厚生労働省は28日、企業の年金資産の大半を消失させたAIJ投資顧問(東京都中央区)に資産運用を任せていた企業年金は2011年3月末現在で84あり、資産残高の総額は約1852億円に上ると発表した。 中には総資産の半分以上を同社に委ねていた厚生年金基金もあった。同省は、分散投資の努力義務規定にとどまっている現在の資産運用指針を見直し、リスクが高い投資の抑制を図ることを決めた。 同省によると、同社に資産運用を任せていたのは、大企業などの確定給付企業年金が10、厚生年金基金が74。うち厚生年金基金のほとんどは、同じ業種の中小企業などが集まって設立された「総合型」。84の企業年金の加入者数は約54万人、受給者数は約34万人で、17の企業年金は総資産の2割以上を委ねていた。中には総資産の56・9%にあたる約52億円を投じていた厚生年金基金もあった。