中華料理や串揚げなどの食材に使われるウズラの卵が高騰している。円安や餌代、輸送費の高騰が主な要因だ。生産コスト上昇のほかにも学校給食で児童が卵をのどに詰まらせて死亡する事故が起きるなど養鶉(じゅん)業界を取り巻く環境は、かつてないほど厳しい。生産業者からは「このままでは業界が衰退してしまう」という声が聞こえてくる。【庄司哲也】 群馬県高崎市の「高崎クエイル」は約65万羽を飼養し、市販のウズラの卵の約2割を占める国内有数の養鶉業者。串田幹雄社長は「卵の価格は確かに上がっているが、餌代や物流費など生産コストの上昇分を吸収しきれていない」と、経営を取り巻く厳しい現状を打ち明けた。 東京都中央卸売市場の統計では、2020年3月のウズラの卵の平均価格は1キロ当たり419円だったのが、24年3月は同978円と倍以上に高騰。特に22年以降に価格が急騰している。日本最大の生産地の愛知県の豊橋養鶉農業協同組