妻からのDVは「僕がモラハラ夫だったから」 2020年の年末、4年ぶりの取材にオンラインで応じてくれた田中徹さん(仮名、47歳)は青ざめてうなだれ、込み上げる感情を必死にこらえながら、たどたどしい口調で語り始めた。 「じ、実は……DV(ドメスティック・バイオレンス)、なん、です……」 「奥さんに手を上げた、ということですか?」 「いえ……そ、そのー、逆で……。妻から……暴力を、受けてしまいまして……」 この間に何があったのか。尋ねた質問に対し、そう答えているときも、うつむいたまま、いっさい視線を合わせることなく、おびえたような表情を見せているのがパソコン画面からもはっきりとわかった。 コロナ禍でのDV増加が指摘されるかなり前から、妻から夫へのDV事例を、もはや“逆DV”という言葉は通用しないほど数多く取材していた。DV被害者の男性は、加害者にも増して、惨めさや情けなさを内に秘めているケース
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