雇用は本当に増えたのか? 野党側が実質賃金低下を指摘する度に安倍総理が持ち出すのが「総雇用者所得」、すなわち雇用者の賃金の総額である。確かに総雇用者所得は増えているが、その理由は単に「雇用者が増えている」から。数が増えたから総額が増えるのは当然だろう。 だが、問題は「それ、アベノミクスのおかげなの?」ということ。ここで、職種別の増加雇用者数を示した図1のグラフを見てみよう。これは2018年の職種別雇用者数からアベノミクス前である2012年の職種別雇用者数を引いたもの。 なんと、医療・福祉が2位以下を大きく引き離してぶっちぎりの1位だ。125万人も増えていて、2位と3位を合わせた数よりもなお多い。これは明らかに高齢者の増大が影響しているので、アベノミクスとは無関係。 2位の卸売業・小売業も、円安によって恩恵を受けるわけではないし、原材料費の高騰や記録的な消費低迷からするとむしろ害を受ける方な