<概要> 原子力潜水艦の原子炉など高レベルの放射能を含む廃棄物の投棄の大半はロンドン条約発効前に行われたものであるが、ロンドン条約発効後も条約を無視した投棄が旧ソ連では続けられていた。その内容が明らかになったのは、1992年にロシア政府が「白書」として発表した「旧ソ連による北極海域および極東海域における放射性廃棄物の海洋投棄に関する調査結果」である。ここでは、原子力潜水艦による海洋汚染に関する概要とわが国の対応について紹介する。 <更新年月> 2009年03月 <本文> ソ連崩壊後のロシア連邦では、1991年12月に「自然環境保護に関する法律」が制定され、放射性廃棄物の宇宙や海洋への投棄が禁止されることになったが、各地の港湾における放射性廃棄物処理機能の不備などから、低レベル放射性廃液の海中放出を直ちに完全停止するには至らなかった。こうした事情から、1993年のロンドン条約加盟国会議で、放