音楽を聴くのに「生(ライヴ)」が良いか「録音(CD)」が良いか、というのは良く知られた「究極の二択」だ。 まず正攻法なのが、こんな主張。 音楽の本来の形は「生演奏」であって、レコードに録音されスピーカーから流れてくるものは、音楽を「記録(Record)」したものに過ぎず、生で聴けない場合の代用品に過ぎない。 私の師あるいは父の世代はこれが文字通り正論だった。 例えて言えば、レコードは恋人の「写真」や「肖像画」のようなもの。本物がいない時の代用品あるいはいつでも思い出せるアイテムとしては有効だが、「本物の恋人」と比べるべくもない。 なるほど。そう言われてしまうと、議論はここでおしまいである。代用品が本物にかなうわけがない。 しかし、私はどちらかと言うと「代用品派」である。 なにしろ「生の本物」(コンサート)より「代用品」(レコードやラジオ)の方で音楽を吸収して育ったのだから。 そもそも極東の