中央省庁の官僚が退職後に企業や団体などに再就職することを一般に「天下り」と呼ぶ。このうち、省庁が退職者の再就職を「あっせん」する天下りは国家公務員法で明確に禁じられている。省庁と天下り先がお互いに便宜を図るような癒着の温床になりかねないからだ。 一方で、法規制を受けない「現役出向」という制度がある。官僚はあくまでも省庁に戻る前提で、所属省庁で受け持つ政策や補助金などの影響を受ける法人に一定の期間出向する。若手や中堅の官僚が「現場」を知ることには意義がある、という建前で容認されているものだ。 しかし、現役出向の中には、天下りと実質的に同じに見えるような事案が少なくない。以前、国公立大学への大量の現役出向が問題視された文部科学省について現状を調査すると、国からの補助金の配分額が多い旧帝国大学や筑波大学では、報酬が高額な理事職の特定ポストが、長年にわたって文科省からの50歳以上の出向者の「指定席
