深海の底のさらに下に積もった堆積物(たいせきぶつ)の奥底は栄養分が乏しく、太陽光も届かない。そんな「無生物の世界」と考えられてきた場所から近年、多様な微生物が次々と発見され、生物の進化や生命の存在の条件の謎に迫るカギとして、注目を集めている。【大場あい】 「世界の海底下には未知の微生物が40億トン(炭素換算)もいる。まるで地球の中にもう一つの宇宙があって、そこで生命探査をやっているようなものだ」。海底掘削の国際プロジェクト代表を務める稲垣史生(ふみお)・海洋研究開発機構高知コア研究所長代理は力を込める。 稲垣さんらは昨年、青森県八戸沖の海底下約2・5キロの石炭層から微生物を発見し、100種類以上の培養にも成功したと発表した。地下で生命活動が確認できた場所としては世界最深だ。 この記事は有料記事です。 残り755文字(全文1097文字)