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ブックマーク / blog.tatsuru.com (7)

  • 福島原発事故 Nature誌から - (内田樹の研究室)

    9月3日のNature のEditorialに福島原発からの汚染水漏洩への日政府および東電の対応について、つよい不信感を表明する編集委員からのコメントが掲載された。 自然科学のジャーナルが一国の政府の政策についてここまできびしい言葉を連ねるのは例外的なことである。 東電と安倍政府がどれほど国際社会から信頼されていないか、私たちは知らされていない。 この『ネイチャー』の記事もこれまでの海外メディアの原発報道同様、日のマスメディアからはほぼ組織的に無視されている。 汚染水の漏洩で海洋汚染が今も進行しているとき、世界の科学者の知恵を結集して対応策を講ずべきときに、日政府は五輪招致と米軍のシリア攻撃への「理解をしめす」ことの方が優先順位の高い課題だと信じている。 五輪招致を成功させたければ、まず事故処理について日政府は最大限の努力をもって取り組んでいるということを国際社会に理解してもらうの

  • 参院選の総括 - 内田樹の研究室

    朝日新聞の日のオピニオン欄に参院選の総括を寄稿した。 日曜の夜の開票速報を見てから、月曜の朝起きて必死に4000字。 時間がなかったので、掘り下げが浅いけれど、それはご容赦頂きたい。 もう朝日のウェブでも公開されているので、ブログでも公開。 参院選の結果をどう解釈するか、テレビで選挙速報を見ながらずっと考えていた。 最近の選挙速報は午後8時ぴったりに、開票率0%ではやばやと当確が打たれてしまう。角を曲がったところで出合い頭に選挙結果と正面衝突したような感じで、一瞬面らう。日曜の夜もそんな気分だった。 とりあえず私たちの前には二つの選択肢がある。「簡単な解釈」(これまで起きたことが今度もまた起きた)と「複雑な解釈」(前代未聞のことが起きた)の二つである。 メディアは「こうなることは想定内だった」「既知のことがまた繰り返された」という解釈を採りたがる。それを聴いて、人々はすこし安心する。「

    terakaz9
    terakaz9 2013/07/24
    ”人々は未来の国益達成より今ここで可視化された「決断の速さ」に高い価値を置くようになった。「決められる・スピード感・効率」と政策と無関係の語がメリットとして語られるようになったのはこの数年のこと。”
  • 言語を学ぶことについて - 内田樹の研究室

    2002年に文科省はグローバル化する世界を生き抜くためには英語運用能力が必須であるとして、「英語が使える日人」の育成のための戦略構想を発表した。それから10年経った。日の子どもたちの英語運用能力が上がったという話は誰からも聞いたことがない。 大学サイドから見ると、新入生の英語力は年々劣化を続けていることは手に取るようにわかる。進学にも、就職にも、英語力は絶対に必要であると官民あげてうるさくアナウンスされているにもかかわらずその教育成果は上がらない。なぜか。 英語力の必要が喧しく言われるようになってからむしろ英語学力が低下したという事実は一見背理的であるが、考えれば説明がつく。 教科を習得したときの「報償」が学習開始時点であらかじめ開示されているからである。 報償があらかじめ示されると、学習意欲は損なわれる。考えれば当たり前のことである。 「ここまで到達すれば、こんないいことがある」とい

    terakaz9
    terakaz9 2013/03/19
    "「到達すれば、こんないいことがある」と事前開示された場合、人間は「最短時間、最小エネルギー消費でたどりつくか」を考える""手際よく習得すれば、労働市場における付加価値を高める技能の一種だと思っている"
  • アブラハムと顔の経験 - 内田樹の研究室

    神戸女学院大学における最後の奨励のための聖句に私が選んだのは『創世記』12:1である。 「時に主はアブラムに言われた、『あなたは国を出て、親族に別れ、父の家を離れ、わたしが示す地に行きなさい。』」 これは信仰の起源を示す聖句だと私は思う。 信仰はこの言葉に聴き従うものから始まる。 前に書いたとおり、神は「神の言葉に聴き従うもの」の出現を俟ってはじめて神として存在し始める。 もちろん神はそれ以前から存在するのであるけれど、誰もそれを「神」とは呼ばなかったのである。 「私は被造物である」と名乗るものが出現するまでは、「造物主」という概念そのものが存在しない。 神の言葉に聴き従うものを持ってはじめて神は神になる。 神は神の言葉に聴き従うものを必要とする。 全知全能の存在である神は、他には何も必要とせず、ただ「神の言葉に聴き従うもの」だけを必要とするのである。 それゆえ主はアブラムに呼びかける。

