・トールキンの『指輪物語』に描かれている死の沼やハロウィンに飾るカボチャなどの現代文化に、その名残を見ることができる。 湿地の生態系は、時折火の玉のようなかすかな光を発生させることがある。科学者たちは、水面から沸き上がったホスフィン(リン化水素)ガスによるものではないかと考えている。(PHOTOGRAPH BY PAUL HART)
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