  • 仕事力その1 - 内田樹の研究室

    朝日新聞に4回にわたって毎週日曜に「仕事力」というインタビューを連載します。 就活学生や転職をしようとしている若い人のためのアドバイスです。 昨日、東京の方では紙面に出たようです。朝日新聞をご購読でない方のために、ご紹介しておきます。 こんな話、ま「いつもの話」ではあるのですが。 「適職」は幻想である 「君、頼むよ」と言われ仕事は始まっていく 自分の適性に合った仕事に就くべきだと当たり前のように言われていますが、適職などというものがほんとうにあるのでしょうか。 僕は懐疑的です。 それは就職情報企業が作り出した概念ではないかとさえ僕は思っています。 「キャリア教育」の名のもとに、大学2年生から就活指導が始まり、その最初に適性検査を受けさせられます。これがいったい何の役に立つのか、僕にはまったくわかりません。 大学で教えている頃に、ゼミの学生が適性検査の結果が出たのだが、と困惑してやってきたこ

    terakaz9
    terakaz9 2012/04/02
    仕事というのは自分で選ぶものではなく仕事の方から呼ばれるものだと僕は考えています。「天職」のことを英語では「コーリング(calling)」とか「ヴォケーション(vocation)」と言います。どちらも原義は「呼ばれること」
  • 『赤毛同盟』と愚鈍の生成について - 内田樹の研究室

    朝日新聞の求人欄の上に日曜に出ている「仕事力」というコラムのための取材を受けた。 その中で、「適性」とか「天職」とかいう言葉がどれほど若い人たちの労働意欲を損なっているかについて語った。 今、仕事を探している若い人たちの言う「自分の適性にあった職業」というのは、装飾を削ぎ落として言えば、「自分の手持ちの資質や能力に対していちばん高い市場価値がつけられる職業」のことである。 交換比率のいちばんいい両替機会を求めているのである。 ありていに言えばそういうことである。 そういう仕事をみなさん探している。 交換比率のいちばんいい両替機会を求めてうろうろするのは、やればわかるけれど、あまり賢いことではない。 でも、消費者マインドを刷り込まれた人たちは、「限られた持ち金でどれだけ有利な取引をするか」、費用対効果にしか興味がない。 それは大学で教えているとよくわかる。 学生たちは単位や資格や学士号の「市

    terakaz9
    terakaz9 2012/03/22
    学生たちは愚鈍さを競い、労働者たちは他の労働者が自分より無能でかつ薄給であることを喜ぶという倒錯(略)「有利な取引をするものが賢い」という市場原理のルールをあまりに深く内面化したことの帰結なのである
  • 教育の危機と再生 - 内田樹の研究室

    先日、兵庫県庁での研修会で講演したときの講演録が出来ました。うちうちで配布するものなので、ここに再録しておきます。 中身は「いつもの話」ですけれど、まあ、いいじゃないですか。いつもの話で。 では、どぞ。 はじめに 内田でございます。 ただ今ご紹介にありましたとおり、このすぐ先の神戸市東灘区住吉というところに去年の11月に自宅兼道場を作りまして、そちらで合気道の稽古をしております。 合気道は始めて37年になります。神戸女学院大学の合気道部を21年前に立ち上げたとき、同時に社会人の団体も創設しました。そちらの会は公共施設を借りて、西宮市の中央体育館や芦屋市の青少年センター柔道場でやっておりました。このたび宿願の専用道場をつくりまして、今は毎日稽古三昧の生活をしております。 今、学塾というご紹介もありましたけれど、大学でやっておりました社会人対象の大学院のゼミの聴講生たちから、引き続き開講してく

    terakaz9
    terakaz9 2012/03/20
    ”同じような志を持っている人が今の日本には何千人何万人という規模で潜在的には存在すると思います。そういうローカルで独立的な教育活動とゆるやかに連帯するかたちで僕は日本の教育の再生に協力してゆきたい”
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